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==== γ運動線維活動に由来した筋の求心性活動 ==== | ==== γ運動線維活動に由来した筋の求心性活動 ==== | ||
被験者に筋の長さが変化しない筋収縮(等尺性筋収縮、例えば負荷(錘)に抗して肢の位置を変えずにそれを維持するなど)を行わせると、筋が伸張されていないにも関わらず、筋由来の求心性神経活動が生じる<ref name="ref19"><pubmed>4250202</pubmed></ref>。筋紡錘は他の感覚受容器とは異なり、[[ | 被験者に筋の長さが変化しない筋収縮(等尺性筋収縮、例えば負荷(錘)に抗して肢の位置を変えずにそれを維持するなど)を行わせると、筋が伸張されていないにも関わらず、筋由来の求心性神経活動が生じる<ref name="ref19"><pubmed>4250202</pubmed></ref>。筋紡錘は他の感覚受容器とは異なり、[[γ運動ニューロン]]により遠心性支配を受けるが、この現象は一般的に、[[γ運動系]]の活動により筋紡錘が収縮し、結果求心性Ia群線維の発射活動を生じさせていると考えられている。 | ||
事実、[[wj:ネコ|ネコ]]γ運動線維への電気刺激は、Ia群線維の求心性発射頻度を増大させる<ref name="ref20">'''Matthews PBC'''<br>Mamalian muscle receptor and their central actions<br>Edword Arnoldo (Publisher) LTD 1972</ref>。γ運動線維とは、錘内筋の(中央部を除いた)両極部に終止し、収縮させる運動神経であり、その起始細胞をγ運動ニューロンという。等尺性収縮の場合、両極が収縮することで、感覚線維が終止する中央部が引き延ばされ、求心性活動電位が発生する。γ運動系は、運動中の筋の長さ変化に対して最適な筋紡錘の感度に調節する機能的意義をもつ。 | 事実、[[wj:ネコ|ネコ]]γ運動線維への電気刺激は、Ia群線維の求心性発射頻度を増大させる<ref name="ref20">'''Matthews PBC'''<br>Mamalian muscle receptor and their central actions<br>Edword Arnoldo (Publisher) LTD 1972</ref>。γ運動線維とは、錘内筋の(中央部を除いた)両極部に終止し、収縮させる運動神経であり、その起始細胞をγ運動ニューロンという。等尺性収縮の場合、両極が収縮することで、感覚線維が終止する中央部が引き延ばされ、求心性活動電位が発生する。γ運動系は、運動中の筋の長さ変化に対して最適な筋紡錘の感度に調節する機能的意義をもつ。 | ||
古くから、この手法を用いて、随意運動中のヒトγ運動ニューロンの制御動態について検討が行われている<ref name="ref21"><pubmed>15016790</pubmed></ref>。また、この生理学的背景を利用し、末梢神経への電気刺激による神経活動の発火確率変化を観察する方法(ペリ・スティムラスタイムヒストグラム法(PSTH法))を使い、ヒトγ運動ニューロンへの反射性結合についても検討が行われている<ref name="ref22"><pubmed>2966852</pubmed></ref>。近年では、表面筋電図活動とIa群線維に由来した求心性活動の相互相関解析を行うことで、錘外筋と錘内筋両方を支配するヒト[[ | 古くから、この手法を用いて、随意運動中のヒトγ運動ニューロンの制御動態について検討が行われている<ref name="ref21"><pubmed>15016790</pubmed></ref>。また、この生理学的背景を利用し、末梢神経への電気刺激による神経活動の発火確率変化を観察する方法(ペリ・スティムラスタイムヒストグラム法(PSTH法))を使い、ヒトγ運動ニューロンへの反射性結合についても検討が行われている<ref name="ref22"><pubmed>2966852</pubmed></ref>。近年では、表面筋電図活動とIa群線維に由来した求心性活動の相互相関解析を行うことで、錘外筋と錘内筋両方を支配するヒト[[β運動ニューロン]]の存在についても提案されている<ref name="ref23"><pubmed>9751299</pubmed></ref>。 | ||
多くの研究では、観察したい求心性神経活動について、複数の同定基準やそれを調べるための各種テストを行っており(例えば<ref name="ref"><pubmed>2139351</pubmed></ref>など)、その同定方法についての信頼性は高いと考えられる。しかしながら、筋由来の神経活動同定法について、不明瞭な点を指摘する研究グループもあり<ref name="ref25"><pubmed>6229164</pubmed></ref>、今後も信頼できる同定方法の開発や複数の同定方法の併用などを行っていくことが重要であると考えられる。 | 多くの研究では、観察したい求心性神経活動について、複数の同定基準やそれを調べるための各種テストを行っており(例えば<ref name="ref"><pubmed>2139351</pubmed></ref>など)、その同定方法についての信頼性は高いと考えられる。しかしながら、筋由来の神経活動同定法について、不明瞭な点を指摘する研究グループもあり<ref name="ref25"><pubmed>6229164</pubmed></ref>、今後も信頼できる同定方法の開発や複数の同定方法の併用などを行っていくことが重要であると考えられる。 | ||
==== 皮膚に由来した求心性神経活動 ==== | ==== 皮膚に由来した求心性神経活動 ==== |