「脳波」の版間の差分

34 バイト追加 、 2018年10月16日 (火)
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=== 導出法 ===
=== 導出法 ===
脳波は、頭部に接地された二つの電極間の電位差を増幅器で増幅することによって記録される。脳波を記録する電極を探査電極とよび、これに対して基準となる電極を基準(リファレンス)電極と呼ぶ。脳波の導出方法は、共通の基準電極を用いて探査電極との電位差を記録する'''共通基準導出'''と、隣り合う電極間で電位差を記録する'''双極導出'''に大別される。そのため共通基準導出は比較的広範囲で生じる空間的変化をみるのに適しており、双極導出は局所的な変化をみるのに適している。<br>
脳波は、頭部に接地された二つの電極間の電位差を増幅器で増幅することによって記録される。脳波を記録する電極を探査電極とよび、これに対して基準となる電極を基準(リファレンス)電極と呼ぶ。脳波の導出方法は、共通の基準電極を用いて探査電極との電位差を記録する'''共通基準導出'''と、隣り合う電極間で電位差を記録する'''双極導出'''に大別される。そのため共通基準導出は比較的広範囲で生じる空間的変化をみるのに適しており、双極導出は局所的な変化をみるのに適している。<br>
 近年のヒト脳イメージング研究では、共通基準導出が一般的に用いられている。共通基準導出では、理論的には基準電極を脳電位の影響をうけない場所に装着するべきである。心電位や筋電位の混入を避けるため、基準電極は耳朶や鼻尖に着けることが多い。しかしながら耳朶や鼻尖であっても僅かながらに測定信号が漏れこんでしまう'''活性化'''が生じる。差動増幅の原理から探査電極と基準電極の両方に共通して含まれる同相信号は打ち消されるため、基準電極に近い探査電極では電位が小さく見積もられる。この問題はどこに基準電極を置いても生じてしまう。なお、近年主に用いられているデジタル脳波計では、電源によって駆動する機関部と生体信号が入力される被験者側が電気的に分離されており、増幅器のための基準点として接地(グラウンド)電極を設ける。グラウンド電極は頭皮上のどこにおいてもよいが,前頭部に置くことが多い。これは、基準電極が不良なときに基準電極の代わりに接地電極の電位が投射して入れ替わる現象から、アーティファクトを検出しやすくするためである<ref>'''柳沢 信夫、 柴崎 浩'''<br>臨床神経生理学<br>''医学書院(東京)'':2008</ref>。<br>
 近年のヒト脳イメージング研究では、共通基準導出が一般的に用いられている。共通基準導出では、理論的には基準電極を脳電位の影響をうけない場所に装着するべきである。心電位や筋電位の混入を避けるため、基準電極は耳朶や鼻尖に着けることが多い。しかしながら耳朶や鼻尖であっても僅かながらに測定信号が漏れこんでしまう'''活性化'''が生じる。差動増幅の原理から探査電極と基準電極の両方に共通して含まれる同相信号は打ち消されるため、基準電極に近い探査電極では電位が小さく見積もられる。この問題はどこに基準電極を置いても生じてしまう。なお、近年主に用いられているデジタル脳波計では、電源によって駆動する機関部と生体信号が入力される被験者側が電気的に分離されており、増幅器のための基準点として接地(グラウンド)電極を設ける。グラウンド電極は頭皮上のどこにおいてもよいが,前頭部に置くことが多い。これは、基準電極が不良なときに基準電極の代わりに接地電極の電位が投射して入れ替わる現象から、アーティファクトを検出しやすくするためである<ref>'''柳沢 信夫、 柴崎 浩'''<br>臨床神経生理学<br>''医学書院'':2008</ref>。<br>


=== 再基準化 ===
=== 再基準化 ===
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=== 電極配置 ===
=== 電極配置 ===
頭皮上から脳波を計測する際に電極を置く位置は、国際脳波・臨床神経生理学会連合から推奨されている'''国際10-20法'''(International 10-20 system)に則り配置することが一般的である(参考文献:『事象関連電位測定ガイド』あとで追加)。国際10-20法では、眉間と外後頭隆起を結ぶ線と両側の耳介前点を結ぶ線の長さを基準としてその10%と20%の長さを組み合わせて電極位置を決める(図hoge左)。これにより、当該の大きさに関係なくほぼ一定部位に電極が配置でき、各電極間の距離をほぼ等しくできる。記録電極数の増加に対応するため、国際10-20法の各電極間の中点に電極を配置したものが拡張10-20法である(図hoge右)。近年では、脳波の電流減密度推定をより精度よくするため、2〜4センチメートル間隔で128〜256個の電極を配置した高密度脳波計測も行われるようになってきている。<br>
頭皮上から脳波を計測する際に電極を置く位置は、国際脳波・臨床神経生理学会連合から推奨されている'''国際10-20法'''(International 10-20 system)に則り配置することが一般的である<ref>'''入戸野 宏'''<br>心理学のための事象関連電位ガイドブック<br>''北大路書房'':2005</ref>。国際10-20法では、眉間と外後頭隆起を結ぶ線と両側の耳介前点を結ぶ線の長さを基準としてその10%と20%の長さを組み合わせて電極位置を決める(図hoge左)。これにより、当該の大きさに関係なくほぼ一定部位に電極が配置でき、各電極間の距離をほぼ等しくできる。記録電極数の増加に対応するため、国際10-20法の各電極間の中点に電極を配置したものが拡張10-20法である(図hoge右)。近年では、脳波の電流減密度推定をより精度よくするため、2〜4センチメートル間隔で128〜256個の電極を配置した高密度脳波計測も行われるようになってきている。<br>


=== 入力抵抗と接触抵抗 ===
=== 入力抵抗と接触抵抗 ===
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