16,014
回編集
Teruohashimoto (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
編集の要約なし |
||
(3人の利用者による、間の14版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
<div align="right"> | |||
<font size="+1">橋本 照男</font><br> | |||
''独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター''<br> | |||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年12月5日 原稿完成日:2013年1月31日<br> | |||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/atsushiiriki 入來 篤史](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br> | |||
</div> | |||
英語名:confidence | |||
{{box|text= | |||
手がかりを元に特定の情報が[[想起]]できそうかどうかという[[展望的判断]]と、想起した情報が確かであるかどうかという判断がある。展望的判断は学習時に行う確信度判断を指す場合が多い。確信度はその判断を含む。想起についての判断、想起モニタリングであり、[[メタ認知]]である。 | |||
}} | |||
== 概要 == | |||
例えば確信度評定を4段階で行う場合、評定段階を分ける3つの基準が用いられることになる。再認におけるOLD/NEW判断(既知刺激か新奇刺激か)は、2段階の確信度評定として捉えることもできる。実用的な評定基準数は5、6程度と考えられ、評定段階を多く増やしても確信度評定が厳密になるわけではない<ref><pubmed> 19159148 </pubmed></ref>。再認が[[リコレクション]] (recollection)と[[ファミリアリティ]] (familiarity)の2つの処理過程から成るとする立場において、確信度はファミリアリティと同義に扱われるが、確信度が最大のOLD判断がコレクションと同義というわけではない<ref><pubmed> 9673991 </pubmed></ref>。 | |||
また、OLD判断における確信度と、NEW判断における確信度は別処理であるとも考えられ、再認判断全般から一様な確信度が得られるわけではないのかもしれない<ref><pubmed> 19159148 </pubmed></ref>。個人間の確信度の相関は低く<ref>'''Lindsay, R. C. L., Wells, G. L., & Rumpel, C.'''<br>Can people detect eyewitness identification accuracy within and across situations?<br>''J App Psychol'':1981, 66, 79-89.</ref>、高い(強い)確信度判断をしやすい人と、滅多に高い確信度判断をしない慎重な人がいるが、これは[[判断基準]]の問題であり、判断基準が慎重な場合は高い確信度判断が少なくなる。この判断基準は教示や要求される判断速度等によっても変化する<ref><pubmed> 19159148 </pubmed></ref>。早い判断ができる場合には遅い判断の場合よりも確信度が高くなる傾向があり、記憶へのアクセスのしやすさ(accessibility)と確信度の高さは相関関係にある<ref><pubmed> 8255951 </pubmed></ref>。確信度が高いから早い判断が可能なのかもしれないし、早い判断ができたことが高い確信度につながるのかもしれない。 | |||
== 正確さ == | |||
展望的確信度判断は想起成績と相関する<ref>'''Vesonder, G. T., & Voss, J. F.'''<br>On the ability to predict one's own responses while learning.<br>''J Mem Lang'':1985, 24, 363-376.</ref>、つまり想起できそうかという判断は、正しいことが多いとされる。一方、想起した情報に対する確信度と正確さの相関に影響を与える要因は、[[学習]]、学習と想起の状況、モニタリング等にあるとされる<ref><pubmed> 10780019 </pubmed></ref>。学習を繰り返すことは後の確信度を高く見積もることにつながるが、学習時間が長いことは後の確信度をあまり上昇させない<ref>'''Koriat, A.'''<br>Monitoring one's own knowledge during study: A cue-utilization approach to judgments of learning.<br>''J Exp Psychol Gen'':1997, 126, 349-370.</ref>。また、確信度が高い場合でもその判断が誤っている事態は容易に起きることが知られている<ref>'''Schacter, D., Verfaellie, M., & Pradere, D.'''<br>The neuropsychology of memory illusions: false recall and recognition in amnesic patients.<br>''J Mem Lang'':1996'', 35, 319-334.''</ref>。前頭葉損傷による錯話confabulationでは、誤った想起内容に対して高い確信度判断をしている。 | |||
== 神経基盤 == | |||
[[前頭葉]]内側の損傷患者において、想起した情報に対する確信度判断は概ね正確であったが、展望的確信度判断は不正確になった<ref><pubmed> 14998710 </pubmed></ref>。脳画像研究では、再認記憶課題において[[側頭葉]]内側部の活動が、確信度の高低で差があるという結果<ref><pubmed> 16303318 </pubmed></ref>と、確信度とは無関係に実際の既知刺激と新奇刺激とを区別する<ref><pubmed> 19706549 </pubmed></ref>、という報告とがある。 | |||
== 参考文献 == | |||
<references /> | |||