「Eph受容体」の版間の差分

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 膜貫通型の[[受容体型チロシンキナーゼ]]の1種であり、[[エフリン]] (ephrin) と呼ばれる[[wikipedia:JA:細胞膜|細胞膜]]に存在する[[リガンド]]と結合することによって細胞内にシグナルを伝達する。Eph-ephrinのシグナルは細胞増殖、細胞移動、[[神経軸索ガイダンス]]、[[シナプス可塑性]]といった様々な現象に関与しており、[[wikipedia:JA:脊椎動物|脊椎動物]]および[[wikipedia:JA:無脊椎動物|無脊椎動物]]の[[中枢神経系]]の発生と発達過程において重要な役割を果たしている。  
 膜貫通型の[[受容体型チロシンキナーゼ]]の1種であり、[[エフリン]] (ephrin) と呼ばれる[[wikipedia:JA:細胞膜|細胞膜]]に存在する[[リガンド]]と結合することによって細胞内にシグナルを伝達する。Eph受容体-エフリンのシグナルは細胞増殖、細胞移動、[[神経軸索ガイダンス]]、[[シナプス可塑性]]といった様々な現象に関与しており、[[wikipedia:JA:脊椎動物|脊椎動物]]および[[wikipedia:JA:無脊椎動物|無脊椎動物]]の[[中枢神経系]]の発生と発達過程において重要な役割を果たしている。  


[[Image:Structure of Eph receptors.jpg|thumb|300px|'''図 Eph受容体のタンパク構造の模式図'''<br>Eph受容体とephrinリガンドの構造]]
[[Image:Structure of Eph receptors.jpg|thumb|300px|'''図 Eph受容体のタンパク構造の模式図'''<br>Eph受容体とephrinリガンドの構造]]
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* シナプス形成と可塑性制御<br>[[樹状突起]]の発達過程において、EphB2受容体が樹状突起に集積し、突起進展と維持に必須の役割を果たしている。またエフリンリガンドも樹状突起に局在しており、特にephrin-B1、ephirin-B3を介したシグナルが[[海馬]]神経細胞の[[スパイン]]の成熟や後シナプス構造の形成を制御し、シナプス可塑性の維持に重要な役割を果たしている<ref><pubmed>14691139</pubmed></ref> <ref><pubmed>11580887</pubmed></ref>。  
* シナプス形成と可塑性制御<br>[[樹状突起]]の発達過程において、EphB2受容体が樹状突起に集積し、突起進展と維持に必須の役割を果たしている。またエフリンリガンドも樹状突起に局在しており、特にephrin-B1、ephirin-B3を介したシグナルが[[海馬]]神経細胞の[[スパイン]]の成熟や後シナプス構造の形成を制御し、シナプス可塑性の維持に重要な役割を果たしている<ref><pubmed>14691139</pubmed></ref> <ref><pubmed>11580887</pubmed></ref>。  


* 成体神経幹細胞の増殖・分化制御<br>Eph受容体とエフリンリガンドは成体脳に存在する神経幹細胞と[[ニッチ細胞]]にも発現している。成体[[側脳室]]壁では、EphA7受容体が[[上衣細胞]]に発現し、神経幹細胞および前駆細胞に発現しているephrin-A2リガンドを介した逆方向性シグナルにより細胞増殖を負に制御している<ref><pubmed>15713841</pubmed></ref>。また[[アストロサイト]]および移動中の[[ニューロブラスト]]に発現しているEphBおよびephrin-B受容体が、神経幹細胞の増殖とニューロブラストの移動様式を制御している<ref><pubmed>11036265</pubmed></ref> 。さらに成体[[海馬]][[歯状回]]においては、神経前駆細胞に発現するEphB1およびEphB2が、前駆細胞の増殖と移動、突起進展を制御していることが報告されている<ref><pubmed>18057206</pubmed></ref>。  
* 成体神経幹細胞の増殖・分化制御<br>Eph受容体とエフリンリガンドは成体脳に存在する神経幹細胞と[[ニッチ細胞]]にも発現している。成体[[側脳室]]壁では、EphA7受容体が[[上衣細胞]]に発現し、神経幹細胞および前駆細胞に発現しているephrin-A2リガンドを介した逆方向性シグナルにより細胞増殖を負に制御している<ref><pubmed>15713841</pubmed></ref>。また[[アストロサイト]]および移動中の[[ニューロブラスト]]に発現しているEphBおよびephrin-B受容体(ephrin-Bでしょうか?)が、神経幹細胞の増殖とニューロブラストの移動様式を制御している<ref><pubmed>11036265</pubmed></ref> 。さらに成体[[海馬]][[歯状回]]においては、神経前駆細胞に発現するEphB1およびEphB2が、前駆細胞の増殖と移動、突起進展を制御していることが報告されている<ref><pubmed>18057206</pubmed></ref>。  


==関連項目==
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