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<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0012307 井本 敬二]</font>< | <font size="+1">[http://researchmap.jp/read0012307 井本 敬二]</font><br> | ||
''自然科学研究機構生理学研究所 生体情報研究系 岡崎国立共同研究機構 ''<br> | ''自然科学研究機構生理学研究所 生体情報研究系 岡崎国立共同研究機構 ''<br> | ||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年12月7日 原稿完成日:2018年1月4日<br> | DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年12月7日 原稿完成日:2018年1月4日<br> | ||
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== Hodgkin-Huxley方程式とは == | == Hodgkin-Huxley方程式とは == | ||
Alan Lloyd Hodgkin (1914-1998)とAndrew Fielding Huxley (1917-2012)は、ともに[[wikipedia:ja:イギリス|イギリス]]の電気生理学者である。イカの巨大軸索における活動電位の発生と伝播を測定し、その解析から現在の電気生理学の基礎となる概念を生み出すとともに、興奮性細胞(神経細胞、心筋細胞、骨格筋細胞など)の電気現象を定量的に扱う道を開いた<ref>< | Alan Lloyd Hodgkin (1914-1998)とAndrew Fielding Huxley (1917-2012)は、ともに[[wikipedia:ja:イギリス|イギリス]]の電気生理学者である。イカの巨大軸索における活動電位の発生と伝播を測定し、その解析から現在の電気生理学の基礎となる概念を生み出すとともに、興奮性細胞(神経細胞、心筋細胞、骨格筋細胞など)の電気現象を定量的に扱う道を開いた<ref><pubmed> 12991237 </pubmed></ref><ref>Journal of Physiologyは、Hodgkin & Huxley (1952)論文の60周年を記念して、2012年5月にオンライン版の特別号を出版している。Hogkin & Huxleyおよび関係する論文は、このサイトからリンクされている。</ref> 。HodgkinとHuxleyは、電気生理学の基礎を築いた功績により、同じく電気生理学者の[[wikipedia:ja:ジョン・C・エックルス|John Carew Eccles]]と3人で、1963年の[[wikipedia:ja:ノーベル医学・生理学賞|ノーベル医学・生理学賞]]を受賞している。 | ||
HodgkinとHuxleyの業績の意義は次のように要約できる。 | HodgkinとHuxleyの業績の意義は次のように要約できる。 | ||
#活動電位発生時に、[[wikipedia:ja:ナトリウム|ナトリウム]] | #活動電位発生時に、[[wikipedia:ja:ナトリウム|ナトリウム]]イオン(Na<sup>+</sup>)と[[wikipedia:ja:カリウム|カリウム]]イオン(K<sup>+</sup>)が、[[脱分極]]により開く[[細胞膜]]の別々の通路を通ることを示した。この発見はイオンチャネルの存在を予測するものであり、その後のイオンチャネル研究の源となった。なお当時の論文では、イオンチャネルという用語は用いられておらず、コンダクタンス[[wikipedia:ja:コンダクタンス|コンダクタンス]](イオンの通りやすさ、抵抗の逆数)という用語が使用されている。 | ||
#Na<sup>+</sup>チャネル、K<sup>+</sup>チャネルの開閉を実験的に測定し、開閉の非線形な動態を微分方程式を含む数式で表した。これらの式はまとめてHodgkin-Huxley (HH)方程式と呼ばれる。 | #Na<sup>+</sup>チャネル、K<sup>+</sup>チャネルの開閉を実験的に測定し、開閉の非線形な動態を微分方程式を含む数式で表した。これらの式はまとめてHodgkin-Huxley (HH)方程式と呼ばれる。 | ||
#Na<sup>+</sup>チャネル、K<sup>+</sup>チャネルおよび[[Leakチャネル]]を示す数式を組み合わせ、活動電位の発生・伝播を数値的に再現した。現在行われている興奮性細胞の電位シミュレーションは、要素が増えるなどして複雑になっているが基本は変わらない。 | #Na<sup>+</sup>チャネル、K<sup>+</sup>チャネルおよび[[Leakチャネル]]を示す数式を組み合わせ、活動電位の発生・伝播を数値的に再現した。現在行われている興奮性細胞の電位シミュレーションは、要素が増えるなどして複雑になっているが基本は変わらない。 | ||
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::<math> I_{clamp} = \sum_X G_X (v - E_X)\, </math> | ::<math> I_{clamp} = \sum_X G_X (v - E_X)\, </math> | ||
という関係が得られる。もし溶液の組成を工夫しさらにチャネルのブロッカーなどを用いて、イオンチャネル''A''を流れる電流のみを単離して測れたとすると、 | |||
::<math>I_{clamp} = G_A (v - E_A)\, </math> | ::<math>I_{clamp} = G_A (v - E_A)\, </math> |