「脳回と脳溝」の版間の差分

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(ページの作成:「脳回(のうかい、英: gyrus, 複数形:gyri) 脳溝(のうこう、英:sulcus、複数形:sulci) {{box|text= 哺乳類の大脳半球の表面に…」)
 
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{{box|text= 哺乳類の大脳半球の表面には『しわ』すなわち凹凸が存在するが、その『しわ』の隆起部分を脳回といい、脳回の横にある陥凹部分を脳溝という。}}
{{box|text= 哺乳類の大脳半球の表面には『しわ』すなわち凹凸が存在するが、その『しわ』の隆起部分を脳回といい、脳回の横にある陥凹部分を脳溝という。}}
 
[[ファイル:Kawasaki gyrus sulcus Fig1.png|サムネイル|'''図1. ヒト大脳の外観(側面図)'''<br>多くの脳回と脳溝が見られる。Wikipediaより引用。]]
== 構造的特徴 ==
== 構造的特徴 ==
 哺乳類の大脳半球の表面には『しわ』すなわち凹凸が存在するが(図1)、その『しわ』の隆起部分を脳回といい、また脳回の横にある陥凹部分を脳溝という(図2)。脳回を持つ脳をgyrencephalic、持たない脳をlissencephalicと表現する。脳回は一般的に、ヒト、サル、ウシ、ゾウ、クジラなどの大きな大脳を持つ動物種には見られるのに対して、ラットやマウスなどの大脳が小さい動物種は脳回を持たないことが多い<ref name=Welker1990>'''Welker W. (1990).'''<br>Why does cerebral cortex fissure and fold?<br>In: Jones EG, Peters A, editors. Cereb Cortex. 8B. Boston, MA: Springer; pp. 3-136.</ref> 。
 哺乳類の大脳半球の表面には『しわ』すなわち凹凸が存在するが('''図1''')、その『しわ』の隆起部分を脳回といい、また脳回の横にある陥凹部分を脳溝という('''図2''')。脳回を持つ脳をgyrencephalic、持たない脳をlissencephalicと表現する。脳回は一般的に、ヒト、サル、ウシ、ゾウ、クジラなどの大きな大脳を持つ動物種には見られるのに対して、ラットやマウスなどの大脳が小さい動物種は脳回を持たないことが多い<ref name=Welker1990>'''Welker W. (1990).'''<br>Why does cerebral cortex fissure and fold?<br>In: Jones EG, Peters A, editors. Cereb Cortex. 8B. Boston, MA: Springer; pp. 3-136.</ref> 。


 大脳半球は、6層構造を持ち神経細胞が密集している灰白質と、主に神経線維やミエリンからなる白質で構成される。脳回を持つ大脳では灰白質の6つの層はすべて弯曲している。一方、白質は灰白質との境界でのみ弯曲に対応し、白質の側脳室側は平滑であり弯曲は見られないという特徴がある。
 大脳半球は、6層構造を持ち神経細胞が密集している灰白質と、主に神経線維やミエリンからなる白質で構成される。脳回を持つ大脳では灰白質の6つの層はすべて弯曲している。一方、白質は灰白質との境界でのみ弯曲に対応し、白質の側脳室側は平滑であり弯曲は見られないという特徴がある。
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== 脳回異常疾患 ==
== 脳回異常疾患 ==
 正常よりも多数の脳回がある大脳の状態は多小脳回症(polymicrogyria)、また大脳表面の隆起がなくなり平らな状態は滑脳症(lissencephaly)と言われ(図3)、いずれも重篤な脳機能障害を呈する<ref name=Ross2001><pubmed>11520927</pubmed></ref> 。また自閉症や統合失調症でも脳回異常が報告されている。
 正常よりも多数の脳回がある大脳の状態は多小脳回症(polymicrogyria)、また大脳表面の隆起がなくなり平らな状態は滑脳症(lissencephaly)と言われ('''図3''')、いずれも重篤な脳機能障害を呈する<ref name=Ross2001><pubmed>11520927</pubmed></ref> 。また自閉症や統合失調症でも脳回異常が報告されている。


== 形成機構 ==
== 形成機構 ==