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米国国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)基準はリチャードソン症候群の基準であり、特異度は高いもののリチャードソン症候群以外の臨床病型が合致せず、感度が高くない基準であった<ref name=Litvan8710059><pubmed>8710059</pubmed></ref> 。2017年に発表されたMovement disorder societyによる診断基準(以下MDS基準と略す)には、PSP-parkinsonism(PSP-P)、[[PSP-corticobasal syndrome]]([[PSP-CBS]])のほか、[[PSP with progressive gait freezing]]([[PSP-PGF]])、[[PSP with predominant frontal presentation]]([[PSP-F]])、[[PSP with predominant ocular motor dysfunction]]([[PSP-OM]])、[[PSP with predominant speech/language disorder]]([[PSP-SL]])、[[PSP with predominant postural instability]]([[PSP-PI]])の全部で8つの臨床病型が含まれ<ref name=Höglinger2017><pubmed>28467028</pubmed></ref> 、各々の病型に対する病理所見が示された<ref name=Kovacs2020><pubmed>32383020</pubmed></ref> 。他に主にわが国から報告されている臨床病型として、[[小脳性運動失調]]が先行し、初期に[[脊髄小脳変性症]]と診断されうる[[PSP with predominant cerebellar ataxia]]([[PSP-C]])がある<ref name=Kanazawa2009><pubmed>19412943</pubmed></ref><ref name=Shimohata2016><pubmed>27030358</pubmed></ref> 。 | 米国国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)基準はリチャードソン症候群の基準であり、特異度は高いもののリチャードソン症候群以外の臨床病型が合致せず、感度が高くない基準であった<ref name=Litvan8710059><pubmed>8710059</pubmed></ref> 。2017年に発表されたMovement disorder societyによる診断基準(以下MDS基準と略す)には、PSP-parkinsonism(PSP-P)、[[PSP-corticobasal syndrome]]([[PSP-CBS]])のほか、[[PSP with progressive gait freezing]]([[PSP-PGF]])、[[PSP with predominant frontal presentation]]([[PSP-F]])、[[PSP with predominant ocular motor dysfunction]]([[PSP-OM]])、[[PSP with predominant speech/language disorder]]([[PSP-SL]])、[[PSP with predominant postural instability]]([[PSP-PI]])の全部で8つの臨床病型が含まれ<ref name=Höglinger2017><pubmed>28467028</pubmed></ref> 、各々の病型に対する病理所見が示された<ref name=Kovacs2020><pubmed>32383020</pubmed></ref> 。他に主にわが国から報告されている臨床病型として、[[小脳性運動失調]]が先行し、初期に[[脊髄小脳変性症]]と診断されうる[[PSP with predominant cerebellar ataxia]]([[PSP-C]])がある<ref name=Kanazawa2009><pubmed>19412943</pubmed></ref><ref name=Shimohata2016><pubmed>27030358</pubmed></ref> 。 | ||
MDS基準ではリチャードソン症候群の特徴である眼球運動障害、姿勢保持障害のほか、無動、認知機能障害の4つの機能ドメインを組み合わせて8つの臨床病型を決定する。各機能ドメインの症候は診断の確からしさにより3段階に分けられている(http://plaza.umin.ac.jp/neuro2/pdffiles/CQ6-2table1.pdf)。これらの主要臨床症候についてはtutorial videoが作成されたので、ぜひ参照されたい<ref name=Iankova2020><pubmed>32988736</pubmed></ref> 。また診断の確実性により確実例(病理診断例、 Definite PSP)、ほぼ確実例(Probable) PSP、疑い例(Possible) PSPに加え示唆例(suggesitive of PSP)が加えられた<ref name=Höglinger2017><pubmed>28467028</pubmed></ref> 。示唆例は病態修飾療法を見据え、早期に正しく診断するための病型として位置づけられている。実際の症例でこの基準を適応すると複数の病型に該当することが多いため、Multiple allocation extinction rule を適用し病型を絞ることが提案されている<ref name=Grimm2019><pubmed>30884545</pubmed></ref> 。 | MDS基準ではリチャードソン症候群の特徴である眼球運動障害、姿勢保持障害のほか、無動、認知機能障害の4つの機能ドメインを組み合わせて8つの臨床病型を決定する。各機能ドメインの症候は診断の確からしさにより3段階に分けられている([http://plaza.umin.ac.jp/neuro2/pdffiles/CQ6-2table1.pdf MDS基準])。これらの主要臨床症候についてはtutorial videoが作成されたので、ぜひ参照されたい<ref name=Iankova2020><pubmed>32988736</pubmed></ref> 。また診断の確実性により確実例(病理診断例、 Definite PSP)、ほぼ確実例(Probable) PSP、疑い例(Possible) PSPに加え示唆例(suggesitive of PSP)が加えられた<ref name=Höglinger2017><pubmed>28467028</pubmed></ref> 。示唆例は病態修飾療法を見据え、早期に正しく診断するための病型として位置づけられている。実際の症例でこの基準を適応すると複数の病型に該当することが多いため、Multiple allocation extinction rule を適用し病型を絞ることが提案されている<ref name=Grimm2019><pubmed>30884545</pubmed></ref> 。 | ||
MDS基準は2019年に病理診断例において感度・特異度が報告され、probable PSPは特異度は86%と高いが感度は47%と低く、一方suggestive of PSPは感度は88%と高いものの特異度は40%と低いことが報告されている<ref name=Ali2019><pubmed>30726566</pubmed></ref> 。 | MDS基準は2019年に病理診断例において感度・特異度が報告され、probable PSPは特異度は86%と高いが感度は47%と低く、一方suggestive of PSPは感度は88%と高いものの特異度は40%と低いことが報告されている<ref name=Ali2019><pubmed>30726566</pubmed></ref> 。 | ||
== 検査 == | == 検査 == |