「脳死」の版間の差分

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 先述のように、旧厚生省の脳死に関する研究班は、日本脳波学会の脳死判定基準(1969年)に基づいて脳死と判定された症例についての全国調査に基づいて、1985年に脳死判定基準、いわゆる竹内基準を提出した<ref name=厚生科学研究費特別研究事業1985 /> [12]('''表1''')。なお、その調査対象となった718例中で蘇生例は1例もなかったと報告されており、その妥当性が確認されている<ref name=竹内一夫1985 /> [11]。竹内基準は脳死の概念としては全脳死を採用している。判定の医学的詳細に関しては園生雅弘帝京大学教授および筆者による文献を参照されたい<ref name=園生雅弘2018>園生雅弘著. 永山正雄監修 (2018).<br>.脳死状態. 今日の臨床サポート</ref>[13]。
 先述のように、旧厚生省の脳死に関する研究班は、日本脳波学会の脳死判定基準(1969年)に基づいて脳死と判定された症例についての全国調査に基づいて、1985年に脳死判定基準、いわゆる竹内基準を提出した<ref name=厚生科学研究費特別研究事業1985 /> [12]('''表1''')。なお、その調査対象となった718例中で蘇生例は1例もなかったと報告されており、その妥当性が確認されている<ref name=竹内一夫1985 /> [11]。竹内基準は脳死の概念としては全脳死を採用している。判定の医学的詳細に関しては園生雅弘帝京大学教授および筆者による文献を参照されたい<ref name=園生雅弘2018>園生雅弘著. 永山正雄監修 (2018).<br>.脳死状態. 今日の臨床サポート</ref>[13]。


 1997年の臓器移植法成立に伴い、法的脳死判定においては前記の脳死判定基準(竹内基準)に従うことと定められた。臨床現場での対応の指針として役立つような詳細が補足された「法的脳死判定マニュアル」が公表され<ref name=厚生省厚生科学研究費特別研究事業1999>厚生省厚生科学研究費特別研究事業「脳死判定手順に関する研究班」平成11年度報告書: 法的脳死判定マニュアル. </ref>[14]、ウェブ上でも公開されている<ref name=公益社団法人日本臓器移植ネットワーク>公益社団法人日本臓器移植ネットワーク [http://www.jotnw.or.jp/jotnw/law_manual/pdf/noushi-hantei.pdf URL] </ref> [15]。
 1997年の臓器移植法成立に伴い、法的脳死判定においては前記の脳死判定基準(竹内基準)に従うことと定められた。臨床現場での対応の指針として役立つような詳細が補足された「法的脳死判定マニュアル」が公表され<ref name=厚生省厚生科学研究費特別研究事業1999>厚生省厚生科学研究費特別研究事業「脳死判定手順に関する研究班」平成11年度報告書: 法的脳死判定マニュアル. </ref>[14]、ウェブ上でも公開されている(下記参照)<ref name=公益社団法人日本臓器移植ネットワーク>公益社団法人日本臓器移植ネットワーク [http://www.jotnw.or.jp/jotnw/law_manual/pdf/noushi-hantei.pdf URL] </ref> [15]。
 
{| class="wikitable"
|+ 表2. 法に規定する脳死判定(脳死とされうる状態)
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'''•器質的脳障害により深昏睡、および自発呼吸を消失した状態と認められ、かつ器質的脳障害の原疾患が確実に診断されていて、原疾患に対して行い得るすべての適切な治療を行った場合であっても回復の可能性がないと認められる者。'''<br>
'''•ただし、下記1)~4)は除外する。'''<br>
1) 生後12週(在胎週数が40週未満であった者にあっては、出産予定日から起算して12週)未満の者<br>
2) 急性薬物中毒により深昏睡、および自発呼吸を消失した状態にあると認められる者<br>
3) 直腸温32℃未満(6歳未満の者にあっては、35℃未満)の状態にある者<br>
4) 代謝性障害、または内分泌性障害により深昏睡、および自発呼吸を消失した状態にあると認められる者<br>
'''•かつ、下記①~④のいずれもが確認された場合。'''<br>
 ① 深昏睡 <br>
 ② 瞳孔が固定し、瞳孔径が左右とも4mm以上であること <br>
 ③ 脳幹反射(対光反射、角膜反射、毛様(体)脊髄反射、眼球頭反射、前庭反射、咽頭反射、および咳反射)の消失 <br>
 ④ 平坦脳波
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|}


 かつてこのステップは臨床的脳死判定として、別に項目立てされて施行が要求されていたが、「臨床的脳死」という用語が混乱を招いたという経験から、使用しないことになった。現在は通常診療のなかでの「脳死診断」として位置づけられており、上記のように診断された患者を「脳死とされうる状態」と呼ぶことになった。
 かつてこのステップは臨床的脳死判定として、別に項目立てされて施行が要求されていたが、「臨床的脳死」という用語が混乱を招いたという経験から、使用しないことになった。現在は通常診療のなかでの「脳死診断」として位置づけられており、上記のように診断された患者を「脳死とされうる状態」と呼ぶことになった。