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== 具体例 == | == 具体例 == | ||
=== 海馬 === | === 海馬 === | ||
1993年にO'KeefeとRecce <ref name=O'Keefe1993><pubmed> 8353611 </pubmed></ref>は、ラットが環境を歩くとき、集団電位θ波に対する場所細胞の発火タイミングの位相が、連続的に進むことを報告した(θ位相歳差;theta phase | 1993年にO'KeefeとRecce <ref name=O'Keefe1993><pubmed> 8353611 </pubmed></ref>は、ラットが環境を歩くとき、集団電位θ波に対する場所細胞の発火タイミングの位相が、連続的に進むことを報告した(θ位相歳差;theta phase precession)('''図2a''')。場所細胞はラットの環境における位置に依存して発火頻度が増減するが、発火頻度だけの情報よりも、発火位相の情報を用いた場合により正確にラットの環境位置を表すことができる<ref name=Jensen2000><pubmed>10805660</pubmed></ref>。また、異なる場所細胞が同時に活動すると、場所細胞が活動する順序で、かつ時間圧縮された位相発火パターンがして繰り返し表れるため、時系列表現として役立つと考えられた<ref name=Skaggs1996><pubmed>8797016</pubmed></ref>。θ位相歳差は、嗅内野のグリッド細胞でも観測されている <ref name=Hafting2008><pubmed>18480753</pubmed></ref>。また、コウモリの海馬の集団電位は明瞭なリズム活動を持たないが、ラットと類似の位相コーディングが現れることが報告されている<ref name=Eliav2018><pubmed>30318145</pubmed></ref>。位相コーディングの生成メカニズムとしては、非対称的脱分極(asymmetric depolarization) <ref name=Mehta2002><pubmed>12066185</pubmed></ref>、振動の干渉 (oscillatory interference) <ref name=Burgess2008><pubmed>19021256</pubmed></ref>、ワーキングメモリ <ref name=Jensen1996><pubmed>10456097</pubmed></ref><ref name=Jensen2005><pubmed>15667928</pubmed></ref>、振動の引き込み<ref name=Yamaguchi2003><pubmed>12836028</pubmed></ref><ref name=Yamaguchi2007><pubmed> 17379502 </pubmed></ref>などが提案されている。 | ||
=== 大脳皮質 === | === 大脳皮質 === |