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羅:area praeoptica medialis 英:medial preoptic area 独:mediales präoptisches | 羅:area praeoptica medialis 英:medial preoptic area 独:mediales präoptisches Areal 仏:aire préoptique médiane<br> | ||
英略称:MPOA | 英略称:MPOA | ||
{{box|text= 脳の腹側部、前交連の尾側から視交叉までの第3脳室最吻側部を囲む領域を内側視索前野という。背側は中隔や分界条床核、外側は外側視索前野に接する。大脳半球が前脳の外反によって生じるのに対し、外反せずにとどまったのが内側視索前野である。3脳胞のうち前脳forebrainの尾側端に由来するので発生学的には終脳telencephalonに属する。脳原基の部域化に関わる転写因子やシグナル分子のいくつかが間脳diencephalonである視床下部と共通で、機能的な関連が大きいことから、内側視索前野はしばしば視床下部の最吻側部と見なされるが、内側視索前野の細胞が第3脳室壁に由来するのに対し、視床下部諸核の細胞が間脳尾側に発生すること、発生初期から各段階で細胞レベルでの遺伝子発現が両部位で異なることから、今後は二部位を区別することが必要と思われる。機能的には視床下部と不可分で、循環、呼吸、排尿、内分泌調節、生殖行動、母性行動・育仔行動、睡眠、体温調節、歩行の調節に関わっており、これらの機能にかかわる視床下部諸核、扁桃核、海馬、中脳中心灰白質、腹側被蓋野などとの入出力がある。}} | {{box|text= 脳の腹側部、前交連の尾側から視交叉までの第3脳室最吻側部を囲む領域を内側視索前野という。背側は中隔や分界条床核、外側は外側視索前野に接する。大脳半球が前脳の外反によって生じるのに対し、外反せずにとどまったのが内側視索前野である。3脳胞のうち前脳forebrainの尾側端に由来するので発生学的には終脳telencephalonに属する。脳原基の部域化に関わる転写因子やシグナル分子のいくつかが間脳diencephalonである視床下部と共通で、機能的な関連が大きいことから、内側視索前野はしばしば視床下部の最吻側部と見なされるが、内側視索前野の細胞が第3脳室壁に由来するのに対し、視床下部諸核の細胞が間脳尾側に発生すること、発生初期から各段階で細胞レベルでの遺伝子発現が両部位で異なることから、今後は二部位を区別することが必要と思われる。機能的には視床下部と不可分で、循環、呼吸、排尿、内分泌調節、生殖行動、母性行動・育仔行動、睡眠、体温調節、歩行の調節に関わっており、これらの機能にかかわる視床下部諸核、扁桃核、海馬、中脳中心灰白質、腹側被蓋野などとの入出力がある。}} | ||
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== 入出力 == | == 入出力 == | ||
===入力=== | ===入力=== | ||
[[視索上核]]、[[視交叉上核]]、[[乳頭体核]]を除く視床下部諸核から内側視索前野への投射があり、視床下部の第3脳室周辺部は内側視索前野の内側、視床下部前野と腹内側核を除く外側の諸核は内側視索前野の外側に至る。視床下部前野と腹内側核は内側視索前野全体に投射する。[[扁桃体中心核]]と強い結合を持つ分界条床核の背外側部は内側視索前野の中央部を支配し、[[扁桃核]]、[[海馬台]]、外側中隔腹側部からは内側視索前野の外側部に投射がある。[[下辺縁皮質]]と[[島皮質]]、[[側坐核]]、[[無名質]]からの入力はまばらである。[[縫線核]からの[[セロトニン]作動性線維は内側視索前野の外側部に、[[ノルアドレナリン]]作動性終末は内側視索前野の中心部と内側部に終わる。[[腹側被蓋野]]、[[中脳中心灰白質]]、[[橋被蓋核]]、[[脚周核]]からの投射は軽度である。これらの投射のうち内側に終わるものは室周囲を、外側に終わるものは[[内側前脳束]]を上行する<ref name=Simerly1986><pubmed>3517086]</pubmed></ref>。 | [[視索上核]]、[[視交叉上核]]、[[乳頭体核]]を除く視床下部諸核から内側視索前野への投射があり、視床下部の第3脳室周辺部は内側視索前野の内側、視床下部前野と腹内側核を除く外側の諸核は内側視索前野の外側に至る。視床下部前野と腹内側核は内側視索前野全体に投射する。[[扁桃体中心核]]と強い結合を持つ分界条床核の背外側部は内側視索前野の中央部を支配し、[[扁桃核]]、[[海馬台]]、外側中隔腹側部からは内側視索前野の外側部に投射がある。[[下辺縁皮質]]と[[島皮質]]、[[側坐核]]、[[無名質]]からの入力はまばらである。[[縫線核]]からの[[セロトニン]]作動性線維は内側視索前野の外側部に、[[ノルアドレナリン]]作動性終末は内側視索前野の中心部と内側部に終わる。[[腹側被蓋野]]、[[中脳中心灰白質]]、[[橋被蓋核]]、[[脚周核]]からの投射は軽度である。これらの投射のうち内側に終わるものは室周囲を、外側に終わるものは[[内側前脳束]]を上行する<ref name=Simerly1986><pubmed>3517086]</pubmed></ref>。 | ||
=== 出力 === | === 出力 === | ||
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=== 相互支配 === | === 相互支配 === | ||
逆行性・順行性双方に輸送される[[西洋ワサビ過酸化酵素]] ([[horseradish peroxidase]], [[HRP]])と[[小麦胚芽凝集素]] ([[wheat-germ agglutinin]], [[WGA]])の結合体である[[WGA-HRP]]により内側視索前野と[[外側中隔]]、分界条床核、[[扁桃核内側核]]、[[外側視床下部]]、室傍核、腹内側核、弓状核、[[乳頭上核]]、中脳中心灰白質、縫線核、[[結合腕傍核]]のそれぞれとの相互支配が示されている。[[大脳基底核]]([[腹側線条体]]、[[側坐核]]、[[マイネルト基底核]]、[[視床下核]]を含む)、[[外側手綱核]]、視床の内側諸核、[[正中隆起]]、[[乳頭体内側核]]、[[黒質]]、[[動眼神経核]]、[[赤核]]、[[背外側被蓋核]]、[[脳幹網様体]]、[[青斑核]、[[迷走神経背側核]]へは投射が存在する。 | 逆行性・順行性双方に輸送される[[西洋ワサビ過酸化酵素]] ([[horseradish peroxidase]], [[HRP]])と[[小麦胚芽凝集素]] ([[wheat-germ agglutinin]], [[WGA]])の結合体である[[WGA-HRP]]により内側視索前野と[[外側中隔]]、分界条床核、[[扁桃核内側核]]、[[外側視床下部]]、室傍核、腹内側核、弓状核、[[乳頭上核]]、中脳中心灰白質、縫線核、[[結合腕傍核]]のそれぞれとの相互支配が示されている。[[大脳基底核]]([[腹側線条体]]、[[側坐核]]、[[マイネルト基底核]]、[[視床下核]]を含む)、[[外側手綱核]]、視床の内側諸核、[[正中隆起]]、[[乳頭体内側核]]、[[黒質]]、[[動眼神経核]]、[[赤核]]、[[背外側被蓋核]]、[[脳幹網様体]]、[[青斑核]]、[[迷走神経背側核]]へは投射が存在する。 | ||
==機能 == | ==機能 == | ||
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