「注意欠如・多動性障害」の版間の差分

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==治療==
==治療==
===治療の構成===
===構成===
 日本の診断・治療ガイドラインでは、ADHD治療の基本キットとして、親ガイダンス、学校との連携、子どもとの面接、薬物療法の4つをあげている<ref name=ref8 />。
 日本の診断・治療ガイドラインでは、ADHD治療・支援は環境調整に始まる多様な[[心理社会的治療]]から開始すべきであり、薬物療法は心理社会的治療が効果不十分な場合に選択肢となるとされている。そして、ADHDの心理社会的治療としては、環境調整、親への心理社会的治療、子どもへの心理社会的治療、学校など関連専門機関との連携という4領域をバランスよく組み合わせて実施することが推奨されている<ref name=ref8 />。


 親をはじめとして関わりのある人々が、発達的な観点に立ってADHDの特性を理解して適切に対応できるようにすることが必須である。このような基盤を持つ包括的な治療の中で薬物療法がより効果を発揮する。
 親をはじめとして関わりのある人々が、発達的な観点に立ってADHDの特性を理解して適切に対応できるようにすることが必須である。このような基盤を持つ包括的な治療の中で薬物療法がより効果を発揮する。


 アメリカのMultimodal Treatment Study of Children with ADHD(MTA研究)では、治療の柱として[[行動療法]]と薬物療法を設定して、大規模なランダム化比較試験による効果検証が行われた<ref name=ref6><pubmed>25558298</pubmed></ref>。14ヶ月間の治療後では行動療法と薬物療法の併用で効果が有意に高かった。但し、長期的に自然経過を追うと、薬物療法の優越性は減少した。この結果は治療の構成を考える上で参考になる。
 アメリカのMultimodal Treatment Study of Children with ADHD(MTA研究)では、治療の柱として[[行動療法]]と薬物療法を設定して、大規模な[[ランダム化比較試験]]による効果検証が行われた<ref name=ref6><pubmed>25558298</pubmed></ref>。14ヶ月間の治療後では行動療法と薬物療法の併用で効果が有意に高かった。但し、長期的に自然経過を追うと、薬物療法の優越性は減少した。この結果は治療の構成を考える上で参考になる。


 青年・成人でも、行動療法を中心とする心理社会的治療と薬物療法からなる包括的な治療が基本と考える<ref name=ref5>'''樋口輝彦、齊藤万比古(監修)'''<br>成人期ADHD診療ガイドブック<br>''じほう'' 2013.</ref>。
 青年・成人でも、行動療法を中心とする心理社会的治療と薬物療法からなる包括的な治療が基本と考える<ref name=ref5>'''樋口輝彦、齊藤万比古(監修)'''<br>成人期ADHD診療ガイドブック<br>''じほう'' 2013.</ref>。