「14-3-3タンパク質」の版間の差分

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=== 阻害物質と安定化物質 ===
=== 阻害物質と安定化物質 ===
 14-3-3のタンパク-タンパク相互作用(PPI)を標的とすることで、神経疾患をはじめとするさまざまな疾患に治療的に介入しようとする試みが新たに始まっている<ref name=Stevers2018><pubmed>28968506</pubmed></ref>[76]。低分子量化合物による14-3-3PPIの制御には,阻害的と増強的(安定化)という2つの方向性がある。
 14-3-3のタンパク質-タンパク質間相互作用を標的とすることで、神経疾患をはじめとするさまざまな疾患に治療的に介入しようとする試みが新たに始まっている<ref name=Stevers2018><pubmed>28968506</pubmed></ref>[76]。低分子量化合物による14-3-3タンパク質-タンパク質間の制御には,阻害的と増強的(安定化)という2つの方向性がある。


==== 阻害物質 ====
==== 阻害物質 ====
 14-3-3のリガンド結合部位に結合して14-3-3のPPIをマスクする阻害剤として、ペプチド性あるいは非ペプチド性の物質が報告されている。ペプチド性物質としては、ファージディスプレイによって発見されたR18ペプチド(PHCVPRDLSWLDLEANMCLP文献)や、2分子のR18を短いペプチド鎖で連結した上記のdifopeinなどがある<ref name=Wang1999><pubmed>10493820</pubmed></ref><ref name=Masters2001><pubmed>11577088</pubmed></ref>[77][78]。非ペプチド性の阻害物質としては、フタルイミド誘導体であるBV02がある<ref name=Mancini2011><pubmed>21041536</pubmed></ref>[79]。
 14-3-3タンパク質のリガンド結合部位に結合して14-3-3のタンパク質-タンパク質間相互作用をマスクする阻害剤として、ペプチド性あるいは非ペプチド性の物質が報告されている。ペプチド性物質としては、ファージディスプレイによって発見されたR18ペプチド(PHCVPRDLSWLDLEANMCLP)や、2分子のR18を短いペプチド鎖で連結したdifopeinなどがある<ref name=Wang1999><pubmed>10493820</pubmed></ref><ref name=Masters2001><pubmed>11577088</pubmed></ref>[77][78]。非ペプチド性の阻害物質としては、フタルイミド誘導体であるBV02がある<ref name=Mancini2011><pubmed>21041536</pubmed></ref>[79]。


==== 安定化物質 ====
==== 安定化物質 ====
 14-3-3PPIの安定化剤としては真菌が産生するジテルペン配糖体であるフシコクシン(FC-A)とそれの誘導体であるコチレニン(CN-A)などがある。これらは14-3-3とH+-ATPase (PMA2) <ref name=Wurtele2003><pubmed>12606564</pubmed></ref>[80]、CFTR<ref name=Stevers2016><pubmed>26888287</pubmed></ref>[81]、Raf-1<ref name=Molzan2013><pubmed>23808890</pubmed></ref>[82]とのPPIを安定化することが報告されている。
 14-3-3タンパク質-タンパク質間相互作用の安定化剤としては真菌が産生するジテルペン配糖体であるフシコクシン(FC-A)とそれの誘導体であるコチレニン(CN-A)などがある。これらは14-3-3タンパク質とH<sup>+</sup>-ATPase (PMA2) <ref name=Wurtele2003><pubmed>12606564</pubmed></ref>[80]、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子 (cystic fibrosis transmembrane conductance regulator, CFTR)<ref name=Stevers2016><pubmed>26888287</pubmed></ref>[81]、Raf-1<ref name=Molzan2013><pubmed>23808890</pubmed></ref>[82]とのタンパク質-タンパク質間を安定化することが報告されている。


=== タンパク質レベルにおける役割 ===
=== タンパク質レベルにおける役割 ===