「14-3-3タンパク質」の版間の差分

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市村 徹(元防衛大学校 応用科学群応用化学科)
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田岡万悟(東京都立大学 理学部化学科)
<font size="+1">[https://researchmap.jp/read0009425 市村 徹]</font><br>
 
''元防衛大学校 応用科学群応用化学科''<br>
英語名:14-3-3 protein
<font size="+1">[https://researchmap.jp/taokamasato 田岡万悟]</font><br>
 
''東京都立大学 理学部化学科''<br>
{{box|text= 14-3-3タンパク質は分子量約30kDaのサブユニットから構成される2量体タンパク質のファミリーである。ヒトでは9つの分子種(α~σアイソフォーム)の存在が確認されており、各アイソフォームは分子のN末端構造を介してホモ或いはヘテロに結合することで、その内部にU字型の溝構造を形成している。14-3-3は、この溝構造を利用することで多種多様なリン酸化タンパク質と、リン酸化に依存して結合する。脳神経系において、14-3-3は神経突起の伸長、神経分化、細胞移動と生存、神経伝達物質の合成や放出など、さまざまな細胞プロセスに関わることが報告されている。さらに、14-3-3は、クロイツフェルト・ヤコブ病やパーキンソン病をはじめとする神経変性疾患、神経発達疾患、神経精神疾患など、さまざまな神経疾患と遺伝的に関連することも報告されている。}}
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2025年2月27日 原稿完成日:2025年3月10日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/wadancnp 和田 圭司](国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)
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英:14-3-3 protein
{{box|text= 14-3-3タンパク質は分子量約30kDaのサブユニットから構成される2量体タンパク質のファミリーである。ヒトでは9つの分子種(α~σアイソフォーム)の存在が確認されており、各アイソフォームは分子のN末端構造を介してホモ或いはヘテロに結合することで、その内部にU字型の溝構造を形成している。14-3-3は、この溝構造を利用することで多種多様なリン酸化タンパク質と、リン酸化に依存して結合する。脳神経系において、14-3-3は神経突起の伸長、神経分化、細胞移動と生存、神経伝達物質の合成や放出など、さまざまな細胞プロセスに関わることが報告されている。さらに、14-3-3は、クロイツフェルト-ヤコブ病やパーキンソン病をはじめとする神経変性疾患、神経発達疾患、神経精神疾患など、さまざまな神経疾患と遺伝的に関連することも報告されている。}}


== 研究の歴史 ==
== 研究の歴史 ==