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特に肝臓において、糖新生や脂質代謝に関わる遺伝子の発現を概日的に制御し、エネルギー恒常性の維持に関与する<ref name=Lee2015><pubmed>25212631</pubmed></ref>(Lee et al., 2015)。この代謝制御における役割は、近年の研究により明らかにされつつある<ref name=Ma2023><pubmed>36978001</pubmed></ref>(Ma et al., 2023)。 | 特に肝臓において、糖新生や脂質代謝に関わる遺伝子の発現を概日的に制御し、エネルギー恒常性の維持に関与する<ref name=Lee2015><pubmed>25212631</pubmed></ref>(Lee et al., 2015)。この代謝制御における役割は、近年の研究により明らかにされつつある<ref name=Ma2023><pubmed>36978001</pubmed></ref>(Ma et al., 2023)。 | ||
学習・記憶:NPAS2欠損マウスは、文脈的恐怖条件付けや空間学習課題において記憶障害を示すことが報告されており、前脳におけるNPAS2が特定の種類の記憶形成に関与することを示唆している <ref name=Garcia2000><pubmed>10864874</pubmed></ref>(Garcia et al., 2000)。 | 学習・記憶:NPAS2欠損マウスは、文脈的恐怖条件付けや空間学習課題において記憶障害を示すことが報告されており、前脳におけるNPAS2が特定の種類の記憶形成に関与することを示唆している <ref name=Garcia2000><pubmed>10864874</pubmed></ref>(Garcia et al., 2000)。 | ||
=== NPAS3 === | ==== NPAS3 ==== | ||
===== 神経発生 ===== | |||
:脳の発生過程において、神経幹細胞の増殖、神経細胞への分化、細胞移動、軸索伸長、および細胞生存を制御する上で極めて重要である。NPAS3ノックアウトマウスは、新生仔期に致死となる場合が多く、生存した場合でも重度の脳構造異常(特に海馬歯状回の欠損や形成不全、脳室拡大)を示し、神経発達障害のモデルとなる<ref name=Brunskill2005><pubmed>16190882</pubmed></ref><ref name=Michaelson2017><pubmed>28499489</pubmed></ref>(Brunskill et al., 2005; Michaelson et al., 2017)。 | |||
===== 神経伝達物質系の調節 ===== | |||
:特に中脳辺縁系ドーパミン作動性神経系の発達や機能維持に関与する可能性が、発現パターンやノックアウトマウスの表現型、精神疾患との関連から示唆されている<ref name=Brunskill2005><pubmed>16190882</pubmed></ref>(Brunskill et al., 2005)。 | |||
===== 精神機能 ===== | |||
:ヒトにおける遺伝学的研究から、NPAS3遺伝子の変異(転座、欠失、SNP[single nucleotide polymorphism])が統合失調症や双極性障害のリスクと強く関連していることが繰り返し報告されており<ref name=Kamnasaran2003><pubmed>12746393</pubmed></ref><ref name=Pickard2009><pubmed>18317462</pubmed></ref>(Kamnasaran et al., 2003; Pickard et al., 2009)、NPAS3が正常な精神機能の維持に必須であることが示唆されている。 | |||
==== NPAS4 ==== | ==== NPAS4 ==== | ||
===== 神経活動依存的な遺伝子発現のマスターレギュレーター ===== | ===== 神経活動依存的な遺伝子発現のマスターレギュレーター ===== | ||