「LIMドメイン含有キナーゼ」の版間の差分

47行目: 47行目:
=== 神経細胞以外における機能 ===
=== 神経細胞以外における機能 ===
==== アクチン骨格の再構築、細胞形態 ====
==== アクチン骨格の再構築、細胞形態 ====
 LIMKは、細胞質でコフィリンをリン酸化して不活性化し、アクチン線維の脱重合を抑制し、重合の促進、アクチン線維の安定化を促進する。これによりストレスファイバー形成、ラメリポディア形成などアクチン骨格の再構築を制御し、に寄与している<ref name=Mizuno2013><pubmed>23153585</pubmed></ref><ref name=Ohashi2015><pubmed>25864508</pubmed></ref><ref name=Villalonga2023><pubmed>36899941</pubmed></ref>。
 LIMKは、細胞質でコフィリンをリン酸化して不活性化し、アクチン線維の脱重合を抑制し、重合の促進、アクチン線維の安定化を促進する。これによりストレスファイバー形成、ラメリポディア形成などアクチン骨格の再構築を制御し、細胞の形態制御や運動など多くの機能に寄与している<ref name=Mizuno2013><pubmed>23153585</pubmed></ref><ref name=Ohashi2015><pubmed>25864508</pubmed></ref><ref name=Villalonga2023><pubmed>36899941</pubmed></ref>。
 
==== 細胞分裂 ====
==== 細胞分裂 ====
 細胞分裂の前中期・中期にLIMK1の活性は上昇し、コフィリンのリン酸化レベルは上昇するが、後期・終期にかけてLIMK1の活性は低下し、コフィリンのリン酸化レベルは低下する<ref name=Amano2002><pubmed>11925442</pubmed></ref><ref name=Kaji2003><pubmed>12807904</pubmed></ref>。中期におけるLIMKによるコフィリンのリン酸化は紡錘体の正常な配向に必要であり、終期におけるコフィリンの脱リン酸化は正常な細胞質分裂に必要であることが示された<ref name=Kaji2003><pubmed>12807904</pubmed></ref><ref name=Kaji2008><pubmed>18079118</pubmed></ref>。Aurora AとLIMK1は中心体に共局在し、Aurora Aは、LIMK1の307番目のセリン、508番目のスレオニンをリン酸化して活性化する。同時に、LIMK1もAurora Aをリン酸化して活性化し、これらは紡錘体形成に関与する<ref name=Ritchey2012><pubmed>22214762</pubmed></ref>。また、LIMK1は収縮環のアクトミオシンリングの収縮に寄与している<ref name=Yang2004><pubmed>15220930</pubmed></ref>。
 細胞分裂の前中期・中期にLIMK1の活性は上昇し、コフィリンのリン酸化レベルは上昇するが、後期・終期にかけてLIMK1の活性は低下し、コフィリンのリン酸化レベルは低下する<ref name=Amano2002><pubmed>11925442</pubmed></ref><ref name=Kaji2003><pubmed>12807904</pubmed></ref>。中期におけるLIMKによるコフィリンのリン酸化は紡錘体の正常な配向に必要であり、終期におけるコフィリンの脱リン酸化は正常な細胞質分裂に必要であることが示された<ref name=Kaji2003><pubmed>12807904</pubmed></ref><ref name=Kaji2008><pubmed>18079118</pubmed></ref>。Aurora AとLIMK1は中心体に共局在し、Aurora Aは、LIMK1の307番目のセリン、508番目のスレオニンをリン酸化して活性化する。同時に、LIMK1もAurora Aをリン酸化して活性化し、これらは紡錘体形成に関与する<ref name=Ritchey2012><pubmed>22214762</pubmed></ref>。また、LIMK1は収縮環のアクトミオシンリングの収縮に寄与している<ref name=Yang2004><pubmed>15220930</pubmed></ref>。