「LIMドメイン含有キナーゼ」の版間の差分

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=== 癌 ===
=== 癌 ===
 癌細胞におけるLIMK1とLIMK2の発現の上昇は、増殖、運動能や浸潤性を亢進し、癌の悪性化に寄与することが報告されている<ref name=Villalonga2023><pubmed>36899941</pubmed></ref>。培養細胞では、LIMK1の過剰発現によってコフィリンが過剰にリン酸化されると細胞の運動性は極端に低下し増殖できなくなることから、癌細胞ではLIMKの適度な発現量の増加が運動能、増殖能の亢進に寄与しているものと考えられる。LIMK2については、乳癌などいくつかのモデルにおいて関与が示されている。LIMK2は、前述のようにAurora-Aによるリン酸化によって活性化し乳癌の悪性化に働く。また、LIMK2はTWIST1, PTEN, NKX-3.1, SPOPをリン酸化し、分解を促進して癌の悪性化に関与する<ref name=Villalonga2023><pubmed>36899941</pubmed></ref>。
 癌細胞におけるLIMK1とLIMK2の発現の上昇は、増殖、運動能や浸潤性を亢進し、癌の悪性化に寄与することが報告されている<ref name=Villalonga2023><pubmed>36899941</pubmed></ref>。培養細胞では、LIMK1の過剰発現によってコフィリンが過剰にリン酸化されると細胞の運動性は極端に低下し増殖できなくなることから、癌細胞ではLIMKの適度な発現量の増加が運動能、増殖能の亢進に寄与しているものと考えられる。LIMK2については、乳癌などいくつかのモデルにおいて関与が示されている。LIMK2は、前述のようにAurora-Aによるリン酸化によって活性化し乳癌の悪性化に働く。また、LIMK2はTWIST1, PTEN, NKX-3.1, SPOPをリン酸化し、癌転移促進因子であるTWIST1ではプロテアソームによる分解の抑制、癌抑制因子であるPTEN, NKX-3.1, SPOPでは分解を促進して癌の悪性化に関与する<ref name=Villalonga2023><pubmed>36899941</pubmed></ref>。


== 阻害剤 ==
== 阻害剤 ==