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== 基質 == | == 基質 == | ||
SSH1, SSH2, SSH3は全て、アクチン切断・脱重合因子であるコフィリンの3番目のセリンを脱リン酸化して活性化する。SSH3のコフィリン脱リン酸化活性はSSH1, SSH2に比べて著しく弱い。SSHファミリーは、他にも脱リン酸化するタンパク質が明らかにされている<ref name=Mizuno2013></ref> [2]。SSH1は、LIMK1のキナーゼドメインの活性化ループの508番目のスレオニンを脱リン酸化し、LIMK1の活性を抑制する働きを持つ<ref name=Soosairajah2005><pubmed>15660133</pubmed></ref> [13]。SSH1は、F-アクチンに結合して活性化するため<ref name=Nagata-Ohashi2004></ref> [10] | SSH1, SSH2, SSH3は全て、アクチン切断・脱重合因子であるコフィリンの3番目のセリンを脱リン酸化して活性化する。SSH3のコフィリン脱リン酸化活性はSSH1, SSH2に比べて著しく弱い。SSHファミリーは、他にも脱リン酸化するタンパク質が明らかにされている<ref name=Mizuno2013></ref> [2]。SSH1は、LIMK1のキナーゼドメインの活性化ループの508番目のスレオニンを脱リン酸化し、LIMK1の活性を抑制する働きを持つ<ref name=Soosairajah2005><pubmed>15660133</pubmed></ref> [13]。SSH1は、F-アクチンに結合して活性化するため<ref name=Nagata-Ohashi2004></ref> [10]、LIMK1の活性化によるコフィリンのリン酸化に伴うアクチン重合の促進に対し、アクチンの重合度に合わせてコフィリンを活性化するとともにLIMK1の活性を抑制するフィードバック制御機構であると考えられる。 | ||
SSH1は、他にアクチン結合タンパク質の一つであるCoronin-1Bを脱リン酸化する<ref name=Cai2007><pubmed>17350576</pubmed></ref> [14]。Coronin-1Bは、ラメリポディアにおいてArp2/3複合体に結合してアクチン重合核形成を阻害するが、プロテインキナーゼC (PKC)によって2番目のセリン残基がリン酸化されると、その働きが低下する。SSH1は、このリン酸化されたCoronin-1Bを脱リン酸化・活性化することでArp2/3による過剰な核形成を制限して、単量体アクチンの枯渇を防ぎ、ラメリポディアにおけるアクチンターンオーバーを適切に保ち、その形成と維持に寄与していると考えられる<ref name=Cai2007><pubmed>17350576</pubmed></ref> [14]。 | |||
Coronin-1BはSSH1と結合し、SSH1をラメリポディアに局在化させることでラメリポディアにおけるコフィリンの活性化にも関与している<ref name=Cai2007><pubmed>17350576</pubmed></ref> [14]。しかし、コフィリンをin vitroで脱リン酸化する条件では、SSH1はCoronin-1Bを脱リン酸化しないとの報告もある<ref name=Kurita2008></ref> [4]。 | |||
また、アルツハイマー病におけるミトコンドリアの損傷による酸化ストレス応答にSSH1が関与することが見出され、SSH1はオートファゴソームの受容体として働くSQSTM1/p62の402番目のセリン残基を脱リン酸化し、損傷ミトコンドリアの除去やNrf2による酸化ストレス応答を抑制することが示されている<ref name=Fang2021></ref> [5](神経疾患との関連の項参照)。 | |||
== 活性制御因子 == | == 活性制御因子 == | ||