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(ページの作成:「カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は1982年に発見され、強力な血管拡張作用を持つ多機能神経ペプチドとして研究が進められてきた。 CGRPの主な作用はGsタンパク質を介したcAMP-PKA経路を主とし、さまざまな生理機能を示す。CREBやERKの活性化、グルタミン酸放出にも関与し、より複雑な神経修飾作用を持つ。CGRPの異常な増加は片頭痛の発症に関与…」) |
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{{box|text= カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は1982年に発見され、強力な血管拡張作用を持つ多機能神経ペプチドとして研究が進められてきた。主な作用はGsタンパク質を介したcAMP-PKA経路を主とし、さまざまな生理機能を示す。CREBやERKの活性化、グルタミン酸放出にも関与し、より複雑な神経修飾作用を持つ。CGRPの異常な増加は片頭痛の発症に関与し、これを標的としたモノクローナル抗体や小分子受容体拮抗薬が開発され、片頭痛治療において有効性が示されている。一方で、CGRPはストレス応答の抑制や炎症制御を介して生体を保護する役割も果たす。そのため、生体の恒常性維持には、CGRPの濃度は多すぎず、少なすぎず適切に調節されることが重要である。}} | |||
== カルシトニン遺伝子関連ペプチドとは == | |||
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide; CGRP)は1982年にラットの甲状腺から発見された<ref name=Amara1982><pubmed>6283379</pubmed></ref>1。当初は選択的スプライシングの一例として注目され、カルシトニンをコードするエクソンが除去されることで、CGRPをコードする新たな下流エクソンと、新たなポリアデニル化部位が含まれることが明らかとなった。そのため、この転写物は「カルシトニン遺伝子関連ペプチド」と命名された。その後の研究によりCGRPは多機能性をもつ重要な神経ペプチドとして認識されるに至った。 | |||
強力な血管拡張作用を有することから、降圧薬としての応用が期待された。しかし、高血圧におけるCGRPの役割は一定の方向を示さず、CGRPの減少が高血圧の発症に寄与する可能性は示唆されたものの<ref name=Kee2018><pubmed>30283343</pubmed></ref>2、正常状態での血圧制御には関与しない可能性も指摘されており<ref name=Russell2014><pubmed>25287861</pubmed></ref>3、コンセンサスは得られていない。そのため、降圧薬としての開発には至らなかった。1980年代にはCGRPが三叉神経で発現していることが明らかとなり<ref name=OConnor1988><pubmed>2470872</pubmed></ref>4、1990年代には、片頭痛患者の唾液中にCGRPが多く含まれていることが報告された<ref name=Nicolodi1990><pubmed>1690601</pubmed></ref>5。2000年代に入ると、CGRPの静脈内投与が片頭痛を誘発することが示され<ref name=Lassen2002><pubmed>11993614</pubmed></ref>6、片頭痛治療薬の標的として注目された。CGRP受容体拮抗薬(olcegepantやtelcegepant)の開発は、重篤な肝障害の発生により中止されたが、2010年代以降、CGRPまたはその受容体を標的とするモノクローナル抗体医薬品の開発が進展した。2018年には米国で初のCGRP関連抗体医薬品が承認され、片頭痛治療に貢献している。 | |||
構造 | == 構造 == | ||
37個のアミノ酸からなるペプチドであり、最初の7個のアミノ酸がジスルフィド結合により環状構造を形成する。この環状構造がCGRP受容体であるcalcitonin receptor-like receptor (CRLR)の膜貫通ドメインと相互作用し、受容体を活性化する<ref name=Conner2002><pubmed>12196113</pubmed></ref>7。残りのアミノ酸残基、8~37領域も受容体と直接結合するため、ペプチド性受容体拮抗薬としてCGRP (8-37)が用いられる<ref name=Hughes1991><pubmed>1797334</pubmed></ref>8。 | |||
CGRPはカルシトニン、アミリン、アドレノメデュリン、アドレノメデュリン2(インターメディン)とともにファミリーを形成している<ref name=Hay2018a><pubmed>29059473</pubmed></ref>9。CGRPにはαCGRPとβCGRPの2種類のアイソフォームが存在する。αCGRPは中枢および末梢神経系に多く発現し、血管拡張作用や、神経原性炎症(感覚神経が炎症を促進するメディエーターを放出する)の調節に関与する。一方、βCGRPは主に腸管神経系に発現しており、消化管の運動調節に関与すると考えられている。ヒトにおいてはαCGRPとβCGRPは3アミノ酸の違いがあるが、90%の相同性を有し、両者の生理機能に大きな差異はない<ref name=Sexton1991><pubmed>1668388</pubmed></ref>10。 | |||
CALCA遺伝子は選択的スプライシングを受け、カルシトニンまたはαCGRPのいずれかを産生する。一方、βCGRPはCALCB遺伝子から転写される。CALCA遺伝子からカルシトニンを生成するにはエクソン4が成熟タンパク質として発現される必要があるが、エクソン5とエクソン6が発現するとαCGRPが生成される(図1)。本稿では、特にことわりのない限り「CGRP」はαCGRPを指すものとする。 | CALCA遺伝子は選択的スプライシングを受け、カルシトニンまたはαCGRPのいずれかを産生する。一方、βCGRPはCALCB遺伝子から転写される。CALCA遺伝子からカルシトニンを生成するにはエクソン4が成熟タンパク質として発現される必要があるが、エクソン5とエクソン6が発現するとαCGRPが生成される(図1)。本稿では、特にことわりのない限り「CGRP」はαCGRPを指すものとする。 | ||
==組織分布 == | |||
CGRPは中枢神経および末梢神経に広く分布している。中枢神経では扁桃体、傍視床下核、青斑核に主に発現するほか、脊髄後角や血管周囲神経、知覚神経にも存在する<ref name=Russo2023><pubmed>36454715</pubmed></ref>11。CGRPの合成は主に三叉神経節細胞および脊髄後根神経節で行われ<ref name=Gibson1984><pubmed>6209366</pubmed></ref>12、無髄C線維の感覚神経中にサブスタンスPと共存することが知られている<ref name=Gibson1984 />12。また、運動神経においてはアセチルコリンの受容体の合成を増加させる栄養因子としての役割が示唆されている<ref name=New1986><pubmed>3490625</pubmed></ref>13。 | |||
脳内におけるCGRPの発現は広範囲に及び、脳幹から大脳皮質にまで広がっている。大脳皮質、小脳、海馬、視床、視床下部、脳幹の核においてほとんどすべてのニューロンがCGRPまたはCGRP受容体を発現している<ref name=Warfvinge2019><pubmed>28856910</pubmed></ref>14。 | 脳内におけるCGRPの発現は広範囲に及び、脳幹から大脳皮質にまで広がっている。大脳皮質、小脳、海馬、視床、視床下部、脳幹の核においてほとんどすべてのニューロンがCGRPまたはCGRP受容体を発現している<ref name=Warfvinge2019><pubmed>28856910</pubmed></ref>14。 | ||
== 細胞内分布 == | |||
CGRPは合成後、感覚神経末端内の小胞体に貯蔵され、神経の脱分極に伴いカルシウム依存性エキソサイトーシスを介して放出される<ref name=Meng2007><pubmed>17666428</pubmed></ref>15。放出されたCGRPは受容体と結合し、シグナル伝達を活性化する。一方で、余剰のCGRPは膜結合ペプチダーゼである中性エンドペプチダーゼ(ネプリライシン)により分解され、作用を失う<ref name=Katayama1991><pubmed>1717955</pubmed></ref>16。また、エンドセリン変換酵素によっても分解され、マウスの肺線維症を悪化させる可能性が示されている<ref name=Hartopo2013><pubmed>23306833</pubmed></ref>17。 | |||
機能 | == 機能 == | ||
=== 基本的特徴と受容体=== | |||
CGRPは神経修飾因子(neuromodulator)として中枢神経において多彩な機能を果たす。CGRPは以下の2種類の受容体を介して作用する(図2)。 | |||
==== CGRP受容体 ==== | |||
(CRLR/RMAP1複合体) | |||
構造:カルシトニン受容体様受容体(CRLR)と受容体活性修飾タンパク質(receptor activity-modifying protein 1; RAMP1)の複合体 | |||
シグナル伝達経路:Gsタンパク質を介してアデニル酸シクラーゼ(AC)を活性化し、cAMP-PKA経路を活性化する | |||
主な発現部位:頭蓋内血管<ref name=Eftekhari2013><pubmed>23958278</pubmed></ref><ref name=Edvinsson2010><pubmed>20416945</pubmed></ref>18, 19硬膜<ref name=Eftekhari2013 /><ref name=Lennerz2008><pubmed>18186028</pubmed></ref>18, 20三叉神経節<ref name=Eftekhari2010><pubmed>20472035</pubmed></ref><ref name=Tajti1999><pubmed>10412842</pubmed></ref><ref name=Eftekhari2015><pubmed>25463029</pubmed></ref>21, 22, 23脳幹<ref name=Tajti2001><pubmed>11422090</pubmed></ref>24、三叉神経尾核<ref name=Eftekhari2011><pubmed>22074408</pubmed></ref>25、大脳皮質、海馬、小脳<ref name=Eftekhari2011 />25、視床核、視床下核、視床後部<ref name=Sowers2020><pubmed>32750230</pubmed></ref>26、三叉神経脊髄路核<ref name=Walker2015><pubmed>26125036</pubmed></ref>27、扁桃体<ref name=Nguyen1986><pubmed>3488544</pubmed></ref>28、島皮質<ref name=Yasui1989><pubmed>2613940</pubmed></ref>29 | |||
==== AMY1受容体 ==== | |||
(CTR/RAMP1複合体) | |||
構造:カルシトニン受容体:(calcitonin receptor)とRAMP1の複合体 | |||
シグナル伝達経路:CGRP受容体と類似のcAMP-PKA経路 | |||
主な発現部位: 小径三叉神経ニューロン<ref name=Rees2022><pubmed>35620595</pubmed></ref>30、三叉神経脊髄路<ref name=Hay2017><pubmed>28485843</pubmed></ref>31、 プルキンエ細胞<ref name=Edvinsson2011><pubmed>21040789</pubmed></ref>32 | 主な発現部位: 小径三叉神経ニューロン<ref name=Rees2022><pubmed>35620595</pubmed></ref>30、三叉神経脊髄路<ref name=Hay2017><pubmed>28485843</pubmed></ref>31、 プルキンエ細胞<ref name=Edvinsson2011><pubmed>21040789</pubmed></ref>32 | ||
図 | 図 文献<ref name=Hay2018b><pubmed>29059473</pubmed></ref><ref name=Liu2020><pubmed>32151282</pubmed></ref><ref name=Eftekhari2016><pubmed>26105175</pubmed></ref>33,34,35より改変 | ||
中枢感作 | === 中枢感作 === | ||
CGRPは中枢感作(central sensitization)を引き起こし、慢性痛や片頭痛の病態形成に重要な役割を果たす。生理作用は以下の二つに分類される。 | CGRPは中枢感作(central sensitization)を引き起こし、慢性痛や片頭痛の病態形成に重要な役割を果たす。生理作用は以下の二つに分類される。 | ||
1)侵害受容伝達 | 1)侵害受容伝達 | ||
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7. 一方、記憶の形成と空間認知を担う海馬においても、CGRPは不安および恐怖記憶に関与する。海馬にCGRPを投与すると、恐怖文脈条件付けによる恐怖記憶の保持が低下し、これは転写調節因子Npas4の増加を介して生じることが報告されている<ref name=Hashikawa-Hobara2021><pubmed>33772088</pubmed></ref>44。さらに、CGRPの海馬投与により不安行動が誘発されるが、これはドパミン代謝酵素であるモノアミン酸化酵素Bのエピジェネティックな調節を介した産生増加により、ドパミンの減少が引き起こされることによると考えられている<ref name=Hashikawa-Hobara2024><pubmed>38503899</pubmed></ref>45。 | 7. 一方、記憶の形成と空間認知を担う海馬においても、CGRPは不安および恐怖記憶に関与する。海馬にCGRPを投与すると、恐怖文脈条件付けによる恐怖記憶の保持が低下し、これは転写調節因子Npas4の増加を介して生じることが報告されている<ref name=Hashikawa-Hobara2021><pubmed>33772088</pubmed></ref>44。さらに、CGRPの海馬投与により不安行動が誘発されるが、これはドパミン代謝酵素であるモノアミン酸化酵素Bのエピジェネティックな調節を介した産生増加により、ドパミンの減少が引き起こされることによると考えられている<ref name=Hashikawa-Hobara2024><pubmed>38503899</pubmed></ref>45。 | ||
CGRPの細胞保護 | === CGRPの細胞保護 === | ||
8. CGRPは、その強力な血管拡張作用を有することから推察されるように、心血管系において保護的な役割を果たす。例えば、血管肥大を抑制し<ref name=Argunhan2021><pubmed>33641368</pubmed></ref>46、酸化ストレスから守る働きを示す<ref name=Smillie2014><pubmed>24516108</pubmed></ref>47。肺においては、肺動脈の血管拡張を引き起こし、低酸素症による障害からの保護作用を持つ<ref name=Tjen-A-Looi1992><pubmed>1357980</pubmed></ref>48。一方で、小児の呼吸器疾患モデルマウスでは、肺においてCGRPが過剰発現し、低酸素症を引き起こすことが報告されており、CGRP受容体拮抗薬の投与によってその症状が抑制されることが示されている<ref name=Xu2022><pubmed>35303432</pubmed></ref>49。免疫系においてCGRPは炎症促進作用と抗炎症作用の両方を持つことが明らかになっている<ref name=Assas2014><pubmed>24592205</pubmed></ref><ref name=Shepherd2005><pubmed>16162264</pubmed></ref>50, 51。CGRPは肥満細胞に作用し、炎症性サイトカインやヒスタミンの放出を促進する<ref name=Piotrowski1986><pubmed>2417614</pubmed></ref>52。また、T細胞にも影響を与え、インターロイキン4の産生を増加させる一方で、インターフェロンγとインターロイキン2の産生を減少させる<ref name=Assas2014 />50。これらの知見は、CGRPは細胞保護効果を持つ一方で、過剰に遊離されると有害な影響を及ぼす可能性があることを示唆している。すなわち、組織障害時にCGRPの上昇は損傷を引き起こすのではなく、むしろ改善を図る代償的な反応であると考えられる。しかし、その発現量が増えれば増えるほど良いという単純な関係ではなく、CGRPは極めて複雑かつ広範囲な制御機能を有していることが示唆される。 | 8. CGRPは、その強力な血管拡張作用を有することから推察されるように、心血管系において保護的な役割を果たす。例えば、血管肥大を抑制し<ref name=Argunhan2021><pubmed>33641368</pubmed></ref>46、酸化ストレスから守る働きを示す<ref name=Smillie2014><pubmed>24516108</pubmed></ref>47。肺においては、肺動脈の血管拡張を引き起こし、低酸素症による障害からの保護作用を持つ<ref name=Tjen-A-Looi1992><pubmed>1357980</pubmed></ref>48。一方で、小児の呼吸器疾患モデルマウスでは、肺においてCGRPが過剰発現し、低酸素症を引き起こすことが報告されており、CGRP受容体拮抗薬の投与によってその症状が抑制されることが示されている<ref name=Xu2022><pubmed>35303432</pubmed></ref>49。免疫系においてCGRPは炎症促進作用と抗炎症作用の両方を持つことが明らかになっている<ref name=Assas2014><pubmed>24592205</pubmed></ref><ref name=Shepherd2005><pubmed>16162264</pubmed></ref>50, 51。CGRPは肥満細胞に作用し、炎症性サイトカインやヒスタミンの放出を促進する<ref name=Piotrowski1986><pubmed>2417614</pubmed></ref>52。また、T細胞にも影響を与え、インターロイキン4の産生を増加させる一方で、インターフェロンγとインターロイキン2の産生を減少させる<ref name=Assas2014 />50。これらの知見は、CGRPは細胞保護効果を持つ一方で、過剰に遊離されると有害な影響を及ぼす可能性があることを示唆している。すなわち、組織障害時にCGRPの上昇は損傷を引き起こすのではなく、むしろ改善を図る代償的な反応であると考えられる。しかし、その発現量が増えれば増えるほど良いという単純な関係ではなく、CGRPは極めて複雑かつ広範囲な制御機能を有していることが示唆される。 | ||
疾患との関わり | == 疾患との関わり == | ||
9. CGRPが片頭痛に関与しているという最初の報告は、1990年に片頭痛発作中の患者の血液中にCGRPレベルの大幅な上昇が見られたことから始まった<ref name=Goadsby1990><pubmed>1699472</pubmed></ref>53。この発見以後、唾液、涙、発作の間の片頭痛患者の血漿などでもCGRPの上昇が検出され、治療によって抑制されることが明らかとなった<ref name=Bellamy2006><pubmed>16412148</pubmed></ref><ref name=Kamm2019><pubmed>31603037</pubmed></ref><ref name=Cernuda-Moroll2013><pubmed>23975872</pubmed></ref><ref name=Cernuda-Moroll2015><pubmed>25735000</pubmed></ref>54, 55, 56, 57。また、CGRPを静脈注射することにより、片頭痛様の頭痛を引き起こすことが報告されている<ref name=Lassen2002 />6。一方で、CGRPの上昇が全ての片頭痛患者で観察されたわけではなく、CGRPの上昇が片頭痛のバイオマーカーとして機能するかどうかは不明のままである<ref name=Alpuente2022><pubmed>34601944</pubmed></ref>58。しかしCGRPを標的とする薬は臨床的有効性が確立している。最新の研究により、CGRP関連抗体医薬品の有効性が示されている。 | 9. CGRPが片頭痛に関与しているという最初の報告は、1990年に片頭痛発作中の患者の血液中にCGRPレベルの大幅な上昇が見られたことから始まった<ref name=Goadsby1990><pubmed>1699472</pubmed></ref>53。この発見以後、唾液、涙、発作の間の片頭痛患者の血漿などでもCGRPの上昇が検出され、治療によって抑制されることが明らかとなった<ref name=Bellamy2006><pubmed>16412148</pubmed></ref><ref name=Kamm2019><pubmed>31603037</pubmed></ref><ref name=Cernuda-Moroll2013><pubmed>23975872</pubmed></ref><ref name=Cernuda-Moroll2015><pubmed>25735000</pubmed></ref>54, 55, 56, 57。また、CGRPを静脈注射することにより、片頭痛様の頭痛を引き起こすことが報告されている<ref name=Lassen2002 />6。一方で、CGRPの上昇が全ての片頭痛患者で観察されたわけではなく、CGRPの上昇が片頭痛のバイオマーカーとして機能するかどうかは不明のままである<ref name=Alpuente2022><pubmed>34601944</pubmed></ref>58。しかしCGRPを標的とする薬は臨床的有効性が確立している。最新の研究により、CGRP関連抗体医薬品の有効性が示されている。 | ||
さらに、第二世代の小分子CGRP受容体拮抗薬 (gepant)は急性治療と予防治療の両方に適応があり、片頭痛発作の予防や、進行中の発作の抑制が可能である。米国食品医薬品局により承認されているが、本邦ではまだ未承認である(2025年3月現在)。 | さらに、第二世代の小分子CGRP受容体拮抗薬 (gepant)は急性治療と予防治療の両方に適応があり、片頭痛発作の予防や、進行中の発作の抑制が可能である。米国食品医薬品局により承認されているが、本邦ではまだ未承認である(2025年3月現在)。 | ||
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• Zavegepant: 鼻腔内製剤。経口薬で効果がない場合や、吐き気・嘔吐により服薬が困難な場合の選択肢となる。 | • Zavegepant: 鼻腔内製剤。経口薬で効果がない場合や、吐き気・嘔吐により服薬が困難な場合の選択肢となる。 | ||
関連語 | == 関連語 == | ||
* [[片頭痛]] | |||
* [[侵害受容]] | |||
* [[中枢感作]] | |||
参考文献 | == 参考文献 == | ||