「グレリン」の版間の差分

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<ref name=Mundinger2006><pubmed>16527847</pubmed></ref>(33)。
<ref name=Mundinger2006><pubmed>16527847</pubmed></ref>(33)。


[[ファイル:Kojima Ghrelin Fig4.png|サムネイル|'''(A) グレリン受容体 (B) リガンド結合ポケット'''<br>グレリン受容体とアンタゴニスト化合物21との複合体の切断面を見ると、リガンド結合ポケットが分岐していることがわかる<ref name=Shiimura2020><pubmed>32814772</pubmed></ref>(34)。]]
== 受容体とシグナル伝達 ==
== 受容体とシグナル伝達 ==
=== GHS-Rの構造とアイソフォーム ===
=== GHS-Rの構造とアイソフォーム ===
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=== 立体構造と受容体結合様式 ===
=== 立体構造と受容体結合様式 ===
 近年の研究により、グレリン受容体の立体構造が明らかになった。
 近年の研究により、グレリン受容体の立体構造が明らかになった。
2020年には、アンタゴニストCompound 21が結合した不活性型GHS-RのX線結晶構造が解明され、受容体のリガンド結合ポケットがE124³·³³とR283⁶·⁵⁵ (上付の数字はBallesteros-Weinstein numberingによる) のイオン結合により二股構造(Cavity IとCavity II)を形成していることが示された(図4,5)
2020年には、アンタゴニストCompound 21が結合した不活性型GHS-RのX線結晶構造が解明され、受容体のリガンド結合ポケットがE124³·³³とR283⁶·⁵⁵ (上付の数字はBallesteros-Weinstein numberingによる) のイオン結合により二股構造(Cavity IとCavity II)を形成していることが示された('''図4''')
<ref name=Shiimura2020><pubmed>32814772</pubmed></ref>(34)。
<ref name=Shiimura2020><pubmed>32814772</pubmed></ref>(34)。
2021年には、グレリンが結合した活性型GHS-Rの構造がクライオ電子顕微鏡解析により解明された
2021年には、グレリンが結合した活性型GHS-Rの構造がクライオ電子顕微鏡解析により解明された
<ref name=Liu2021><pubmed>34737341</pubmed></ref>
<ref name=Liu2021><pubmed>34737341</pubmed></ref><ref name=Qin2022><pubmed>35027551</pubmed></ref><ref name=Wang2021><pubmed>34417468</pubmed></ref>(35–37)。
<ref name=Qin2022><pubmed>35027551</pubmed></ref>
<ref name=Wang2021><pubmed>34417468</pubmed></ref>(35–37)。
グレリンのN末端から7番目のプロリンまでの領域がリガンド結合部位を占め、8番目のグルタミン酸以降の部分がαヘリックスを形成する。
グレリンのN末端から7番目のプロリンまでの領域がリガンド結合部位を占め、8番目のグルタミン酸以降の部分がαヘリックスを形成する。
グレリン受容体の二股構造は、グレリン結合に重要な役割を果たしており、グレリンのペプチド鎖とオクタン酸は、E124³·³³とR283⁶·⁵⁵のイオン結合を跨ぐようにして、それぞれCavity IとIIに収納されている。特に、Ser3に結合したオクタノイル基は、I178⁴·⁶⁰およびL181⁴·⁶³と疎水結合を形成し、受容体の活性化に寄与することが示された。
グレリン受容体の二股構造は、グレリン結合に重要な役割を果たしており、グレリンのペプチド鎖とオクタン酸は、E124³·³³とR283⁶·⁵⁵のイオン結合を跨ぐようにして、それぞれCavity IとIIに収納されている。特に、Ser3に結合したオクタノイル基は、I178⁴·⁶⁰およびL181⁴·⁶³と疎水結合を形成し、受容体の活性化に寄与することが示された。