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病識は多要因であり、成因も複数であることが考えられるため、個々の症例での丁寧なアセスメントにそって治療的アプローチを組み立てていくことが必要であろう。そのために治療効果についての実証的な研究には工夫が求められる。 | 病識は多要因であり、成因も複数であることが考えられるため、個々の症例での丁寧なアセスメントにそって治療的アプローチを組み立てていくことが必要であろう。そのために治療効果についての実証的な研究には工夫が求められる。 | ||
薬物療法では[[クロザピン]]で病識が改善したとの報告<ref><pubmed>10482343</pubmed></ref>が見られるものの、まだ十分に検討されていない。 | 薬物療法では[[抗精神病薬#第2世代|クロザピン]]で病識が改善したとの報告<ref><pubmed>10482343</pubmed></ref>が見られるものの、まだ十分に検討されていない。 | ||
治療関係の中で不安や挫折感を受け止めつつ、病気によって起こってきた変化や病感を一緒に確認し、障害認識そして病識へと高めていく個人精神療法のアプローチは重要である。安永<ref name=Yasunaga_seishinkagakuchuryougaku>'''安永浩'''<br>いわゆる病識から"姿勢"覚へ<br>''精神科学治療学:'' 1988, 3:43-50</ref>は、病覚ないしは病識を[[姿勢覚]]になぞらえ、内部図式の知覚であり、[[運動感覚]]的なもの、運用感覚であるとし、細部を知覚することはむしろ必要がなく、かんどころ、いわば関節部分が抑えられればよい、と述べた。そして以下のような精神療法の提言を行っている。「(病覚ないし病識の)認識の対象は外にあるものではない。自分のみのうち、精神身体空間の内部にある何者かである」「そのアナロジー(類推)として、「身のこなし」の感覚がやりやすい」と述べている。 | 治療関係の中で不安や挫折感を受け止めつつ、病気によって起こってきた変化や病感を一緒に確認し、障害認識そして病識へと高めていく個人精神療法のアプローチは重要である。安永<ref name=Yasunaga_seishinkagakuchuryougaku>'''安永浩'''<br>いわゆる病識から"姿勢"覚へ<br>''精神科学治療学:'' 1988, 3:43-50</ref>は、病覚ないしは病識を[[姿勢覚]]になぞらえ、内部図式の知覚であり、[[運動感覚]]的なもの、運用感覚であるとし、細部を知覚することはむしろ必要がなく、かんどころ、いわば関節部分が抑えられればよい、と述べた。そして以下のような精神療法の提言を行っている。「(病覚ないし病識の)認識の対象は外にあるものではない。自分のみのうち、精神身体空間の内部にある何者かである」「そのアナロジー(類推)として、「身のこなし」の感覚がやりやすい」と述べている。 |