16,039
回編集
細 (→受容体) |
細編集の要約なし |
||
9行目: | 9行目: | ||
== 分布 == | == 分布 == | ||
(細胞内分布はどうか、産生細胞は何か、どの組織に多いか判っておりましたら御記述下さい) | |||
== 構造== | |||
== 構造 | |||
通常、膜結合型の大きな[[wikipedia:Protein_precursor|前駆体分子]]として合成され、[[wikipedia:jp:細胞膜|細胞膜]]表面にアンカーされている。[[神経伝達]]や細胞損傷、細胞ストレスなどの刺激に反応して、細胞は[[ADAM]]などの膜結合型[[メタロプロテアーゼ]]が活性化し、NRG前駆体の細胞外ドメインを切断(シェデイング)して、その活性ドメインを放出する。多くの場合、このシェデイングが活性発揮の律速となっている。 | |||
その活性中心部は、約50-60[[wikipedia:jp:アミノ酸|アミノ酸]]からなる構造を呈し、6つの[[wikipedia:jp:システイン|システイン]]が3つの[[wikipedia:jp:ジスルフィド結合|ジスルフィド結合]]し、2つの[[wikipedia:jp:ベータシート|ベータシート]]構造を形成している。 | その活性中心部は、約50-60[[wikipedia:jp:アミノ酸|アミノ酸]]からなる構造を呈し、6つの[[wikipedia:jp:システイン|システイン]]が3つの[[wikipedia:jp:ジスルフィド結合|ジスルフィド結合]]し、2つの[[wikipedia:jp:ベータシート|ベータシート]]構造を形成している。 | ||
202行目: | 199行目: | ||
<br> | <br> | ||
== 細胞内シグナル伝達系 == | === 細胞内シグナル伝達系 === | ||
ErbBのシグナル伝達経路には、Grb2/Ras/Raf/MAPK([[マイトジェン活性化プロテインキナーゼ]])経路、 PI3K([[フォスフォイノシトール3キナーゼ]])/[[Akt]]経路、[[PLC]]γ(フォフォライペ-スCガンマ)/[[IP3]]経路の3つが存在する。このシグナル伝達の結果、神経系の細胞は増殖、分化、生存などの方向にむかう。 Grb2/Ras/Raf/MAPK経路は、ErbB1, ErbB2活性化から派生することが多く、主に細胞分化や増殖 に関与する。ErbB4活性化後には、主にPI3K/Akt経路が働き、細胞成長や抗[[アポトーシス]]を引き起こす。また、これらErbB 受容体はPLCγ/IP3経路も活性化し、Cキナーゼや細胞内カルシウムを動員し、細胞運動や細胞増殖に関与する。 | ErbBのシグナル伝達経路には、Grb2/Ras/Raf/MAPK([[マイトジェン活性化プロテインキナーゼ]])経路、 PI3K([[フォスフォイノシトール3キナーゼ]])/[[Akt]]経路、[[PLC]]γ(フォフォライペ-スCガンマ)/[[IP3]]経路の3つが存在する。このシグナル伝達の結果、神経系の細胞は増殖、分化、生存などの方向にむかう。 Grb2/Ras/Raf/MAPK経路は、ErbB1, ErbB2活性化から派生することが多く、主に細胞分化や増殖 に関与する。ErbB4活性化後には、主にPI3K/Akt経路が働き、細胞成長や抗[[アポトーシス]]を引き起こす。また、これらErbB 受容体はPLCγ/IP3経路も活性化し、Cキナーゼや細胞内カルシウムを動員し、細胞運動や細胞増殖に関与する。 | ||
208行目: | 205行目: | ||
特にErbB4分子は、神経細胞のなかで多くは[[PSD-95]]と結合し後シナプス部位に蓄積している。PSD-95分子を介してNMDA型グルタミン酸受容体とシグナル分子複合体を形成し、ErbB4シグナルは直接的に[[NMDA型グルタミン酸受容体]]の活動を調節しているとされている。NRG もしくは 電気刺激は、[[γ-セクレターゼ]]による ErbB4の細胞内ドメインの切断を促進し、核内に移行し分化や細胞死の誘導をする。切断されたErbB4の細胞内ドメインは、[[TAB2]]、[[N-CoR]]との複合体を形成し、遺伝子の転写を調節する能力を発揮する。 | 特にErbB4分子は、神経細胞のなかで多くは[[PSD-95]]と結合し後シナプス部位に蓄積している。PSD-95分子を介してNMDA型グルタミン酸受容体とシグナル分子複合体を形成し、ErbB4シグナルは直接的に[[NMDA型グルタミン酸受容体]]の活動を調節しているとされている。NRG もしくは 電気刺激は、[[γ-セクレターゼ]]による ErbB4の細胞内ドメインの切断を促進し、核内に移行し分化や細胞死の誘導をする。切断されたErbB4の細胞内ドメインは、[[TAB2]]、[[N-CoR]]との複合体を形成し、遺伝子の転写を調節する能力を発揮する。 | ||
== 生理活性 == | === 生理活性 === | ||
ErbB3とErbB2はおもに[[オリゴデンドロサイト]]に発現していて、その前駆細胞の増殖と分化に関与していることが知られている。オリゴデンドロサイトや[[シュワン細胞]]、その[[ミエリン]]形成の研究から、[[細胞間接着分子]]のように、神経細胞の[[形質膜]]上に存在する非可溶性のNRGが、グリア細胞膜上のErbB3と相互作用をしている可能性も示唆されている。 | ErbB3とErbB2はおもに[[オリゴデンドロサイト]]に発現していて、その前駆細胞の増殖と分化に関与していることが知られている。オリゴデンドロサイトや[[シュワン細胞]]、その[[ミエリン]]形成の研究から、[[細胞間接着分子]]のように、神経細胞の[[形質膜]]上に存在する非可溶性のNRGが、グリア細胞膜上のErbB3と相互作用をしている可能性も示唆されている。 |