「オートファジー」の版間の差分

56行目: 56行目:
=== 細胞内タンパク質の品質管理<ref name="ref1" /><ref><pubmed> 21087849 </pubmed></ref>===  
=== 細胞内タンパク質の品質管理<ref name="ref1" /><ref><pubmed> 21087849 </pubmed></ref>===  


 栄養が豊富な条件下においても、基底状態レベルのオートファジーが生じており、不要なタンパク質を分解している。実際、組織特異的オートファジー不全マウスを用いた解析では、ほとんどの組織でp62や[[ユビキチン]]陽性の凝集体が観察される。特に、あまり細胞分裂しない神経細胞や肝細胞では、オートファジーを介したタンパク質分解の役割が大きく、神経特異的オートファジー不全マウスでは神経変性が生じ、肝特異的オートファジー不全マウスでは肝肥大や[[wikipedia:JA:肝炎|肝炎]]、[[wikipedia:JA:腫瘍|腫瘍]](良性)が観察されるようになる。興味深いことに、ヒト神経疾患([[アルツハイマー病]]、[[パーキンソン病]]、[[ハンチントン病]]、[[筋萎縮性側索硬化症]]など)の多くで、構造的に類似した凝集体が観察されている。そのため、ラパマイシン誘導体などのオートファジー活性化剤による凝集体蓄積の抑制、[[神経変性疾患]]の発症抑制に期待が集まっている。しかしながら、オートファジーの異常がこれらの疾患の直接の原因であるかどうか、直接的な証拠は得られていない。
 栄養が豊富な条件下においても、基底状態レベルのオートファジーが生じており、不要なタンパク質を分解している。実際、組織特異的オートファジー不全マウスを用いた解析では、ほとんどの組織でp62やユビキチン陽性の凝集体が観察される。特に、あまり細胞分裂しない神経細胞や肝細胞では、オートファジーを介したタンパク質分解の役割が大きく、神経特異的オートファジー不全マウスでは神経変性が生じ、肝特異的オートファジー不全マウスでは肝肥大や[[wikipedia:JA:肝炎|肝炎]]、[[wikipedia:JA:腫瘍|腫瘍]](良性)が観察されるようになる。興味深いことに、ヒト神経疾患([[アルツハイマー病]]、[[パーキンソン病]]、[[ハンチントン病]]、[[筋萎縮性側索硬化症]]など)の多くで、構造的に類似した凝集体が観察されている。そのため、ラパマイシン誘導体などのオートファジー活性化剤による凝集体蓄積の抑制、[[神経変性疾患]]の発症抑制に期待が集まっている。しかしながら、オートファジーの異常がこれらの疾患の直接の原因であるかどうか、直接的な証拠は得られていない。
 
=== 不良ミトコンドリアの分解 (細胞内オルガネラの品質管理)<ref><pubmed> 21179058 </pubmed></ref>===  
=== 不良ミトコンドリアの分解 (細胞内オルガネラの品質管理)<ref><pubmed> 21179058 </pubmed></ref>===