「補足運動野」の版間の差分

編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
21行目: 21行目:
== 順序動作の制御<br>  ==
== 順序動作の制御<br>  ==


 複数の動作を適切な順序で実行すること(例.カップ麺の蓋を開けて"から"湯を入れるなど)は日常生活の中で重要な役割を持つが、補足運動野の損傷は一連の動作を順序立てて実行することが困難になる運動障害を引き起こす。その一方で個別の要素的運動を実行する限り目立った障害を示さない<ref><pubmed>591992</pubmed></ref>。健常者に於いても順序動作の実行に伴って補足運動野の脳血流が増加すること<ref><pubmed>7351547</pubmed></ref>、複数の動作を個別に行うよりも一連の動作として行う時に補足運動野上から記録される運動準備電位([[wikipedia:Bereitschaftspotential|Bereitschaftspotential]])が増強すること<ref><pubmed>4094721</pubmed></ref>が指摘されている。動物実験でも補足運動野、[[前補足運動野]]には動作の順序に選択的な活動を示すニューロンが数多く存在すること、[[GABA受容体]](GABAa)[[作動薬]]であるmuscimolをこれらの領域に注入することによって順序動作の実行が障害されるなど人間で得られた知見を支持する結果が得られている<ref><pubmed>11520914</pubmed></ref>。<br>  
 複数の動作を適切な順序で実行すること(例.カップ麺の蓋を開けて"から"湯を入れるなど)は日常生活を営む上で重要な役割を持つが、補足運動野の損傷は一連の動作を順序立てて実行することが困難になる運動障害を引き起こす。その一方で個別の要素的運動を実行する限り目立った障害を示さない<ref><pubmed>591992</pubmed></ref>。健常者に於いても順序動作の実行に伴って補足運動野の脳血流が増加すること<ref><pubmed>7351547</pubmed></ref>、複数の動作を個別に行うよりも一連の動作として行う時に補足運動野上から記録される運動準備電位([[wikipedia:Bereitschaftspotential|Bereitschaftspotential]])が増強すること<ref><pubmed>4094721</pubmed></ref>が指摘されている。動物実験でも補足運動野、[[前補足運動野]]には動作の順序に選択的な活動を示すニューロンが数多く存在すること、[[GABA受容体]](GABAa)[[作動薬]]であるmuscimolをこれらの領域に注入することによって順序動作の実行が障害されるなど人間で得られた知見を支持する結果が得られている<ref><pubmed>11520914</pubmed></ref>。<br>  


== 両手の協調運動<br>  ==
== 両手の協調運動<br>  ==


 片手で木の枝を引き寄せてもう片手で実を取る、両手で糸を結ぶなど目的を達するために両手を協調させて動作させることは様々な場面で見られるが、補足運動野の傷害は両手の協調動作にも重篤な障害をもたらす。例えばサルにアクリル板に開けた通し穴の中のレーズンを取らせると、片手でレーズンを穴の反対側に押し出しもう一方の手で受け取ることが容易に出来る。ところが補足運動野を損傷したサルでは穴の両側から同時に両手で押し出そうとして取り出すことが出来ない。対照的に運動前野を損傷したサルではこのような両手の協調運動障害は見られない<ref><pubmed>6716131</pubmed></ref>
 片手で木の枝を引き寄せてもう片手で実を取る、両手で糸を結ぶなど両手を協調させて動作させることは日常の様々な場面で見られるが、補足運動野の傷害は両手の協調動作にも重篤な障害をもたらす。例えばサルにアクリル板に開けた通し穴の中のレーズンを取らせると、片手でレーズンを穴の反対側に押し出しもう一方の手で受け取ることが容易に出来る。ところが補足運動野を損傷したサルでは穴の両側から同時に両手で押し出そうとして取り出すことが出来ない<ref name="Brinkman1984"><pubmed>6716131</pubmed></ref>。更に動物の補足運動野においては両手でボタンを押す際に選択的に活動するニューロンの存在が報告されている<ref><pubmed>3404223</pubmed></ref>が、こうした所見は両手協調運動に際しては、左右大脳半球の補足運動野がそれぞれ右手・左手の運動を独立に制御しているのではなく、両手の動作の組み合わせを生成していることを示唆する。注目すべき所見として、ヒトの補足運動野においては両手で同じ動作をさせた場合に比べて、左右の手で同時に異なる動作をさせると局所脳血流量の増大が著しいことが指摘されている<ref><pubmed>9391021</pubmed></ref>。両手運動では、両手が同じ動作をするよりも異なる動作をしつつ目的を達するために協調して動く事が一般的である。このように両手協調運動には左右の手の役割分担という側面があり、上記の研究成果及び補足運動野傷害サルの観察結果<ref name ="Brinkman1984"></ref>は、左右の手による異なる運動の使い分けに於ける本領野の重要性を示す。
 
---------------- 以下、書きかけ ----------------
更に動物の補足運動野においては両手を同時に使う際に選択的に活動するニューロンの存在が報告されている<ref><pubmed>3404223</pubmed></ref>
 
こうした所見からは両手の協調運動には補足運動野を含む左右大脳半球の運動中枢が
皮質運動野は基本的には反対側の体を支配するが、両手の協調運動に際しては
 
 
また、ヒトや動物の補足運動野においても両手を同時に使う際に選択的に出現する
 
また、ヒトの補足運動野においては同時に左右の手で異なる動作をさせると局所脳血流量が増大する一方、
 
<ref><pubmed>9391021</pubmed></ref>、動物に於いても
からも両手の動作に関係した神経活動がこれまでに記録されている<ref><pubmed>3404223</pubmed></ref>。
 
 
また、動物やヒトの脳からも両手の動作に関係した神経活動がこれまでに記録されている<ref><pubmed>9391021</pubmed></ref>。
 
<ref><pubmed>6716131</pubmed></ref>


= 関連項目<br>  =
= 関連項目<br>  =
139

回編集