「身体図式」の版間の差分

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 頭頂葉の損傷が身体の感覚や認識を障害することは神経心理学的研究によって明らかにされてきた。身体図式の障害について、Wolpertら,<ref name=ref5><pubmed> 10196553</pubmed></ref>は、左[[上頭頂小葉]]の損傷で、右上・下肢の身体位置感覚が閉眼によって失われるという症例を報告している。この症例は、身体図式が[[体性感覚]]と[[視覚情報]]の統合を必要とし、頭頂連合野が強く関わっていることを示した。
 頭頂葉の損傷が身体の感覚や認識を障害することは神経心理学的研究によって明らかにされてきた。身体図式の障害について、Wolpertら,<ref name=ref5><pubmed> 10196553</pubmed></ref>は、左[[上頭頂小葉]]の損傷で、右上・下肢の身体位置感覚が閉眼によって失われるという症例を報告している。この症例は、身体図式が[[体性感覚]]と[[視覚情報]]の統合を必要とし、頭頂連合野が強く関わっていることを示した。


 また右頭頂葉の損傷では、自分の左半分の空間を認識しない左[[半側空間無視]]の症状が観察される。自己の左半身の身体の存在を意識しなくなるという意味で、 半側[[身体失認]]を伴う場合がある。患者はしばしば、顔の左半分の化粧をしなかったり、服を着ても左半分をきちんと着れなかったりする。この他にも頭頂葉の損傷は、身体図式と身体イメージを含めた広義の身体意識に関わる症状を引き起こすことが報告されている(例えば、[[病態失認]]、[[身体失認]]、[[身体部位失認]])。  
 また右頭頂葉の損傷では、自分の左半分の空間を認識しない左[[半側空間無視]]の症状が観察される。自己の左半身の身体の存在を意識しなくなるという意味で、 半側[[身体失認]]を伴う場合がある。患者はしばしば、顔の左半分の化粧をしなかったり、服を着ても左半分をきちんと着れなかったりする。この他にも頭頂葉の損傷は、身体図式と身体イメージを含めた広義の身体意識に関わる症状を引き起こすことが報告されている(例えば、[[病態失認]]、身体失認、[[身体部位失認]])。


== マカクサルの大脳皮質を用いた電気生理学的知見 ==
== マカクサルの大脳皮質を用いた電気生理学的知見 ==