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== 歴史的背景 == | == 歴史的背景 == | ||
フグには強力な毒があるということは5000年も前から[[wikipedia:jp:エジプト|エジプト]]その他で知られていた。特に日本ではフグは最もおいしい[[wikipedia:jp:魚|魚]]として長い間賞玩されてきた。しかしその毒のために中毒死が絶えず、薬理学的な対象として広く研究されてきたとはいえ、以前は[[wikipedia:Kymograph|キモグラフ]]を使うような非常に古典的な手法によっていたので、[[wikipedia:jp:神経毒|神経毒]]であるこことは知られていても詳しい作用機構はわからなかった。1960年の初めにTTXの[[wikipedia:jp:化学構造|化学構造]]が決定され、また神経、筋肉などで興奮をつかさどるNa<sup>+</sup>チャネルを低濃度でしかも選択的に阻害することが証明されて以来、実験室でのchemical tool として世界中で広く使われ、一躍神経生理、薬理のチャンピオンとしてデビューするようになった。これをきっかけにして、いろいろな化合物がchemical tool | フグには強力な毒があるということは5000年も前から[[wikipedia:jp:エジプト|エジプト]]その他で知られていた。特に日本ではフグは最もおいしい[[wikipedia:jp:魚|魚]]として長い間賞玩されてきた。しかしその毒のために中毒死が絶えず、薬理学的な対象として広く研究されてきたとはいえ、以前は[[wikipedia:Kymograph|キモグラフ]]を使うような非常に古典的な手法によっていたので、[[wikipedia:jp:神経毒|神経毒]]であるこことは知られていても詳しい作用機構はわからなかった。1960年の初めにTTXの[[wikipedia:jp:化学構造|化学構造]]が決定され、また神経、筋肉などで興奮をつかさどるNa<sup>+</sup>チャネルを低濃度でしかも選択的に阻害することが証明されて以来、実験室でのchemical tool として世界中で広く使われ、一躍神経生理、薬理のチャンピオンとしてデビューするようになった。これをきっかけにして、いろいろな化合物がchemical tool として使われる様になり、またさまざまな治療薬のチャネルに対する影響の研究が盛んになり、channelopathy が重要な医学生物学の分野として発展するようになった。 | ||
== 化学構造 == | == 化学構造 == | ||
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== TTX抵抗性Na<sup>+</sup>チャネル == | == TTX抵抗性Na<sup>+</sup>チャネル == | ||
神経や筋肉のNa<sup>+</sup> | 神経や筋肉のNa<sup>+</sup>チャネルの中には高濃度のTTXではじめて阻害されるものがある。例えば[[後根神経節]]から[[脳]]に向かって痛みを伝える[[C繊維]]は、[[IC50]]が100 µM前後のTTX抵抗性Na<sup>+</sup>チャネルを含んでいる。[[痛み]]は非常に重要なテーマなので、TTX抵抗性Na<sup>+</sup>チャネルの研究は盛んになった。TTX抵抗性Na<sup>+</sup> チャネルも含めて、数種類のNa<sup>+</sup>チャネルが知られている。現在では命名法が統一されて、[[中枢神経|中枢]]、[[末梢神経]]および[[骨格筋]]にあるTTX感受性Na<sup>+</sup>チャネル(IC50=2-10 nM) はNav 1.1、1.2、1.3、1.4、および1.7、心筋と神経を除去された骨格筋にあるTTX抵抗性Na<sup>+</sup>チャネル(IC50=2 µM) はNav1.5、中枢、末梢神経にあるTTX 抵抗性Na<sup>+</sup>チャネル(IC50=1-100 µM) はNav1.8と1.9 と呼ばれている。 | ||
== フグ毒の分布 == | == フグ毒の分布 == |