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3.3. 神経発生における機能 Hes1, Hes3, Hes5は発生期の脳に発現し、神経分化を抑制して神経幹/前駆細胞の増殖、維持に働く。発生期の脳では、神経幹/前駆細胞として、初期では神経上皮細胞が、その後(マウスでは胎生約8.5日目から)放射状グリア細胞が現れるが、ノックアウトマウスによる解析から、Hes1, Hes5は放射状グリア細胞の維持に、Hes1, Hes3, Hes5は神経上皮細胞の維持に必須であることが示されている<ref><pubmed>(畠山2004、大塚1999)。 また、Hes1, Hes3, Hes5は発生期の脳の境界構造の維持にも重要である(<ref><pubmed>平田2001, Baek2006)。間脳の前視床と視床を区切る境界構造であるzona limitans intrathalamica(ZLI)は、Hes1, Hes5が無いと構造自体が失われる。Hes1,Hes3,Hes5が無いと、中脳と後脳の境界構造であるisthmusで、また、神経管の左右を区切る境界構造(背側側のroof plate, 腹側側のfloor plate)で、遺伝子発現や構造の異常が生じる。この異常は、これらの領域でHesにより抑制されていた神経分化が昂進することによると考えられる。 | 3.3. 神経発生における機能 Hes1, Hes3, Hes5は発生期の脳に発現し、神経分化を抑制して神経幹/前駆細胞の増殖、維持に働く。発生期の脳では、神経幹/前駆細胞として、初期では神経上皮細胞が、その後(マウスでは胎生約8.5日目から)放射状グリア細胞が現れるが、ノックアウトマウスによる解析から、Hes1, Hes5は放射状グリア細胞の維持に、Hes1, Hes3, Hes5は神経上皮細胞の維持に必須であることが示されている<ref><pubmed>(畠山2004、大塚1999)。 また、Hes1, Hes3, Hes5は発生期の脳の境界構造の維持にも重要である(<ref><pubmed>平田2001, Baek2006)。間脳の前視床と視床を区切る境界構造であるzona limitans intrathalamica(ZLI)は、Hes1, Hes5が無いと構造自体が失われる。Hes1,Hes3,Hes5が無いと、中脳と後脳の境界構造であるisthmusで、また、神経管の左右を区切る境界構造(背側側のroof plate, 腹側側のfloor plate)で、遺伝子発現や構造の異常が生じる。この異常は、これらの領域でHesにより抑制されていた神経分化が昂進することによると考えられる。 | ||
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