38
回編集
Taekokobayashi (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
Taekokobayashi (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
||
1行目: | 1行目: | ||
ショウジョウバエにおいて神経分化を抑制するhairyおよびenhancer of split (E(spl))の哺乳類相同遺伝子群。hairy and enhancer of splitの頭文字からHESと名付けられた<ref><pubmed>1340473</pubmed></ref>。転写を負に制御する抑制型のbasic helix-loop-helix (bHLH)型転写因子であり、多くはNotchシグナルのエフェクターである。ホモあるいはヘテロ二量体を形成して機能する。構造や機能で類似するHey/Hesrファミリー(Hes-related with YRPW motif)も存在する<ref><pubmed>11486044</pubmed></ref>。Hesは主に分化促進型のbHLH因子を抑制することによって、幹細胞や未分化細胞の維持に機能していると考えられている<ref name="ref3"><pubmed>17329370</pubmed></ref>。 | ショウジョウバエにおいて神経分化を抑制するhairyおよびenhancer of split (E(spl))の哺乳類相同遺伝子群。hairy and enhancer of splitの頭文字からHESと名付けられた<ref><pubmed>1340473</pubmed></ref>。転写を負に制御する抑制型のbasic helix-loop-helix (bHLH)型転写因子であり、多くはNotchシグナルのエフェクターである。ホモあるいはヘテロ二量体を形成して機能する。構造や機能で類似するHey/Hesrファミリー(Hes-related with YRPW motif)も存在する<ref><pubmed>11486044</pubmed></ref>。Hesは主に分化促進型のbHLH因子を抑制することによって、幹細胞や未分化細胞の維持に機能していると考えられている<ref name="ref3"><pubmed>17329370</pubmed></ref>。 | ||
==サブファミリー== | |||
ヒトでHes1からHes7まで同定されている。マウスではHes4は存在しない。Notchシグナルにより、Hes1, Hes5, Hes7の発現誘導が報告されている<ref name="ref4"><pubmed>10205173</pubmed></ref><ref><pubmed>11260262</pubmed></ref>。Notchシグナル以外にも、Hes1についてはBMP、FGF、 NFkappaB、 Shh、Wntシグナルにより<ref>Ryoichiro Kageyama, Jun Hatakeyama, Toshiyuki Ohtsuka, Transcription factors in the nervous system, Wiley-VDH</ref> <ref><pubmed>18430630</pubmed></ref>、Hes7についてもFGFシグナルによる発現誘導が報告されており<ref><pubmed>17681139 </pubmed></ref>、それぞれ細胞・組織特異的な発現パターンを示す。Hes1は最も解析が進んでおり、神経、感覚器、膵臓、内分泌細胞、血球細胞の発生に中心的な役割を持つことが報告されている<ref name="ref3" />。Hes3、Hes5はHes1と相補的に働く<ref name="ref9"><pubmed>15496443</pubmed></ref>。Hes7は体節形成に必須である<ref name="ref10"><pubmed>11641270</pubmed></ref>。Hes6はDNA結合能力が無く、Hes1とヘテロダイマーを形成することによってHes1機能を阻害する<ref><pubmed>10851137</pubmed></ref>。 | ヒトでHes1からHes7まで同定されている。マウスではHes4は存在しない。Notchシグナルにより、Hes1, Hes5, Hes7の発現誘導が報告されている<ref name="ref4"><pubmed>10205173</pubmed></ref><ref><pubmed>11260262</pubmed></ref>。Notchシグナル以外にも、Hes1についてはBMP、FGF、 NFkappaB、 Shh、Wntシグナルにより<ref>Ryoichiro Kageyama, Jun Hatakeyama, Toshiyuki Ohtsuka, Transcription factors in the nervous system, Wiley-VDH</ref> <ref><pubmed>18430630</pubmed></ref>、Hes7についてもFGFシグナルによる発現誘導が報告されており<ref><pubmed>17681139 </pubmed></ref>、それぞれ細胞・組織特異的な発現パターンを示す。Hes1は最も解析が進んでおり、神経、感覚器、膵臓、内分泌細胞、血球細胞の発生に中心的な役割を持つことが報告されている<ref name="ref3" />。Hes3、Hes5はHes1と相補的に働く<ref name="ref9"><pubmed>15496443</pubmed></ref>。Hes7は体節形成に必須である<ref name="ref10"><pubmed>11641270</pubmed></ref>。Hes6はDNA結合能力が無く、Hes1とヘテロダイマーを形成することによってHes1機能を阻害する<ref><pubmed>10851137</pubmed></ref>。 | ||
==ドメイン構造== | |||
bHLH, Orange, WRPWの三つのドメインが保存されている<ref name="ref3" />。bHLHドメインはDNA結合と二量体形成に必須である。basic領域の中央には他のbHLH因子にはないプロリン残基が保存されており、Hesファミリーに特異的なDNA結合配列であるClass C配列(CACG(C/A)G)、N box配列(CACNAG)に強く結合する。Orangeドメインには二つの両親媒性ヘリックスがあり、ヘテロ二量体形成時のパートナーの選択に関与する。WRPWドメインはTrp-Arg-Pro-Trpの4アミノ酸からなり、コリプレッサーであるTransducin-like E(spl) (TLE1-4)/ Groucho-related gene(grg)との結合に必須である。HeyファミリーではこのWRPWがYRPWに置換されており、TLEと強く結合できない<ref><pubmed>17586813</pubmed></ref>。 | bHLH, Orange, WRPWの三つのドメインが保存されている<ref name="ref3" />。bHLHドメインはDNA結合と二量体形成に必須である。basic領域の中央には他のbHLH因子にはないプロリン残基が保存されており、Hesファミリーに特異的なDNA結合配列であるClass C配列(CACG(C/A)G)、N box配列(CACNAG)に強く結合する。Orangeドメインには二つの両親媒性ヘリックスがあり、ヘテロ二量体形成時のパートナーの選択に関与する。WRPWドメインはTrp-Arg-Pro-Trpの4アミノ酸からなり、コリプレッサーであるTransducin-like E(spl) (TLE1-4)/ Groucho-related gene(grg)との結合に必須である。HeyファミリーではこのWRPWがYRPWに置換されており、TLEと強く結合できない<ref><pubmed>17586813</pubmed></ref>。 | ||
==機能== | |||
===リプレッサー機能=== | ===リプレッサー機能=== |
回編集