中間径フィラメント

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中間径フィラメント
概要
細胞骨格と呼ばれる細胞質内の蛋白性の線維系のひとつ。ミオシンフィラメントとアクチンフィラメントの中間の径8~11nmであることから中間径フィラメントと呼ばれる。細胞間で非常によく保存されている微小管やアクチン線維と異なり、相同性はあるが細胞の種類によって異なる蛋白が発現するので、細胞分化のマーカーとして病理診断にも用いられる。

中間径フィラメントの種類
線維芽細胞など間葉系細胞ではビメンチン、筋細胞ではデスミン、皮膚細胞ではケラチンが発現し、爪や毛の大部分を成す。核膜を裏打ちするラミンも中間径フィラメント類縁蛋白である。神経細胞ではニューロフィラメント、星状細胞ではGFAPが発現する。神経細胞では、発生の過程でネスチンが一過性に発現するので、神経幹細胞のマーカーとしてよく用いられる。

基本構造・重合
幾つかの点で、他の2種の細胞骨格線維とは大きく異なっている。中間径フィラメントには極性がない。また、重合にATPや、 GTPを要さず、細胞質内で脱重合している成分は少ない。一旦重合すると生理的な緩衝液で脱重合することはなく安定である。アクチンやチュブリンファミリーに比べ、構造が多様である。
しかし、N末C末の球状領域をつなぐ桿状領域(340aa)はファミリー内で良く保存されている。この部分でコイルドコイルをつくった二量体がアンチパラレルに結合して四量体のプロトフィラメントとなる。このプロトフィラメントが2つで、プロトフィブリルを形成、それが4つ集まり、10nmの太さになると考えられている。

機能
上皮細胞などではデスモゾームに中間径フィラメントが結合し、その構造を補強すると考えられている。皮膚でのケラチンは、毛、爪の主要成分である。しかし、ビメンチンやデスミンなどをノックアウトしても顕著な表現型はでないため、機能としては、細胞を構造的に補強する以外にはあまり分かっていない。

神経細胞とニューロフィラメント
ニューロフィラメントは安定で、渡銀染色で染まることがよく知られている。
他の中間径フィラメントと異なり、L, M, Hの3つの鎖からなり、H, M鎖が線維間の架橋構造を形成している。神経突起内は突起に平行に線維が形成される。有髄神経細胞の軸索では、髄鞘部ではニューロフィラメントは線維を形成しているが、ランビエの絞輪では直径が細くなるため、微小管中心の構造となる。にもかかわらず、軸索輸送を測定すると、ニューロフィラメントは遅い輸送ではあるが、末梢に向かって進んでいるので、ランビエの絞輪をどう通過するか興味深い。ニューロフィラメント各成分のノックアウトマウスでも、髄鞘の形成や軸索径に多少の影響が出る程度であった。現在、神経疾患における役割などに研究の焦点が向きつつある。


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