検索
retrieval
記憶(符号化、encoding)された情報を探して取り出すこと。その結果が想起であるが、検索と想起を区別しない場合もある。
目次
1 概要
2 検索手がかり
3 神経基盤
概要
記憶が失われたのではなく利用可能であるが、アクセスできない状態がある[1]ことは、検索の重要性を示している。学習、符号化は出来ていても、検索が成功する場合と失敗する場合がありえる。 検索、そして想起は構成的である [2]。記憶は再生されるのではなく、学習した情報を元に作り出される。よって、検索はtop-downの制御を受け、誘導されやすい性質を持つ[3]。また、検索により記憶が活性化状態となり、それが伝播・拡散していくことが仮定されている[4]。 前に学習した記憶の検索が、後に学習した記憶の検索に対して妨害的に働く干渉と、後の学習がそれ以前の学習に対して妨害的に働く干渉とがある。複数の学習に共通または対立する情報が含まれる場合、それらの検索に干渉が起きると考えられる[5]。また、干渉は遅延によっても影響を受ける。 検索、想起を繰り返すことは学習を繰り返すことよりも記憶保持に効果的である[6]。ただし検索の干渉があり、例えばA-B、A-Cの連合を学習した後、A-Bのみ検索、想起を繰り返すと、A-Cの想起が困難になる現象を検索誘導性忘却という [7]。
検索手がかり
retrieval cue 膨大な記憶情報のなかから目標とする情報を探し出すためには,目標とする情報と関連する情報を手がかりとして有効に利用することが重要である。適切な手がかりを用いることにより,記憶検索は促進される。符号化特定性原理[8]では、記銘時の符号化の文脈的状況と一致する手がかりほど有効とされる。記銘時の脳活動と検索時の脳活動が近いほど検索が成功しやすいという報告もある[9]。
神経基盤
脳画像研究において、検索に関わる部位は前頭と頭頂の外側部である[10]。側頭内側部は記銘と検索・想起の両方、さらに検索が成功でも失敗でも関わっていること等が考えれるため、その活動が検出されにくいのかもしれない。検索及び検索後モニタリングには、前頭葉背外側部と頭頂葉後部が関わっており、注意のメカニズムと関連が示唆されている[11]。