摂食障害
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切池 信夫、岩﨑 進一
大阪市立大学大学 大学院医学研究科 臨床医科学専攻(臓器器官病態内科学大講座)
DOI:10.14931/bsd.759 原稿受付日:2012年3月12日 原稿完成日:2013年2月15日
担当編集委員:加藤 忠史(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)
英語名:eating disorders 独:Essstörung 仏:Trouble des conduites alimentaires
摂食障害は、主に神経性無食欲症(anorexia nervosa)と神経性過(大)食症(bulimia nervosa)からなる。神経性無食欲症は身体像の障害、強いやせ願望や肥満恐怖などのため不食や摂食制限、あるいは過食しては嘔吐するため著しいやせと種々の身体・精神症状を生じる一つの症候群である。神経性過食症は、自制困難な摂食の欲求を生じて、短時間に大量の食物を強迫的に摂取しては、その後嘔吐や下剤の乱用、翌日の摂食制限、不食などにより体重増加を防ぎ、体重は神経性食思不振症ほど減少せず正常範囲内で変動し、過食後に無気力感、抑うつ気分、自己卑下をともなう一つの症候群である。これらの摂食障害が思春期から青年期の女性を中心に急増している。しかし最近の際立った特徴として、患者が前思春期の低年齢層から既婚の高年齢層まで拡がりをみせていることや、臨床像が多様化して非定型例が増加していることである。