テタヌス毒素
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英:tetanus toxin、英語略: 独: 仏:
同義語:
Tetanus(テタヌス)という用語は、破傷風による麻痺を”tetanus”として定義したヒポクラテスにより、最初に医学用語に記された。破傷風は、土壌中に棲息するグラム陽性型の嫌気性である破傷風菌 (Clostridium tetani) の胞子が、傷口から体内に侵入することにより感染が起こる。最初の感染から発症まで数日から4週間と異なるがこれは、(1) 胞子の出芽、(2) 毒素の産出と放出、(3) 脊髄内の標的細胞への毒素の結合と輸送、に必要な時間に相当する。その結果、中枢神経系のシナプス終末から放出される神経伝達物質の阻害を行い、痙性対麻痺を引き起こす。破傷風は通常、開口障害、嚥下障害そして項部硬直などの症状により始まる。麻痺は時間経過に伴い、胴体、腹部そして脚の筋肉へと下部へと広がっていく。破傷風はしばしば致命的となり、全身倦怠、呼吸器系や心不全の後、死に到る。世界最強の毒素の1つとして知られるテタヌス毒素のLD50は、マウスの抹消神経へ投与した場合、1 kgあたり0.4 ngから1 ngの間である。致死率は近年の医学の進歩により減少しているが、高齢者の患者の場合では依然として高い。破傷風のワクチン化(ホルムアルデヒドで処理した毒素)により、破傷風は先進国からはほとんど消失したが、ワクチン化が進んでいない国々では依然として年間数十万人もの人々が亡くなっている。