「アフリカツメガエル」の版間の差分

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 アフリカ原産の[[wj:カエル|カエル]]([[wj:両生類|両生類]])。古くは妊婦の尿中に含まれる[[wj:ヒト|ヒト]][[wj:絨毛性ゴナドトロピン|絨毛性ゴナドトロピン]](hCG)に応答し[[wj:排卵|排卵]]することから[[wj:妊娠|妊娠]]検査に用いられていたが、[[wj:卵|卵]]が比較的大きく(直径約1.2 mm)[[wj:胚|胚]]操作が容易であることから生物学、医学研究における[[モデル生物]]として世界に拡散し長い間重用されてきた。飼育は20℃前後で行われ比較的容易であるが、世代交代時間が1-2年と長く遺伝学には不向きとされている。近縁種の[[wj:ネッタイツメガエル]]''Xenopus tropicalis''はアフリカツメガエルの[[wj:染色体|染色体]]が偽4倍体であるのに対して2倍体であること、最近[[wj:ゲノム|ゲノム]]解読が終了したことなどからネッタイツメガエルも近年遺伝学を可能にする両生類モデル生物として拡大しつつある<ref name=ref1><pubmed>21963197</pubmed></ref>。  
 アフリカ原産の[[wj:カエル|カエル]]([[wj:両生類|両生類]])。古くは妊婦の尿中に含まれる[[wj:ヒト|ヒト]][[wj:絨毛性ゴナドトロピン|絨毛性ゴナドトロピン]](hCG)に応答し[[wj:排卵|排卵]]することから[[wj:妊娠|妊娠]]検査に用いられていたが、[[wj:卵|卵]]が比較的大きく(直径約1.2 mm)[[wj:胚|胚]]操作が容易であることから生物学、医学研究における[[モデル生物]]として世界に拡散し長い間重用されてきた。飼育は20℃前後で行われ比較的容易であるが、世代交代時間が1-2年と長く遺伝学には不向きとされている。近縁種の[[wj:ネッタイツメガエル|ネッタイツメガエル]]''Xenopus tropicalis''はアフリカツメガエルの[[wj:染色体|染色体]]が偽4倍体であるのに対して2倍体であること、最近[[wj:ゲノム|ゲノム]]解読が終了したことなどからネッタイツメガエルも近年遺伝学を可能にする両生類モデル生物として拡大しつつある<ref name=ref1><pubmed>21963197</pubmed></ref>。  
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=== 卵母細胞発現系  ===
=== 卵母細胞発現系  ===


 神経科学においては、アフリカツメガエル[[wj:卵母細胞|卵母細胞]]は[[wj:タンパク質|タンパク質]][[wj:翻訳|翻訳]]系として用いられてきた。とくに1980年代になって[[wikipedia:SP6 RNA polymerase|SP6]][[プロモーター]]を用いて特定の[[wj:cDNA|cDNA]]から[[wj:mRNA|mRNA]]を合成することが可能になった<ref name=ref2><pubmed>6091052</pubmed></ref>こともあり、[[wj:未受精卵|未受精卵]]および胚内へのmRNAの顕微注入により発現させた機能タンパク質の生物活性評価に用いられている。とく卵母細胞での[[wj:膜タンパク質|膜タンパク質]]の翻訳と[[パッチクランプ法]]などの電気生理実験を組み合わせて[[アセチルコリン受容体]]<ref name=ref3><pubmed>2843772</pubmed></ref>を含む多くの重要な[[受容体]]、[[チャネル]]分子の同定がなされている(図左)。同様の手法を用いて、mRNAプールからの発現クローニングも可能である<ref name=ref4><pubmed>2770868</pubmed></ref>。  
 神経科学においては、アフリカツメガエル[[wj:卵母細胞|卵母細胞]]は[[wj:タンパク質|タンパク質]][[wj:翻訳|翻訳]]系として用いられてきた。とくに1980年代になって[[wikipedia:SP6 RNA polymerase|SP6]][[プロモーター]]を用いて特定の[[wj:cDNA|cDNA]]から[[mRNA]]を合成することが可能になった<ref name=ref2><pubmed>6091052</pubmed></ref>こともあり、[[wj:未受精卵|未受精卵]]および胚内へのmRNAの顕微注入により発現させた機能タンパク質の生物活性評価に用いられている。とく卵母細胞での[[wj:膜タンパク質|膜タンパク質]]の翻訳と[[パッチクランプ法]]などの電気生理実験を組み合わせて[[アセチルコリン受容体]]<ref name=ref3><pubmed>2843772</pubmed></ref>を含む多くの重要な[[受容体]]、[[チャネル]]分子の同定がなされている(図左)。同様の手法を用いて、mRNAプールからの発現クローニングも可能である<ref name=ref4><pubmed>2770868</pubmed></ref>。  


[[Image:Xenopus Fig1.jpg|thumb|250px|'''図 卵母細胞発現系による機能解析'''<br>図は森田仁博士による。]]  
[[Image:Xenopus Fig1.jpg|thumb|250px|'''図 卵母細胞発現系による機能解析'''<br>図は森田仁博士による。]]


=== 発生  ===
=== 発生  ===