「アミロイドーシス」の版間の差分

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==アミロイドによる細胞毒性==
==アミロイドによる細胞毒性==
 アミロイド線維が持つ細胞毒性はアミロイドーシスにおける臓器不全の基本的病態と言える。しかしアミロイドタンパク質のどのような構造、分子状態が毒性を発揮するのかについては未だ明確ではない。特にAβと家族性アルツハイマー病遺伝子変異がもたらす分子病態の解析から、アミロイド線維そのものではなく、その中間体となるオリゴマー<ref><pubmed> 12702875 </pubmed></ref>に起因しているというオリゴマー仮説が提唱されている。
 アミロイド線維が発揮する細胞毒性はアミロイドーシスにおける臓器不全の基本的病態と言える。しかしアミロイドタンパク質のどのような構造、分子状態が毒性を発揮するのかについては未だ明確ではない。特にAβと家族性アルツハイマー病遺伝子変異がもたらす分子病態の解析から、アミロイド線維そのものではなく、その中間体となるオリゴマー<ref><pubmed> 12702875 </pubmed></ref>に起因しているというオリゴマー仮説が提唱されている。


 このアミロイドタンパク質の凝集物がどのように細胞傷害を惹起しているか、という点については、脂質二重膜の障害、酸化的ストレスや小胞体ストレスの惹起、ミトコンドリア障害などが想定されている<ref><pubmed> 23820032 </pubmed></ref>。興味深いことに、全く異なるアミロイドタンパク質であるAβとADanが蓄積するそれぞれのモデルマウスを、tauトランスジェニックマウスと交配するといずれもtau病理が亢進することが示され<ref><pubmed> 20385796 </pubmed></ref>、少なくとも大脳皮質に沈着するアミロイドが示す神経細胞傷害プロセスには共通性があることが示唆された。すなわち、アミロイドタンパク質の種類を問わず、どのような線維がどの細胞や臓器に沈着するかによって最終的にアミロイドーシスにおける病態が決定する可能性が考えられている。
 このアミロイドタンパク質の凝集物がどのように細胞傷害を惹起しているか、という点については、脂質二重膜の障害、酸化的ストレスや小胞体ストレスの惹起、ミトコンドリア障害などが想定されている<ref><pubmed> 23820032 </pubmed></ref>。興味深いことに、全く異なるアミロイドタンパク質であるAβとADanが蓄積するそれぞれのモデルマウスを、tauトランスジェニックマウスと交配するといずれもtau病理が亢進することが示され<ref><pubmed> 20385796 </pubmed></ref>、少なくとも大脳皮質に沈着するアミロイドが示す神経細胞傷害プロセスには共通性があることが示唆された。すなわち、アミロイドタンパク質の種類を問わず、どのような線維がどの細胞や臓器に沈着するかによって最終的にアミロイドーシスにおける病態が決定する可能性が考えられている。
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