「アミロイドーシス」の版間の差分

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 最近ではアミロイドを形成しうるアミロイドタンパク質がいずれもプリオン様の伝播能力を示す可能性が推測されている<ref><pubmed> 22660329 </pubmed></ref><ref><pubmed> 24005412 </pubmed></ref>。実際、全身性アミロイドーシスの一つであるAAアミロイドーシスはモデル[[wikipedia:ja:マウス|マウス]]を用いた伝播実験が確認されているが、野生の[[wikipedia:ja:チーター|チーター]]においてAAアミロイドーシス発症頻度が近年上昇していることが示されていた。そして興味深いことに、AAアミロイドーシスを発症した個体の糞に伝播性が極めて高いアミロイドA線維が含まれていることが明らかとなった<ref><pubmed> 18474855 </pubmed></ref>。
 最近ではアミロイドを形成しうるアミロイドタンパク質がいずれもプリオン様の伝播能力を示す可能性が推測されている<ref><pubmed> 22660329 </pubmed></ref><ref><pubmed> 24005412 </pubmed></ref>。実際、全身性アミロイドーシスの一つであるAAアミロイドーシスはモデル[[wikipedia:ja:マウス|マウス]]を用いた伝播実験が確認されているが、野生の[[wikipedia:ja:チーター|チーター]]においてAAアミロイドーシス発症頻度が近年上昇していることが示されていた。そして興味深いことに、AAアミロイドーシスを発症した個体の糞に伝播性が極めて高いアミロイドA線維が含まれていることが明らかとなった<ref><pubmed> 18474855 </pubmed></ref>。


 糞便を介したアミロイドーシス伝播は、野生動物におけるプリオン病([[wikipedia:ja:ヒツジ|ヒツジ]]おける[[スクレイピー]]、[[wikipedia:ja:シカ|シカ]]における[[Chronic wasting disease[[)の[[wikipedia:ja:水平伝播|水平伝播]]メカニズムを説明できるものとして注目を集めている。特に末梢神経や[[wikipedia:ja:リンパ節|リンパ節]]を介したプリオンの伝播に関しては、食物摂取などを介した末梢組織から生じうる限局性アミロイドーシスの発症機構を担っている可能性がある<ref><pubmed> 24189576 </pubmed></ref>。またAβについても、アルツハイマー病モデルマウスの[[wikipedia:ja:腹腔|腹腔]]内にAβ線維を注入すると[[大脳皮質]]でのAβの沈着が亢進することも示されている<ref><pubmed> 20966215 </pubmed></ref>。
 糞便を介したアミロイドーシス伝播は、野生動物におけるプリオン病([[wikipedia:ja:ヒツジ|ヒツジ]]おける[[スクレイピー]]、[[wikipedia:ja:シカ|シカ]]における[[Chronic wasting disease]])の[[wikipedia:ja:水平伝播|水平伝播]]メカニズムを説明できるものとして注目を集めている。特に末梢神経や[[wikipedia:ja:リンパ節|リンパ節]]を介したプリオンの伝播に関しては、食物摂取などを介した末梢組織から生じうる限局性アミロイドーシスの発症機構を担っている可能性がある<ref><pubmed> 24189576 </pubmed></ref>。またAβについても、アルツハイマー病モデルマウスの[[wikipedia:ja:腹腔|腹腔]]内にAβ線維を注入すると[[大脳皮質]]でのAβの沈着が亢進することも示されている<ref><pubmed> 20966215 </pubmed></ref>。


 このようなタンパク質凝集物の細胞間伝播という概念は必ずしもアミロイドの形成には依存しておらず、凝集して線維を形成するタンパク質に普遍的に観察される可能性があり、最近では様々な神経変性疾患において細胞内に蓄積するタンパク質([[タウ]]、[[シヌクレイン]]、[[TDP-43]]など)においても伝播能力の存在が確認されつつある<ref><pubmed> 24005412 </pubmed></ref>。また[[wikipedia:ja:酵母|酵母]]などにおいてはプリオン様タンパク性因子による形質転換が報告されており、タンパク質の構造変化に依存した形質の伝播様式として注目されている<ref><pubmed> 23379365 </pubmed></ref>。
 このようなタンパク質凝集物の細胞間伝播という概念は必ずしもアミロイドの形成には依存しておらず、凝集して線維を形成するタンパク質に普遍的に観察される可能性があり、最近では様々な神経変性疾患において細胞内に蓄積するタンパク質([[タウ]]、[[シヌクレイン]]、[[TDP-43]]など)においても伝播能力の存在が確認されつつある<ref><pubmed> 24005412 </pubmed></ref>。また[[wikipedia:ja:酵母|酵母]]などにおいてはプリオン様タンパク性因子による形質転換が報告されており、タンパク質の構造変化に依存した形質の伝播様式として注目されている<ref><pubmed> 23379365 </pubmed></ref>。