「アルツハイマー病」の版間の差分

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===病態機序に関わる分子===
===病態機序に関わる分子===
====Aβの発見====
====Aβの発見====
 1984年にアルツハイマー病の脳に見られる脳血管アミロイドーシス、1985年にはアルツハイマー病と共通の病理所見を呈する[[ダウン症]]脳の脳血管アミロイドーシスの沈着物質が未知の配列(Aβ)であることが示された。翌1985年にADおよび[[ダウン症]]脳実質の老人斑の精製により、その主要構成成分がAβであることが判明した<ref><pubmed> 3159021 </pubmed></ref>。その後のクローニングとアルツハイマー病の原因遺伝子としての''APP''の発見により、''APP''の変異や重複によりAβ産生が増加するとADを発症すると考えられるようになった。
 1984年にアルツハイマー病の脳に見られる脳血管アミロイドーシス、1985年にはアルツハイマー病と共通の病理所見を呈する[[ダウン症]]脳の脳血管アミロイドーシスの沈着物質が未知の配列(Aβ)であることが示された。翌1985年にADおよびダウン症脳実質の老人斑の精製により、その主要構成成分がAβであることが判明した<ref><pubmed> 3159021 </pubmed></ref>。その後のクローニングとアルツハイマー病の原因遺伝子としての''APP''の発見により、''APP''の変異や重複によりAβ産生が増加するとADを発症すると考えられるようになった。


 細胞外に分泌されるAβには主に[[Aβ42]]と[[Aβ40]]があるが、AD脳の免疫組織化学から、老人斑の大部分はAβ42から構成され、またdiffuse plaqueはAβ42のみを含むことからAβ42は最初期に沈着することがわかり<ref><pubmed> 8043280 </pubmed></ref>、''APP''や''PSEN''の変異によるAβ42の比率の上昇が疾患発症につながる根拠が示された。
 細胞外に分泌されるAβには主に[[Aβ42]]と[[Aβ40]]があるが、AD脳の免疫組織化学から、老人斑の大部分はAβ42から構成され、またdiffuse plaqueはAβ42のみを含むことからAβ42は最初期に沈着することがわかり<ref><pubmed> 8043280 </pubmed></ref>、''APP''や''PSEN''の変異によるAβ42の比率の上昇が疾患発症につながる根拠が示された。