「エンドカンナビノイド」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
3行目: 3行目:
同義語:内因性カンナビノイド  
同義語:内因性カンナビノイド  


エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)とは生体内で作られるカンナビノイド受容体のリガンドの総称である。大麻草(学名:Cannabis sativa)に含まれる生理活性成分の総称名カンナビノイドに対して内因性のカンナビノイドであることから名付けられた。いわゆる脳内マリファナ類似物質である。主要なものとしてアナンダミドと2—アラキドノイルグリセロール(2-AG)があり、どちらもアラキドン酸を含む脂質性の物質である(図1)。 <img src="/w/images/thumb/e/e2/Yukihashimotodani_fig_1.jpg/400px-Yukihashimotodani_fig_1.jpg" _fck_mw_filename="Yukihashimotodani fig 1.jpg" _fck_mw_width="400" _fck_mw_type="thumb" alt="図1 エンドカンナビノイドの構造" class="fck_mw_frame fck_mw_right" />
エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)とは生体内で作られるカンナビノイド受容体のリガンドの総称である。大麻草(学名:Cannabis sativa)に含まれる生理活性成分の総称名カンナビノイドに対して内因性のカンナビノイドであることから名付けられた。いわゆる脳内マリファナ類似物質である。主要なものとしてアナンダミドと2—アラキドノイルグリセロール(2-AG)があり、どちらもアラキドン酸を含む脂質性の物質である(図1)。 [[Image:Yukihashimotodani_fig_1.jpg|thumb|right|400px|図1 エンドカンナビノイドの構造]]<br>


== 種類  ==
== 種類  ==
11行目: 11行目:
== 生合成と分解  ==
== 生合成と分解  ==


アナンダミドと2-AGの生合成には複数の経路が知られている。ここでは最も主要であると考えられている経路を示す<ref><pubmed>14595399</pubmed></ref><ref><pubmed>16678907</pubmed></ref>。アナンダミドと2-AGはどちらも膜のリン脂質から2つの酵素反応によって生成される。アナンダミドはN-アシル転移酵素とホスホリパーゼD、2-AGはホスホリパーゼC(PLC)とジアシルグリセロールリパーゼ(DGL)によって生成される(図2)。中枢神経系においてエンドカンナビノイドはもっぱらニューロンで作られる。しかしグリア細胞も作ることができるとの報告がある<ref><pubmed>15371507</pubmed></ref>。どちらのエンドカンナビノイドも加水分解によって代謝される。アナンダミドは脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)、2-AGはモノアシルグリセロールリパーゼ(MGL)によって分解される(図2)。これら主要経路以外にもシクロオキシゲナーゼー2(COX-2)による酸化によってもアナンダミド、2-AGともに代謝される。また最近2-AGを選択的に分解する新たな酵素としてABHD6とABHD12が同定された<ref><pubmed>18096503</pubmed></ref>。&nbsp;&lt;img src="/w/images/thumb/b/b2/Yukihashimotodani_fig_2.jpg/400px-Yukihashimotodani_fig_2.jpg" _fck_mw_filename="Yukihashimotodani fig 2.jpg" _fck_mw_location="right" _fck_mw_width="400" _fck_mw_type="thumb" alt="図2 エンドカンナビノイドの生合成と分解経路 橋本谷祐輝 他:実験医学,Vol.28 No.20:3409-3414,2010より引用" class="fck_mw_frame fck_mw_right" /&gt;
アナンダミドと2-AGの生合成には複数の経路が知られている。ここでは最も主要であると考えられている経路を示す<ref><pubmed>14595399</pubmed></ref><ref><pubmed>16678907</pubmed></ref>。アナンダミドと2-AGはどちらも膜のリン脂質から2つの酵素反応によって生成される。アナンダミドはN-アシル転移酵素とホスホリパーゼD、2-AGはホスホリパーゼC(PLC)とジアシルグリセロールリパーゼ(DGL)によって生成される(図2)。中枢神経系においてエンドカンナビノイドはもっぱらニューロンで作られる。しかしグリア細胞も作ることができるとの報告がある<ref><pubmed>15371507</pubmed></ref>。どちらのエンドカンナビノイドも加水分解によって代謝される。アナンダミドは脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)、2-AGはモノアシルグリセロールリパーゼ(MGL)によって分解される(図2)。これら主要経路以外にもシクロオキシゲナーゼー2(COX-2)による酸化によってもアナンダミド、2-AGともに代謝される。また最近2-AGを選択的に分解する新たな酵素としてABHD6とABHD12が同定された<ref><pubmed>18096503</pubmed></ref>。[[Image:Yukihashimotodani_fig_2.jpg|thumb|right|500px|図2 エンドカンナビノイドの生合成と分解経路 橋本谷祐輝 他:実験医学,Vol.28 No.20:3409-3414,2010より引用]]


== カンナビノイド受容体  ==
== カンナビノイド受容体  ==
42行目: 42行目:


== 参考文献  ==
== 参考文献  ==
<references/>
 
(執筆者:橋本谷祐輝、狩野方伸 担当編集委員:尾藤晴彦)
<references /> (執筆者:橋本谷祐輝、狩野方伸 担当編集委員:尾藤晴彦)