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=== Mbh1のエンハンサー  ===
=== Mbh1のエンハンサー  ===


 動物では、千種類以上の様々な個性を持つ神経細胞が正しく分化し、それらが役割分担しながら情報処理を行っている。脊髄の交連神経細胞のアイデンティティーを決定する遺伝子として、転写制御因子Mbh1(Mammalian Bar-class homeobox 1)がある(27)(28)。胎生期のマウス胚の脊髄背側におけるMbh1の発現は、プロニューラル因子の一つであるAtoh1(Math1)(Mammalian atonal homolog 1)と非常によく似ている(29)。プロニューラル因子と呼ばれる転写制御因子は、神経細胞の分化を開始させるスイッチとして働く(30)。トランスジェニックマウスを用いたエンハンサー解析ならびに免疫沈降法により、Mbh1遺伝子の3’側にエンハンサーが存在し、その中のE-box(CAGCTG)にAtoh1タンパク質が結合することが示された(29)。E-boxをもつレポーター遺伝子とAtoh1を共にin vivo electroporation法によって脊髄に導入すると、レポーター遺伝子の転写が活性化したことから、Atoh1タンパク質はこのE-boxを介してMbh1遺伝子の転写を直接活性化すると考えられる。Mbh1は、プロニューラル因子が直接制御する遺伝子として同定されている数少ないもののうちの一つである。<br>  
 動物では、千種類以上の様々な個性を持つ神経細胞が正しく分化し、それらが役割分担しながら情報処理を行っている。脊髄の交連神経細胞のアイデンティティーを決定する遺伝子として、転写制御因子Mbh1(Mammalian Bar-class homeobox 1)がある<ref><pubmed>9698441</pubmed></ref><ref><pubmed>12657654</pubmed></ref>。胎生期のマウス胚の脊髄背側におけるMbh1の発現は、プロニューラル因子の一つであるAtoh1(Math1)(Mammalian atonal homolog 1)と非常によく似ている<ref name=ref29><pubmed>15788459</pubmed></ref>。プロニューラル因子と呼ばれる転写制御因子は、神経細胞の分化を開始させるスイッチとして働く<ref><pubmed>12094208</pubmed></ref>。トランスジェニックマウスを用いたエンハンサー解析ならびに免疫沈降法により、Mbh1遺伝子の3’側にエンハンサーが存在し、その中のE-box(CAGCTG)にAtoh1タンパク質が結合することが示された<ref name=ref29 />。E-boxをもつレポーター遺伝子とAtoh1を共にin vivo electroporation法によって脊髄に導入すると、レポーター遺伝子の転写が活性化したことから、Atoh1タンパク質はこのE-boxを介してMbh1遺伝子の転写を直接活性化すると考えられる。Mbh1は、プロニューラル因子が直接制御する遺伝子として同定されている数少ないもののうちの一つである。<br>  


== 関連項目  ==
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