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ガイドポスト細胞とは、神経細胞の軸索伸長や移動の手助けとなる構造を提供する細胞のこと。さまざまなタイプの細胞がガイドポスト細胞として働くが、なかでも未成熟な神経細胞やグリア細胞が多い。
ガイドポスト細胞とは、神経細胞の軸索伸長や移動の手助けとなる構造を提供する細胞のこと。さまざまなタイプの細胞がガイドポスト細胞として働くが、なかでも未成熟な神経細胞やグリア細胞が多い。
ガイドポスト細胞とは、他の神経細胞の軸索伸長や細胞移動をサポートする特殊な構造を提供する細胞についての総称である。未成熟な神経細胞やグリア細胞を含むさまざまなタイプの細胞がガイドポスト細胞として機能する場合がある。ガイドポスト細胞はサポートする神経細胞の最終的な投射ターゲットではなく、サポートする神経細胞に一過的に接触することで何らかのガイダンス作用を及ぼす。ガイドポスト細胞の多くが神経回路の成熟にともなって消失したり、異なる細胞タイプへと分化したりしてしまうなど、その役割は神経回路形成時に限られる。
== ガイドポスト細胞の定義 ==
ある細胞Aが神経細胞Bのガイドポスト細胞であると見なす基準として、以下のような点が挙げられる。
# A細胞はB神経細胞の軸索投射経路や移動経路に前もって分布する。
# A細胞にB神経細胞が一過的に接触することで、B神経細胞の移動や軸索投射に何らかの作用が及ぼされる。この点に関しては、実際に両者の物理的な接触が詳細に解析されている場合もあるが(Bently and Keshishian, 1982)、両者が隣接するという程度の確認しかされていない場合も多い。
# A細胞が欠失したり、A細胞の何らかの機能が阻害されると、B神経細胞の正常な軸索投射や細胞移動が損なわれる。
# A細胞はB神経細胞の最終的な軸索投射ターゲットではない。
神経回路が作られる過程では、さまざまな細胞が「ガイドポスト細胞的」な役割を担っている。例えば、発生期の神経管の腹側正中部に形成されるシグナルセンターとして有名なフロアプレートは、脊髄交連性ニューロンに対するガイドポスト細胞と考えることが可能である。しかし、慣習的にフロアプレートの細胞はintermediate targetsと表現されることはあっても、ガイドポスト細胞と表現されることはほとんどない。それゆえ、ガイドポスト細胞という表現を用いる時には、その細胞の特性だけでなく、慣習的な使用例にも注意が必要である。
Chaoの一過性の相互作用総説<ref><pubmed> 19300445 </pubmed></ref>
== ガイドポスト細胞の発見 ==
ガイドポスト細胞の特性が最初に報告されたのは、トノサマバッタの付属肢における軸索投射の研究である(図1)。バッタの付属肢が発生する際に、付属肢の先端にTi1と呼ばれる感覚神経細胞が分化する。このTi1神経細胞は付属肢の中で最初に軸索を伸ばすパイオニアニューロンで(Bate 1976)、その軸索は直角な方向転換を含む特定の経路を経由して中枢へと投射する。この特徴的な軸索投射経路には、前もっていくつかの細胞が飛び石状に分布する。これらの細胞のうちCx1と呼ばれる細胞にTi1の軸索が接触すると軸索の伸長方向が変化することや、放射線照射でCx1細胞を取り除くとTi1の軸索が正常な経路を伸長することができずに迷走してしまうことから、Cx1細胞はTi1神経細胞の正常な軸索伸長をサポートするガイドポスト細胞であることが明らかとなった(XXXXXXXXXXX 総説も)。色素や電子顕微鏡を用いた解析から、両者が物理的に接触することも示されている。Cx細胞はその後
== 哺乳類におけるガイドポスト細胞 ==
哺乳類の神経発生においても、さまざまなガイドポスト細胞が働くことが知られており、以下に代表的な例を紹介する。
=== glial sling ===
glial slingは脳梁を構成する皮質交連性線維の軸索伸長をサポートする(図2)
=== corridor cells ===
corridor cells視床から新皮質への軸索投射をサポートする(図3)回廊を意味するcorridorの名前が付けられた。
=== lot cells(lot細胞) ===
マウスの脳で見つかった。lot cellsは嗅球から嗅皮質への軸索投射をサポートする(図4)
lot-1抗体(mGluR1)陽性の細胞。
嗅球軸索束を囲むように分布する
lot細胞が、神経回路が成熟するにともなってどのような運命を辿るのかは明らかとなっていない。少なくともlot-1抗体に陽性な細胞群は成体マウス脳のLOT周辺から消失する。
抗原の同定mGluR1<ref><pubmed> 22539416 </pubmed></ref>
佐藤君のlot細胞論文<ref><pubmed> 9742149 </pubmed></ref>
lot細胞日本語の総説<ref><pubmed> 12486929 </pubmed></ref>
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伊藤君のSema3F論文<ref><pubmed> 18434520 </pubmed></ref>
富岡さんの論文<ref><pubmed> 10908621 </pubmed></ref>
SahaのLhx2の論文<ref><pubmed> 17329426 </pubmed></ref>
哺乳類の脳においては、特に以下の3種類のガイドポスト細胞について研究が進んでいる。
# 脳梁を構成する皮質交連性線維の軸索伸長をサポートする”glial sling”
# 視床から新皮質への軸索投射をサポートする”corridor cells”
# 嗅球から嗅皮質への軸索投射をサポートする”lot cells”
== 参考文献  ==
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2016年1月7日 (木) 08:50時点における版

ガイドポスト細胞

英:guidepost cells 同義語:道しるべ細胞、道標細胞、guidepost neurons

ガイドポスト細胞とは、神経細胞の軸索伸長や移動の手助けとなる構造を提供する細胞のこと。さまざまなタイプの細胞がガイドポスト細胞として働くが、なかでも未成熟な神経細胞やグリア細胞が多い。

ガイドポスト細胞とは、他の神経細胞の軸索伸長や細胞移動をサポートする特殊な構造を提供する細胞についての総称である。未成熟な神経細胞やグリア細胞を含むさまざまなタイプの細胞がガイドポスト細胞として機能する場合がある。ガイドポスト細胞はサポートする神経細胞の最終的な投射ターゲットではなく、サポートする神経細胞に一過的に接触することで何らかのガイダンス作用を及ぼす。ガイドポスト細胞の多くが神経回路の成熟にともなって消失したり、異なる細胞タイプへと分化したりしてしまうなど、その役割は神経回路形成時に限られる。


ガイドポスト細胞の定義

ある細胞Aが神経細胞Bのガイドポスト細胞であると見なす基準として、以下のような点が挙げられる。

  1. A細胞はB神経細胞の軸索投射経路や移動経路に前もって分布する。
  2. A細胞にB神経細胞が一過的に接触することで、B神経細胞の移動や軸索投射に何らかの作用が及ぼされる。この点に関しては、実際に両者の物理的な接触が詳細に解析されている場合もあるが(Bently and Keshishian, 1982)、両者が隣接するという程度の確認しかされていない場合も多い。
  3. A細胞が欠失したり、A細胞の何らかの機能が阻害されると、B神経細胞の正常な軸索投射や細胞移動が損なわれる。
  4. A細胞はB神経細胞の最終的な軸索投射ターゲットではない。

神経回路が作られる過程では、さまざまな細胞が「ガイドポスト細胞的」な役割を担っている。例えば、発生期の神経管の腹側正中部に形成されるシグナルセンターとして有名なフロアプレートは、脊髄交連性ニューロンに対するガイドポスト細胞と考えることが可能である。しかし、慣習的にフロアプレートの細胞はintermediate targetsと表現されることはあっても、ガイドポスト細胞と表現されることはほとんどない。それゆえ、ガイドポスト細胞という表現を用いる時には、その細胞の特性だけでなく、慣習的な使用例にも注意が必要である。 Chaoの一過性の相互作用総説[1]


ガイドポスト細胞の発見

ガイドポスト細胞の特性が最初に報告されたのは、トノサマバッタの付属肢における軸索投射の研究である(図1)。バッタの付属肢が発生する際に、付属肢の先端にTi1と呼ばれる感覚神経細胞が分化する。このTi1神経細胞は付属肢の中で最初に軸索を伸ばすパイオニアニューロンで(Bate 1976)、その軸索は直角な方向転換を含む特定の経路を経由して中枢へと投射する。この特徴的な軸索投射経路には、前もっていくつかの細胞が飛び石状に分布する。これらの細胞のうちCx1と呼ばれる細胞にTi1の軸索が接触すると軸索の伸長方向が変化することや、放射線照射でCx1細胞を取り除くとTi1の軸索が正常な経路を伸長することができずに迷走してしまうことから、Cx1細胞はTi1神経細胞の正常な軸索伸長をサポートするガイドポスト細胞であることが明らかとなった(XXXXXXXXXXX 総説も)。色素や電子顕微鏡を用いた解析から、両者が物理的に接触することも示されている。Cx細胞はその後

哺乳類におけるガイドポスト細胞

哺乳類の神経発生においても、さまざまなガイドポスト細胞が働くことが知られており、以下に代表的な例を紹介する。

glial sling

glial slingは脳梁を構成する皮質交連性線維の軸索伸長をサポートする(図2)


corridor cells

corridor cells視床から新皮質への軸索投射をサポートする(図3)回廊を意味するcorridorの名前が付けられた。


lot cells(lot細胞)

マウスの脳で見つかった。lot cellsは嗅球から嗅皮質への軸索投射をサポートする(図4) lot-1抗体(mGluR1)陽性の細胞。 嗅球軸索束を囲むように分布する lot細胞が、神経回路が成熟するにともなってどのような運命を辿るのかは明らかとなっていない。少なくともlot-1抗体に陽性な細胞群は成体マウス脳のLOT周辺から消失する。 抗原の同定mGluR1[2] 佐藤君のlot細胞論文[3] lot細胞日本語の総説[4] netrin1の論文[5] 伊藤君のSema3F論文[6] 富岡さんの論文[7] SahaのLhx2の論文[8]

哺乳類の脳においては、特に以下の3種類のガイドポスト細胞について研究が進んでいる。

  1. 脳梁を構成する皮質交連性線維の軸索伸長をサポートする”glial sling”
  2. 視床から新皮質への軸索投射をサポートする”corridor cells”
  3. 嗅球から嗅皮質への軸索投射をサポートする”lot cells”



参考文献

  1. Chao, D.L., Ma, L., & Shen, K. (2009).
    Transient cell-cell interactions in neural circuit formation. Nature reviews. Neuroscience, 10(4), 262-71. [PubMed:19300445] [PMC] [WorldCat] [DOI]
  2. Hirata, T., Kumada, T., Kawasaki, T., Furukawa, T., Aiba, A., Conquet, F., ..., & Fukuda, A. (2012).
    Guidepost neurons for the lateral olfactory tract: expression of metabotropic glutamate receptor 1 and innervation by glutamatergic olfactory bulb axons. Developmental neurobiology, 72(12), 1559-76. [PubMed:22539416] [WorldCat] [DOI]
  3. Sato, Y., Hirata, T., Ogawa, M., & Fujisawa, H. (1998).
    Requirement for early-generated neurons recognized by monoclonal antibody lot1 in the formation of lateral olfactory tract. The Journal of neuroscience : the official journal of the Society for Neuroscience, 18(19), 7800-10. [PubMed:9742149] [PMC] [WorldCat]
  4. Kawasaki, T., & Hirata, T. (2002).
    [Development and migration of lot cell, the guidepost neuron of the lateral olfactory tract]. Tanpakushitsu kakusan koso. Protein, nucleic acid, enzyme, 47(15), 1989-93. [PubMed:12486929] [WorldCat]
  5. Kawasaki, T., Ito, K., & Hirata, T. (2006).
    Netrin 1 regulates ventral tangential migration of guidepost neurons in the lateral olfactory tract. Development (Cambridge, England), 133(5), 845-53. [PubMed:16439477] [WorldCat] [DOI]
  6. Ito, K., Kawasaki, T., Takashima, S., Matsuda, I., Aiba, A., & Hirata, T. (2008).
    Semaphorin 3F confines ventral tangential migration of lateral olfactory tract neurons onto the telencephalon surface. The Journal of neuroscience : the official journal of the Society for Neuroscience, 28(17), 4414-22. [PubMed:18434520] [PMC] [WorldCat] [DOI]
  7. Tomioka, N., Osumi, N., Sato, Y., Inoue, T., Nakamura, S., Fujisawa, H., & Hirata, T. (2000).
    Neocortical origin and tangential migration of guidepost neurons in the lateral olfactory tract. The Journal of neuroscience : the official journal of the Society for Neuroscience, 20(15), 5802-12. [PubMed:10908621] [PMC] [WorldCat]
  8. Saha, B., Hari, P., Huilgol, D., & Tole, S. (2007).
    Dual role for LIM-homeodomain gene Lhx2 in the formation of the lateral olfactory tract. The Journal of neuroscience : the official journal of the Society for Neuroscience, 27(9), 2290-7. [PubMed:17329426] [PMC] [WorldCat] [DOI]