「グリア細胞」の版間の差分

編集の要約なし
(ページの作成:「英語名:glial cell 独:Gliazelle 仏:cellule gliale 同義語:膠細胞、神経膠細胞 {{box|text=1段落程度の要約を御願いします}} ==...」)
 
編集の要約なし
1行目: 1行目:
<div align="right"> 
<font size="+1">[http://researchmap.jp/kudoy/ 工藤佳久]</font><br>
''東京薬科大学 生命科学部 名誉教授''<br>
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2013年11月2日 原稿完成日:2013年XX月XX日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/2rikenbsi 林 康紀](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br></div>
英語名:glial cell 独:Gliazelle 仏:cellule gliale
英語名:glial cell 独:Gliazelle 仏:cellule gliale


5行目: 11行目:
{{box|text=1段落程度の要約を御願いします}}
{{box|text=1段落程度の要約を御願いします}}


==グリア細胞の基礎的プロフィール==
==発見==
===発見===
 グリア細胞のgliaは[[ニューロン]]とニューロンの間の空間を埋める糊やセメントのような物質という意味のNerven Kitteが語源となっている。病理学者の[[wj:ルドルフ・ルートヴィヒ・カール・ウィルヒョー|ルドルフ・ウイルヒョー]](Rudolph Virchow)が1846年に発表した論文に記載されている<ref name=ref1>XXXXX</ref>。当時の組織染色技術では細胞の形を捉えることができなかったので、とりあえず、「神経の間を埋める何らかの物質」というような意味としての定義したのだろう。ウイルヒョーはやがてこれが細胞であることをつきとめて、細胞病理学の教科書には結合組織細胞と記載している(1858年)。その後、[[w:Otto Deiters|オットー・ダイテルス]](Otto Deiters) 、ミカエル・レンホサック(Michael von Lenhossek)、ウイルヘルム・ヒス(Wilhelm His)など19世紀末に活躍した多くの著名な神経組織学者がこの細胞の存在に興味を持ち、多様な形態や脳内分布の特徴を報告している。英語ではNeuroglia訳され、日本語では「膠(こう)細胞」(膠はにかわと呼ばれるコラーゲンを原料とする古い接着剤)と訳される。やがて、細胞染色法の発達によって、その実体が少しずつ明らかにされてきたが、カミロ・ゴルジ(Camillo Golgi)が確立したゴルジ染色法により、ニューロンと共にこの細胞の形態も浮き彫りになってきた。現在、グリア細胞の一つとして、よく知られている[[アストロサイト]](astrocyte:アストログリア,astroglia)という名称を与えたのはレンホサックであるが、その実体を最も正確に記載したのがラモン・イ・カハール(Santiago Ramon y Cajal)である。ゴルジ染色を改良した染色法によって様々な形態のアストロサイトを観察している(1)。その後、ピオ・デル・リオ-オルテガ(Pio del Rio-Hortega)がニューロン、アストロサイトに次ぐ第三の細胞群として、[[オリゴデンドロサイト]](oligodendrocyte:[[オリゴデンドログリア]]:oligodendroglia)と[[ミクログリア]](microglia)の存在を報告している(1921)(2)。すなわち、これらの脳を構成する主要な細胞としてのグリア細胞群の存在は、ニューロンとほぼ同時代に発見されていたのである。現在、グリア細胞は、大グリア細胞(macroglia:アストロサイトとオリゴデンドロサイト)と、小グリア細胞(microglia:ミクログリア)に分類されている。
 グリア細胞のgliaは[[ニューロン]]とニューロンの間の空間を埋める糊やセメントのような物質という意味のNerven Kitteが語源となっている。病理学者の[[wj:ルドルフ・ルートヴィヒ・カール・ウィルヒョー|ルドルフ・ウイルヒョー]](Rudolph Virchow)が1846年に発表した論文に記載されている<ref name=ref1>XXXXX</ref>。当時の組織染色技術では細胞の形を捉えることができなかったので、とりあえず、「神経の間を埋める何らかの物質」というような意味としての定義したのだろう。ウイルヒョーはやがてこれが細胞であることをつきとめて、細胞病理学の教科書には結合組織細胞と記載している(1858年)。その後、[[w:Otto Deiters|オットー・ダイテルス]](Otto Deiters) 、ミカエル・レンホサック(Michael von Lenhossek)、ウイルヘルム・ヒス(Wilhelm His)など19世紀末に活躍した多くの著名な神経組織学者がこの細胞の存在に興味を持ち、多様な形態や脳内分布の特徴を報告している。英語ではNeuroglia訳され、日本語では「膠(こう)細胞」(膠はにかわと呼ばれるコラーゲンを原料とする古い接着剤)と訳される。やがて、細胞染色法の発達によって、その実体が少しずつ明らかにされてきたが、カミロ・ゴルジ(Camillo Golgi)が確立したゴルジ染色法により、ニューロンと共にこの細胞の形態も浮き彫りになってきた。現在、グリア細胞の一つとして、よく知られている[[アストロサイト]](astrocyte:アストログリア,astroglia)という名称を与えたのはレンホサックであるが、その実体を最も正確に記載したのがラモン・イ・カハール(Santiago Ramon y Cajal)である。ゴルジ染色を改良した染色法によって様々な形態のアストロサイトを観察している(1)。その後、ピオ・デル・リオ-オルテガ(Pio del Rio-Hortega)がニューロン、アストロサイトに次ぐ第三の細胞群として、[[オリゴデンドロサイト]](oligodendrocyte:[[オリゴデンドログリア]]:oligodendroglia)と[[ミクログリア]](microglia)の存在を報告している(1921)(2)。すなわち、これらの脳を構成する主要な細胞としてのグリア細胞群の存在は、ニューロンとほぼ同時代に発見されていたのである。現在、グリア細胞は、大グリア細胞(macroglia:アストロサイトとオリゴデンドロサイト)と、小グリア細胞(microglia:ミクログリア)に分類されている。