「グリア細胞」の版間の差分

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====グリア細胞が合成し遊離する分子====
====グリア細胞が合成し遊離する分子====
グリア細胞はニューロトロフィン類(Nerve growth factor:NGF, Brain-derived neurotropic factor:BDNF, Neurotrophin 3, 4: NT3, NT4)やNeuropeptide Y(NPY)、Opioidペプチドなど多様なポリペプチドを合成し、遊離する。それらはニューロンに働きかけて、樹状突起の成長や軸索の伸張、神経回路の修復などに広範囲に脳機能の維持に寄与している。
 グリア細胞は[[神経栄養因子]]類([[神経成長因子]] ([[nerve growth factor]], [[NGF]]), [[脳由来神経栄養因子]] ([[brain-derived neurotropic factor]], [[BDNF]]), [[ニューロトロフィン3]] ([[neurotrophin 3]], [[NT3]])、[[ニューロトロフィン4|4]] ([[neurotrophin 4]], [[NT4]]))や[[ニューロペプチドY]] ([[neuropeptide Y]], [[NPY]])、[[オピオイドペプチド]]など多様な[[wj:ポリペプチド|ポリペプチド]]を合成し、遊離する。それらはニューロンに働きかけて、[[樹状突起]]の成長や[[軸索]]の伸張、神経回路の修復などに広範囲に脳機能の維持に寄与している。
[[ファイル:Kudo Fig5.png|thumb|right|350px|'''図5 血管からニューロンへのエネルギー源の移動'''<br>血中グルコースの大半は血管壁とアストロサイトの膜に発現するGLUT1を介してアストロサイトに取り込まれ、その中で乳酸まで代謝される。乳酸はMCTを介してニューロンに運び込まれて、TCAサイクルにより代謝されてATPが作られる。一部のグルコースは血管壁から細胞外液に拡散し、GLUT3を介して直接ニューロンに取り込まれる。Glu : グルコース、GLUT1, 3: 1型, 3型グルコーストランスポーター、MCT:  モノカルボン酸トランスポーター]]
[[ファイル:Kudo Fig5.png|thumb|right|350px|'''図5 血管からニューロンへのエネルギー源の移動'''<br>血中[[wj:グルコース|グルコース]]の大半は血管壁とアストロサイトの膜に発現する[[GLUT1]]を介してアストロサイトに取り込まれ、その中で[[wj:乳酸|乳酸]]まで代謝される。乳酸は[[モノカルボン酸トランスポーター]]を介してニューロンに運び込まれて、[[wj:TCAサイクル|TCAサイクル]]により代謝されてATPが作られる。一部のグルコースは血管壁から細胞外液に拡散し、[[GLUT3]]を介して直接ニューロンに取り込まれる。
<br>Glu : グルコース、GLUT1, 3: [[1型グルコーストランスポーター|1型]], [[3型グルコーストランスポーター]]、[[MCT]]:  モノカルボン酸トランスポーター]]
 
====エネルギー供給機構====
====エネルギー供給機構====
ニューロンにとって唯一のエネルギー源はグルコース(glucose)である。そのグルコースは上述のグルコーストランスポーター(glucose transporter )を使って、ニューロンにエネルギー源としてのグルコースを供給されている。実は、アストロサイトは取り込んだグルコースを乳酸(lactate)まで代謝してから、モノカルボン酸トランスポーター(mono-carboxylic acid transporter :MCT) を介してニューロンに供給しているのだ<ref><pubmed>15953344</pubmed></ref>(図5)。
ニューロンにとって唯一のエネルギー源はグルコース(glucose)である。そのグルコースは上述のグルコーストランスポーター(glucose transporter )を使って、ニューロンにエネルギー源としてのグルコースを供給されている。実は、アストロサイトは取り込んだグルコースを乳酸(lactate)まで代謝してから、モノカルボン酸トランスポーター(mono-carboxylic acid transporter :MCT) を介してニューロンに供給しているのだ<ref><pubmed>15953344</pubmed></ref>(図5)。