「ケタミン」の版間の差分

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 2019年に、米国Maryland大学と米国衛生研究所のグループは、(2R,6R)-HNKの生成は(R)-ケタミンの作用に一部関与しているかもしれないとした<ref name=Zanos2019><pubmed>30941749</pubmed></ref> 。一方、同グループは2020年に、治療抵抗性うつ病患者を対象とした臨床試験において、ケタミンの抗うつ効果と血液中(2R,6R)-HNK濃度との間には負の相関があるという、(2R,6R)-HNKがケタミンの抗うつ作用に関与するという仮説とは逆の結果が報告され<ref name=Zanos2019><pubmed>30941749</pubmed></ref>、抗うつ薬としての(2R,6R)-HNKの開発に対して疑問も提起されている<ref name=Farmer2020><pubmed>32252062</pubmed></ref>。米国衛生研究所のCarlos Zarate博士らが、(2R,6R)-HNKの臨床試験を計画しているという<ref name=Hashimoto2019><pubmed>31215725</pubmed></ref>。
 2019年に、米国Maryland大学と米国衛生研究所のグループは、(2R,6R)-HNKの生成は(R)-ケタミンの作用に一部関与しているかもしれないとした<ref name=Zanos2019><pubmed>30941749</pubmed></ref> 。一方、同グループは2020年に、治療抵抗性うつ病患者を対象とした臨床試験において、ケタミンの抗うつ効果と血液中(2R,6R)-HNK濃度との間には負の相関があるという、(2R,6R)-HNKがケタミンの抗うつ作用に関与するという仮説とは逆の結果が報告され<ref name=Zanos2019><pubmed>30941749</pubmed></ref>、抗うつ薬としての(2R,6R)-HNKの開発に対して疑問も提起されている<ref name=Farmer2020><pubmed>32252062</pubmed></ref>。米国衛生研究所のCarlos Zarate博士らが、(2R,6R)-HNKの臨床試験を計画しているという<ref name=Hashimoto2019><pubmed>31215725</pubmed></ref>。


 なお、[[マウス]]を用いた[[強制水泳試験]]や[[尾懸垂試験]]は、うつ病患者の抗うつ効果を必ずしも予測しないので、注意が必要である<ref name=Abdallah2020b><pubmed>32291407</pubmed></ref>。現時点でケタミンやケタミン異性体の抗うつ効果の詳細な作用機序は明らかでないが、将来、ケタミンの新規治療ターゲットが同定されれば、ケタミンの副作用を有さない新規抗うつ薬の創製につながると期待される。
 なお、[[マウス]]を用いた[[強制水泳試験]]や[[尾懸垂試験]]は、うつ病患者の抗うつ効果を必ずしも予測しないので、注意が必要である<ref name=Reardon2019><pubmed>31337906</pubmed></ref>。現時点でケタミンやケタミン異性体の抗うつ効果の詳細な作用機序は明らかでないが、将来、ケタミンの新規治療ターゲットが同定されれば、ケタミンの副作用を有さない新規抗うつ薬の創製につながると期待される。


==副作用==
==副作用==