「ゲノム編集」の版間の差分

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===== 遺伝子改変非ヒト霊長類の作製 =====
===== 遺伝子改変非ヒト霊長類の作製 =====
 ヒトの疾患、特に精神神経疾患のモデル動物としてマウスよりヒトと解剖学的、生理学的、遺伝学的に類似している[[非ヒト霊長類]]の疾患モデルが重要である。ゲノム編集技術を用いた標的遺伝子改変非ヒト霊長類の作成には、2014年に3つのグループが成功した<ref><pubmed>24486104</pubmed></ref><ref><pubmed>24529597</pubmed></ref><ref><pubmed>24838303</pubmed></ref>。TALENを用いた[[wj:アカゲザル|アカゲザル]]と[[wj:カニクイザル|カニクイザル]]の[[MECP2]]遺伝子の破壊とCRISPR/Cas9システムを用いたカニクイザルの3つの遺伝子([[Nr0b1]], [[Ppar-γ]] [[Rag1]])の破壊が報告された。2015年には、CRISPR/Cas9システムを用い一本鎖のオリゴDNAによる[[p53]]遺伝子への塩基置換が報告された<ref><pubmed>25430965</pubmed></ref>[37]。2018年には、[[mCherry]]やGFPなどの標的部位へのノックインカニクイザルの作成が報告された<ref><pubmed> 29327726</pubmed></ref><ref><pubmed>29327727</pubmed></ref>。現在までに作成された精神疾患の非ヒト霊長類モデルは、[[レット症候群]]のモデルであるMecP2欠損カニクイザルと[[自閉症スペクトラム障害]]のモデルである[[SHANK3]]欠損カニクイザルがあり、いずれも疾患の症状を再現している<ref><pubmed>28741620</pubmed></ref><ref><pubmed>28525759</pubmed></ref>。
 ヒトの疾患、特に精神神経疾患のモデル動物としてマウスよりヒトと解剖学的、生理学的、遺伝学的に類似している[[非ヒト霊長類]]の疾患モデルが重要である。ゲノム編集技術を用いた標的遺伝子改変非ヒト霊長類の作成には、2014年に3つのグループが成功した<ref><pubmed>24486104</pubmed></ref><ref><pubmed>24529597</pubmed></ref><ref><pubmed>24838303</pubmed></ref>。TALENを用いた[[wj:アカゲザル|アカゲザル]]と[[wj:カニクイザル|カニクイザル]]の[[MECP2]]遺伝子の破壊とCRISPR/Cas9システムを用いたカニクイザルの3つの遺伝子([[Nr0b1]], [[Ppar-γ]] [[Rag1]])の破壊が報告された。2015年には、CRISPR/Cas9システムを用い一本鎖のオリゴDNAによる[[p53]]遺伝子への塩基置換が報告された<ref><pubmed>25430965</pubmed></ref>[37]。2018年には、[[mCherry]]やGFPなどの標的部位へのノックインカニクイザルの作成が報告された<ref><pubmed> 29327726</pubmed></ref><ref><pubmed>29327727</pubmed></ref>。現在までに作成された精神疾患の非ヒト霊長類モデルは、[[レット症候群]]のモデルであるMecP2欠損カニクイザルと[[自閉症スペクトラム障害]]のモデルである[[SHANK3]]欠損カニクイザルがあり、いずれも疾患の症状を再現している<ref><pubmed>28741620</pubmed></ref><ref><pubmed>28525759</pubmed></ref><ref><pubmed> 30329048 </pubmed></ref>。


 CRISPR/Cas9システムを用いることにより、忠実に疾患病態を再現した非ヒト霊長類の作製が可能になった。しかし、ゲノム編集の効率化、モザイクの抑制、オフターゲットの抑制など、まだ技術の改良が必要である。また、非ヒト霊長類をモデル動物として用いる場合、個体間のゲノム多様性も重要な問題になる。最近、カニクイザルで体細胞からのクローン作成が報告されたので<ref><pubmed>29395327</pubmed></ref>、クローン技術とCRISPR/Casシステムを組み合わせることにより、遺伝的背景が均一なBMAL1欠損カニクイザルが作出された[49]。
 CRISPR/Cas9システムを用いることにより、忠実に疾患病態を再現した非ヒト霊長類の作製が可能になった。しかし、ゲノム編集の効率化、モザイクの抑制、オフターゲットの抑制など、まだ技術の改良が必要である。また、非ヒト霊長類をモデル動物として用いる場合、個体間のゲノム多様性も重要な問題になる。最近、カニクイザルで体細胞からのクローン作成が報告されたので<ref><pubmed>29395327</pubmed></ref>、クローン技術とCRISPR/Casシステムを組み合わせることにより、遺伝的背景が均一なBMAL1欠損カニクイザルが作出された<ref>'''Liu Z, Cai Y, Liao Z, Xu Y, Wang Y, Wang Z, Jiang X, Li Y, Lu Y, Nie Y, Zhang X, Li C, Bian X, Poo M-M, Chang H-C, Sun Q'''<br>Cloning of a gene-edited macaque monkey by somatic cell nuclear transfer<br>''National Science Review'': 2019, 6;101-108[https://doi.org/10.1093/nsr/nwz003  [DOI]]</ref>


==== 生体におけるゲノム編集 ====
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