「ゲフィリン」の版間の差分

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[[image:ゲフィリン3.png|thumb|350px|'''図3.ゲフィリン関連分子'''<br>(GABAAR:GABA<sub>A</sub>受容体、GlyR:グリシン受容体、HSC70:HSP70熱ショックタンパク質、KIF5:キネシンスーパーファミリータンパク質5、Dlc1/2:ダイニン軽鎖1/2、GABARAP:GABA<sub>A</sub> receptor-associated protein)]]
[[image:ゲフィリン3.png|thumb|350px|'''図3.ゲフィリン関連分子'''<br>(GABAAR:GABA<sub>A</sub>受容体、GlyR:グリシン受容体、HSC70:HSP70熱ショックタンパク質、KIF5:キネシンスーパーファミリータンパク質5、Dlc1/2:ダイニン軽鎖1/2、GABARAP:GABA<sub>A</sub> receptor-associated protein)]]


 ゲフィリンはリン酸化、[[パルミトイル化]]、[[アセチル化]]によってその機能と局在が変化する。例えば、ゲフィリンのシナプス局在は細胞[[接着分子]]である[[β1インテグリン]]の活性化により増加する一方、[[β3インテグリン]]の活性化によって減少する<ref name=ref11><pubmed>20935643</pubmed></ref>。また、ゲフィリンのセリン残基268が[[分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ]]である[[ERK1]]/[[ERK2|2]]によって<ref name=ref12><pubmed>23408424</pubmed></ref>、セリン残基270が[[グリコーゲン合成酵素キナーゼ]]である[[GSK3β]]によって<ref name=ref13><pubmed>21173228</pubmed></ref>リン酸化されると、ゲフィリンのシナプス局在が減少する。これはCa<sup>2+</sup>/ERK依存性[[セリンプロテアーゼ]]である[[カルパイン1]]によるゲフィリンの分解によると考えられる<ref name=ref8 />。この他、[[Cdk5]]によるセリン残基270のリン酸化<ref name=ref14><pubmed>22778260</pubmed></ref>や[[熱ショックタンパク]]質であるHsc70<ref name=ref15><pubmed>21209184</pubmed></ref>、アクチン結合タンパク質の[[プロフィリン1]]/[[プロフィリン2|2]]、[[mammalian Ena/VASP]] (enabled/vasodilator stimulated phosphoprotein)、[[Raft 1]]、[[チューブリン]]などの因子が報告されている<ref name=ref4 /> <ref name=ref9 />(図3)。
 ゲフィリンはリン酸化、[[パルミトイル化]]、[[アセチル化]]によってその機能と局在が変化する。例えば、ゲフィリンのシナプス局在は細胞[[接着分子]]である[[β1インテグリン]]の活性化により増加する一方、[[β3インテグリン]]の活性化によって減少する<ref name=ref11><pubmed>20935643</pubmed></ref>。また、ゲフィリンのセリン残基268が[[分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ]]である[[ERK1]]/[[ERK2|2]]によって<ref name=ref12><pubmed>23408424</pubmed></ref>、セリン残基270が[[グリコーゲン合成酵素キナーゼ]]である[[GSK3β]]によって<ref name=ref13><pubmed>21173228</pubmed></ref>リン酸化されると、ゲフィリンのシナプス局在が減少する。これはCa<sup>2+</sup>/ERK依存性[[セリンプロテアーゼ]]である[[カルパイン1]]によるゲフィリンの分解によると考えられる<ref name=ref8 />。この他、[[Cdk5]]によるセリン残基270のリン酸化<ref name=ref14><pubmed>22778260</pubmed></ref>や[[熱ショックタンパク]]質であるHsc70<ref name=ref15><pubmed>21209184</pubmed></ref>、アクチン結合タンパク質の[[プロフィリン1]]/[[プロフィリン2|2]]、[[mammalian Ena/VASP]] (enabled/vasodilator stimulated phosphoprotein)、[[Raft 1]]、[[チューブリン]]などの因子が報告されている<ref name=ref4 /> <ref name=ref8 />(図3)。


==発現==
==発現==
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 [[GABA受容体|GABA<sub>A</sub>受容体]]については、ゲフィリンとGABA<sub>A</sub>受容体α2サブユニット、γ2サブユニットの結合が示唆されている<ref name=ref32><pubmed>18256255</pubmed></ref> <ref name=ref33><pubmed>7644489</pubmed></ref>。また、GABARAPはゲフィリンCドメインと結合するものの、GABA<sub>A</sub>受容体とゲフィリンの輸送に必須ではない<ref name=ref34><pubmed>16307606</pubmed></ref>。グリシン受容体に比べGABA<sub>A</sub>受容体のサブユニットは多様であり、GABA<sub>A</sub>受容体に対するゲフィリンの役割は未だ十分明らかになっていない。
 [[GABA受容体|GABA<sub>A</sub>受容体]]については、ゲフィリンとGABA<sub>A</sub>受容体α2サブユニット、γ2サブユニットの結合が示唆されている<ref name=ref32><pubmed>18256255</pubmed></ref> <ref name=ref33><pubmed>7644489</pubmed></ref>。また、GABARAPはゲフィリンCドメインと結合するものの、GABA<sub>A</sub>受容体とゲフィリンの輸送に必須ではない<ref name=ref34><pubmed>16307606</pubmed></ref>。グリシン受容体に比べGABA<sub>A</sub>受容体のサブユニットは多様であり、GABA<sub>A</sub>受容体に対するゲフィリンの役割は未だ十分明らかになっていない。


 また、ゲフィリンはシナプス後膜における[[細胞接着分子]]である[[ニューロリギン]]との結合が知られている<ref name=ref9><pubmed>24552784</pubmed></ref>。ニューロリギン2欠損マウスでは、ゲフィリンのシナプス局在が減少し、[[GABA]]およびグリシン作動性の[[微小シナプス後膜電流]](mIPSC)の大きさと頻度が減少することから、ニューロリギンがゲフィリンのシナプス局在に関わることが示唆されている<ref name=ref35><pubmed>19755106</pubmed></ref>。また、マウスの[[網膜]]、[[上丘]]、[[視床]]、[[脳幹]]、[[脊髄]]においては、ニューロリギン4がゲフィリンと共局在するという報告がある<ref name=ref36><pubmed>21282647</pubmed></ref>。
 また、ゲフィリンはシナプス後膜における[[細胞接着分子]]である[[ニューロリギン]]との結合が知られている<ref name=ref8><pubmed>24552784</pubmed></ref>。ニューロリギン2欠損マウスでは、ゲフィリンのシナプス局在が減少し、[[GABA]]およびグリシン作動性の[[微小シナプス後膜電流]](mIPSC)の大きさと頻度が減少することから、ニューロリギンがゲフィリンのシナプス局在に関わることが示唆されている<ref name=ref35><pubmed>19755106</pubmed></ref>。また、マウスの[[網膜]]、[[上丘]]、[[視床]]、[[脳幹]]、[[脊髄]]においては、ニューロリギン4がゲフィリンと共局在するという報告がある<ref name=ref36><pubmed>21282647</pubmed></ref>。


=== 輸送カーゴ補助タンパク質として ===
=== 輸送カーゴ補助タンパク質として ===