「コーディン」の版間の差分

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==発現==
==発現==
 アフリカツメガエルにおいては、原腸形成期に原口背唇部(シュペーマンオーガナイザー)に発現が開始する。原腸形成後は、プレコーダルプレート(prechordal plate; 頭部中胚葉領域)、脊索(notochord)を含む背側中胚葉領域に発現し、その後、尾芽(tailbud)に限局するようになる {Sasai, 1994 #7}
 アフリカツメガエルにおいては、原腸形成期に原口背唇部(シュペーマンオーガナイザー)に発現が開始する。原腸形成後は、プレコーダルプレート(prechordal plate; 頭部中胚葉領域)、脊索(notochord)を含む背側中胚葉領域に発現し、その後、尾芽(tailbud)に限局するようになる<ref name=sasai1994><pubmed>8001117</pubmed></ref>


 マウスやニワトリでは、同じく原腸形成期から原始原条(anterior primitive streak)、結節, node や軸中内胚葉(axial mesendoderm)に {Streit, 1998 #65} {Bachiller, 2000 #11}、またマウスの発生後期では、大腿骨、肋骨、椎骨などの骨格系に発現が見られる {Scott, 2000 #66}
 マウスやニワトリでは、同じく原腸形成期から原始原条(anterior primitive streak)、結節, node や軸中内胚葉(axial mesendoderm)に<ref name= Streit1998><pubmed> 9425145 </pubmed></ref><ref name=Bachiller2000 />、またマウスの発生後期では、大腿骨、肋骨、椎骨などの骨格系に発現が見られる<ref name=Scott2000><pubmed> 10767089</pubmed></ref>


 生後は、脳領域では海馬や小脳に発現が見られる {Scott, 2000 #66} ほか、NCBIのデータベース(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene?Db=gene&Cmd=DetailsSearch&Term=8646)によると、ヒトでは脳や腎臓などにRNAレベルで高発現が見られるようである。
 生後は、脳領域では海馬や小脳に発現が見られる<ref name=Scott2000>ほか、[https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene?Db=gene&Cmd=DetailsSearch&Term=8646 NCBIのデータベース]によると、ヒトでは脳や腎臓などにRNAレベルで高発現が見られる。


[[ファイル:Sasai Chordin Fig2.png|サムネイル|'''図2. コーディン/BMPによる表皮・神経の遺伝子の誘導'''<br><ref name=Holley1995><pubmed>7617035</pubmed></ref><ref name=Nakayama2004><pubmed>14660436</pubmed></ref><ref name=Larrain2000><pubmed>10648240</pubmed></ref>をもとに作成。]]
[[ファイル:Sasai Chordin Fig2.png|サムネイル|'''図2. コーディン/BMPによる表皮・神経の遺伝子の誘導'''<br><ref name=Holley1995><pubmed>7617035</pubmed></ref><ref name=Nakayama2004><pubmed>14660436</pubmed></ref><ref name=Larrain2000><pubmed>10648240</pubmed></ref>をもとに作成。]]
==作用機構==
==作用機構==
 コーディンはTGF&beta;スーパーファミリーの1つであるBMP4と拮抗することで機能する <ref name=Sasai1995><pubmed>7630399</pubmed></ref> 。生化学的には、コーディンとBMP4は1:2のモル比で直接結合し <ref name=Larrain2000><pubmed>10648240</pubmed></ref> 、BMP4がBMP受容体に結合するのを阻害する。コーディンとBMP4の解離定数は0.3 nmol程度と、強固な結合である <ref name=Piccolo1996><pubmed>8752213</pubmed></ref> 。なお、コーディンに直接結合する細胞膜受容体は報告されていない。
 コーディンはTGF&beta;スーパーファミリーの1つであるBMP4と拮抗することで機能する <ref name=Sasai1995><pubmed>7630399</pubmed></ref> 。生化学的には、コーディンとBMP4は1:2のモル比で直接結合し <ref name=Larrain2000><pubmed>10648240</pubmed></ref> 、BMP4がBMP受容体に結合するのを阻害する。コーディンとBMP4の解離定数は0.3 nmol程度と、強固な結合である <ref name=Piccolo1996><pubmed>8752213</pubmed></ref> 。なお、コーディンに直接結合する細胞膜受容体は報告されていない。