「シナプスタグ仮説」の版間の差分

22行目: 22行目:
#シナプスタグ仮説。細胞体で新規合成された後期可塑性関連タンパク質が機能できるシナプスでは、何らかの生化学的活性が活性化しており、この活性によって後期長期増強の発現が可能になる。この仮想活性をシナプスタグと呼ぶ。  
#シナプスタグ仮説。細胞体で新規合成された後期可塑性関連タンパク質が機能できるシナプスでは、何らかの生化学的活性が活性化しており、この活性によって後期長期増強の発現が可能になる。この仮想活性をシナプスタグと呼ぶ。  


 彼らは、次のような実験から、これらの可能性の中でもシナプスタグ仮説が結果をうまく説明すると提唱した。[[wikipedia:ja:ラット|ラット]][[海馬]]急性[[脳スライス標本|切片]]でCA1野[[Schaffer側枝]]を二箇所刺激し、独立した二経路の[[集合シナプス電位]]を一つの記録電極から測定した('''図1''')。 一方の刺激電極S1に長く持続する[[後期長期増強]]を起こす電気刺激を与えた後、他方の刺激電極S2からは、普通であれば持続の短い初期長期増強のみを起こす刺激を与えた。S1経路では予想通り入力特異的な後期長期増強が見られた。一方S2経路には、初期長期増強のみ起きる刺激を加えたのにもかかわらず後期長期増強が見られた('''図2''')。S2の変化は[[連合性]]後期長期増強と呼ばれる。  
 彼らは、次のような実験から、これらの可能性の中でもシナプスタグ仮説が結果をうまく説明すると提唱した。[[wikipedia:ja:ラット|ラット]][[海馬]]急性[[脳スライス標本|切片]]でCA1野Schaffer側枝を二箇所刺激し、独立した二経路の[[集合シナプス電位]]を一つの記録電極から測定した('''図1''')。 一方の刺激電極S1に長く持続する[[後期長期増強]]を起こす電気刺激を与えた後、他方の刺激電極S2からは、普通であれば持続の短い初期長期増強のみを起こす刺激を与えた。S1経路では予想通り入力特異的な後期長期増強が見られた。一方S2経路には、初期長期増強のみ起きる刺激を加えたのにもかかわらず後期長期増強が見られた('''図2''')。S2の変化は[[連合性]]後期長期増強と呼ばれる。  


[[Image:図1二経路実験.jpg|thumb|500px|'''図1 二経路実験の配置'''<br>海馬急性切片に刺激電極S1、S2と記録電極Rを置く。]]
[[Image:図1二経路実験.jpg|thumb|500px|'''図1 二経路実験の配置'''<br>海馬急性切片に刺激電極S1、S2と記録電極Rを置く。]]