「シナプス接着因子」の版間の差分

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Ephrin-Eph受容体型チロシンキナーゼは、リガンドと受容体の関係にあるシグナル誘導タンパク質であるが、シナプスにおける機能も示されている。Ephrinは哺乳類では8種類のメンバーがあり、これらは構造の違いからAとBの二つのサブファミリーに分けられる。Ephrin A (Ephrin A1-5) は、GPI (glycosylphosphatidylinositol)アンカーによって細胞膜に結合しているタイプで、Ephrin B (Ephrin B1-3) は、1回膜貫通型タンパク質である。Eph 受容体型チロシンキナーゼは16個のメンバー(哺乳類では14個)から成る1回膜貫通型タンパク質で、これらのうち、Ephrin Aと相互作用するものをEphA (EphA1-8, EphA10), Ephrin B 相互作用するものをEphB (EphB1-4, EphB6)として分けられている。Ephrin AはGPIアンカーで細胞膜に付着しているため細胞内ドメインが無いが、Ephrin B, EphAおよびEphBは細胞内領域を介してシグナル伝達に関わる。特にEphrin BとEphBは、双方性にシグナル伝達をするため、どちらも受容体とリガンドの両方の側面を有していることになる。またこれらのC末にPDZ結合配列があり、これを介してPICK1, syntenin, GRIP, PDZ-RGSなどと結合する。
Ephrin-Eph受容体型チロシンキナーゼは、リガンドと受容体の関係にあるシグナル誘導タンパク質であるが、シナプスにおける機能も示されている。Ephrinは哺乳類では8種類のメンバーがあり、これらは構造の違いからAとBの二つのサブファミリーに分けられる。Ephrin A (Ephrin A1-5) は、GPI (glycosylphosphatidylinositol)アンカーによって細胞膜に結合しているタイプで、Ephrin B (Ephrin B1-3) は、1回膜貫通型タンパク質である。Eph 受容体型チロシンキナーゼは16個のメンバー(哺乳類では14個)から成る1回膜貫通型タンパク質で、これらのうち、Ephrin Aと相互作用するものをEphA (EphA1-8, EphA10), Ephrin B 相互作用するものをEphB (EphB1-4, EphB6)として分けられている。Ephrin AはGPIアンカーで細胞膜に付着しているため細胞内ドメインが無いが、Ephrin B, EphAおよびEphBは細胞内領域を介してシグナル伝達に関わる。特にEphrin BとEphBは、双方性にシグナル伝達をするため、どちらも受容体とリガンドの両方の側面を有していることになる。またこれらのC末にPDZ結合配列があり、これを介してPICK1, syntenin, GRIP, PDZ-RGSなどと結合する。


EphBは、シナプス後終末に局在し、シナプス前終末のEphrinBと結合することによりシナプス後終末で、RhoAやRac1を含むいくつかのsmall Rho family GTPasesと連動し、スパインのアクチン細胞骨格を再構築することが知られている。EphB1-3の複合欠損マウスでは、シナプス密度の減少と、樹状突起のスパインの形態異常がみられる <ref><pubmed>     1435730</pubmed></ref>。海馬ニューロンの培養系において、EphB2はEphrinとの結合を介してシナプス前終末の分化を誘導することが示されている<ref><pubmed>  17122040</pubmed></ref>。更にシナプス後終末のEphB2はNMDA受容体とcisに相互作用することも示唆されている <ref><pubmed>      11136979</pubmed></ref>。一方、リガンドであるEphrin Bはシナプス前終末だけでなく興奮性のシナプス後終末にも存在することが示されており、スパインの密度と成熟やAMPA受容体の輸送を促進していると思われる <ref><pubmed>          17310244</pubmed></ref>。
EphBは、シナプス後終末に局在し、シナプス前終末のEphrinBと結合することによりシナプス後終末で、RhoAやRac1を含むいくつかのsmall Rho family GTPasesと連動し、スパインのアクチン細胞骨格を再構築することが知られている。EphB1-3の複合欠損マウスでは、シナプス密度の減少と、樹状突起のスパインの形態異常がみられる <ref><pubmed>         14691139</pubmed></ref>。海馬ニューロンの培養系において、EphB2はEphrinとの結合を介してシナプス前終末の分化を誘導することが示されている<ref><pubmed>  17122040</pubmed></ref>。更にシナプス後終末のEphB2はNMDA受容体とcisに相互作用することも示唆されている <ref><pubmed>      11136979</pubmed></ref>。一方、リガンドであるEphrin Bはシナプス前終末だけでなく興奮性のシナプス後終末にも存在することが示されており、スパインの密度と成熟やAMPA受容体の輸送を促進していると思われる <ref><pubmed>          17310244</pubmed></ref>。




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