「シナプス接着因子」の版間の差分

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 もともとLRRTMsのシナプス形成能は、artificial synapse formation assay のスクリーニングで見出された<ref><pubmed>19285470</pubmed></ref>。[[LRRTM]]s (leucine-rich repeat transmembrane neuronal proteins)は、細胞外領域に10個のLRRを持つ1回膜貫通型タンパク質で、細胞内領域にclass I PDZ結合配列を有する。哺乳類では4つの遺伝子が知られている(LRRTM1-4)。
 もともとLRRTMsのシナプス形成能は、artificial synapse formation assay のスクリーニングで見出された<ref><pubmed>19285470</pubmed></ref>。[[LRRTM]]s (leucine-rich repeat transmembrane neuronal proteins)は、細胞外領域に10個のLRRを持つ1回膜貫通型タンパク質で、細胞内領域にclass I PDZ結合配列を有する。哺乳類では4つの遺伝子が知られている(LRRTM1-4)。


 ニューレキシンと第4選択的スプライスサイト 依存的に結合し、ニューロリギンとともに、ニューレキシンを介したシナプス成熟因子として注目されている。ニューロリギンがシナプス成熟の比較的後期に働くのに対してLRRTMは、シナプス形成期から成熟初期に働いていると考えられているが、[[LRRTM1]]の単独ノックアウトマウス、LRRTMの複数のアイソフォームの同時[[ノックダウン]]で、明確なシナプスの数の減少は見られない(ただし[[LRRTM2]]単独の[[shRNA]]のノックダウンでシナプスの数が減少する報告もある<ref><pubmed>20064388</pubmed></ref> )。LRRTMsは興奮性シナプス特異的に機能していると考えられており、ノックアウトマウスやノックダウンニューロンで[[AMPA型グルタミン酸受容体]]を介したシナプス伝達の異常が認められる。
 ニューレキシンと第4選択的スプライスサイト 依存的に結合し、ニューロリギンとともに、ニューレキシンを介したシナプス成熟因子として注目されている。ニューロリギンがシナプス成熟の比較的後期に働くのに対してLRRTMは、シナプス形成期から成熟初期に働いていると考えられているが、[[LRRTM1]]の単独ノックアウトマウス、LRRTMの複数のアイソフォームの同時[[ノックダウン]]で、明確なシナプスの数の減少は見られない(ただし[[LRRTM2]]単独の[[shRNA]]によるノックダウンでシナプスの数が減少する報告もある<ref><pubmed>20064388</pubmed></ref> )。LRRTMsは興奮性シナプス特異的に機能していると考えられており、ノックアウトマウスやノックダウンニューロンで[[AMPA型グルタミン酸受容体]]を介したシナプス伝達の異常が認められる。


===Synaptic adhesion like molecules===
===Synaptic adhesion like molecules===
 [[SALM]]s (synaptic adhesion like molecules)は、細胞外領域に、N末から順に6個のLRR、単一免疫グロブリンドメイン、fibronectin IIIドメインを含む1回膜貫通型タンパク質で、脊椎動物では5つのSALMsタンパク質が存在する。SALM1-3は細胞内領域のC末に[[PDZ結合配列]]を有し、これを介して[[PSD]]-95と結合するが、SALM4-5は、PDZ結合配列を持たない。SALMsは、[[PSD-95]]との結合を介して興奮性シナプスの形成を促進したり、AMPAや[[NMDA型グルタミン酸受容体]]と相互作用することが知られているが、接着因子としての機能はまだよくわかっていない。
 [[SALM]]s (synaptic adhesion like molecules)は、細胞外領域に、N末から順に6個のLRR、単一免疫グロブリンドメイン、fibronectin IIIドメインを含む1回膜貫通型タンパク質で、脊椎動物では5つのSALMsタンパク質が存在する。[[SALM1]]-[[SALM3|3]]は細胞内領域のC末に[[PDZ結合配列]]を有し、これを介して[[PSD-95]]と結合するが、[[SALM4]]-[[SALM5|5]]は、PDZ結合配列を持たない。SALMsは、[[PSD-95]]との結合を介して興奮性シナプスの形成を促進したり、AMPAや[[NMDA型グルタミン酸受容体]]と相互作用することが知られているが、接着因子としての機能はまだよくわかっていない。


===Netrin-G ligands===
===Netrin-G ligands===
 [[Netrin-G ligand]]s (NGLs)は[[netrin-G1]]に結合するものとして同定された1回膜貫通型タンパク質で、LRRC4 (leucine-rich repeat/LRR-containing glycoprotein 4)とも呼ばれる。
 [[Netrin-G ligand]]s (NGLs)は[[netrin-G1]]に結合するものとして同定された1回膜貫通型タンパク質で、LRRC4 (leucine-rich repeat/LRR-containing glycoprotein 4)とも呼ばれる。


 細胞外領域にLRR、単一免疫グロブリンドメイン、短い細胞内領域にPDZ結合配列を有し、これを介して[[PSD-95]]と結合する。脊椎動物で3種類のNGLs (NGL1-3)が存在する。NGLsはシナプス後終末に局在し、[[NGL1]]と[[NGL2]]はシナプス前終末のnetrin-G1と-G2と相互作用し、[[NGL3]]はLAR-type RPTPsと相互作用する。NGL2の過剰発現でNMDA型[[グルタミン酸]]受容体がシナプス後部にリクルートされるが、AMPA型グルタミン酸受容体はリクルートされないことが示されている <ref><pubmed>16980967</pubmed></ref>。
 細胞外領域にLRR、単一免疫グロブリンドメイン、短い細胞内領域にPDZ結合配列を有し、これを介して[[PSD-95]]と結合する。脊椎動物で3種類のNGLs (NGL1-3)が存在する。NGLsはシナプス後終末に局在し、[[NGL1]]と[[NGL2]]はシナプス前終末のnetrin-G1と-G2と相互作用し、[[NGL3]]はLAR-type RPTPsと相互作用する。NGL2の過剰発現でNMDA型グルタミン酸受容体がシナプス後部にリクルートされるが、AMPA型グルタミン酸受容体はリクルートされないことが示されている <ref><pubmed>16980967</pubmed></ref>。


==エフリン-Eph受容体型チロシンキナーゼ==
==エフリン-Eph受容体型チロシンキナーゼ==