「シナプス顆粒」の版間の差分

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==形態・電子顕微鏡像による分類==
==形態・電子顕微鏡像による分類==


 シナプス顆粒は直径〜50 nmの小さなシナプス小胞 (synaptic vesicle; SV)と〜300 nmの大きな 有芯小胞 (dense core vesicle; DCV)に大別される <ref><pubmed> 19249357 </pubmed></ref>。電子顕微鏡像でシナプス小胞が透明な小胞に見えるのに対し、有芯小胞は電子密度が高く、黒く見えることから有芯と呼ばれる(右図)。[[Image:有芯小胞は、〜300 nmの特に大きな小胞 (large dense core vesicle; LDCV)と小さい小胞 (〜80 nm)が区別される場合もある。この小さい有芯小胞については後述する。多くのシナプス前終末にはシナプス小胞とLDCVの両方が含まれるが、シナプス小胞はシナプス前膜付近に多数存在するのに対し、LDCVはシナプス前膜から離れた場所に少数存在する。LDCVは神経ペプチド・ドーパミンなどのアミン類や神経栄養因子を神経伝達物質として内包しているために、小胞内の電子密度が高くなっていると考えられている。一方、シナプス小胞はグルタミン酸、GABA、グリシンなどのアミノ酸やアセチルコリンなどの「古典的な」神経伝達物質を内包している。
 シナプス顆粒は直径〜50 nmの小さなシナプス小胞 (synaptic vesicle; SV)と〜300 nmの大きな 有芯小胞 (dense core vesicle; DCV)に大別される <ref><pubmed> 19249357 </pubmed></ref>。電子顕微鏡像でシナプス小胞が透明な小胞に見えるのに対し、有芯小胞は電子密度が高く、黒く見えることから有芯と呼ばれる(右図)。有芯小胞は、〜300 nmの特に大きな小胞 (large dense core vesicle; LDCV)と小さい小胞 (〜80 nm)が区別される場合もある。この小さい有芯小胞については後述する。多くのシナプス前終末にはシナプス小胞とLDCVの両方が含まれるが、シナプス小胞はシナプス前膜付近に多数存在するのに対し、LDCVはシナプス前膜から離れた場所に少数存在する。LDCVは神経ペプチド・ドーパミンなどのアミン類や神経栄養因子を神経伝達物質として内包しているために、小胞内の電子密度が高くなっていると考えられている。一方、シナプス小胞はグルタミン酸、GABA、グリシンなどのアミノ酸やアセチルコリンなどの「古典的な」神経伝達物質を内包している。[[ファイル:EmiKumamaru Fig.jpg]]
 
 
 80 nm程度の小さい有芯小胞は海馬では成熟途中のシナプスに多く見られ、成熟したシナプス前終末にはまれにしか見られない <ref><pubmed> 16797135 </pubmed></ref>。この小さな有芯小胞はbassoonやpiccoloなど、シナプス小胞に存在するタンパク質抗体によって免疫陽性であるため、シナプス活性帯へのタンパク質輸送に関わる輸送小胞ではないかと示唆されている<ref><pubmed> 11182086 </pubmed></ref>。また、交感神経のシナプスにおいては、ノルエピネフリンやセロトニンを含む60〜80 nmの有芯小胞が見られ、これをLDCVと区別してSDCV (small dense core vesicle)と呼ばれる場合もある。
 80 nm程度の小さい有芯小胞は海馬では成熟途中のシナプスに多く見られ、成熟したシナプス前終末にはまれにしか見られない <ref><pubmed> 16797135 </pubmed></ref>。この小さな有芯小胞はbassoonやpiccoloなど、シナプス小胞に存在するタンパク質抗体によって免疫陽性であるため、シナプス活性帯へのタンパク質輸送に関わる輸送小胞ではないかと示唆されている<ref><pubmed> 11182086 </pubmed></ref>。また、交感神経のシナプスにおいては、ノルエピネフリンやセロトニンを含む60〜80 nmの有芯小胞が見られ、これをLDCVと区別してSDCV (small dense core vesicle)と呼ばれる場合もある。
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