「シンタキシン」の版間の差分

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=== SNARE(SNAP-25およびシナプトブレビン) ===  
=== SNARE(SNAP-25およびシナプトブレビン) ===  
 シンタキシン1は、同じくt-SNAREであるSNAP-25と自身のH3ドメインを介し結合する。会合比により2種類の複合体が存在する。1:1で結合したt-SNAREヘテロニ量体は、v-SNAREであるシナプトブレビンと結合しSNARE複合体を形成する。一方、シンタキシン二分子にSNAP-25が一分子結合した2:1複合体(通称)は、シナプトブレビンと結合できない。したがって、[[シナプス前終末]]の放出部位では、別の分子により1:1複合体の状態が維持されていると予想される。
 シンタキシン1は、同じくt-SNAREであるSNAP-25と自身のH3ドメインを介し結合する。会合比により2種類の複合体が存在する。1:1で結合したt-SNAREヘテロニ量体は、v-SNAREであるシナプトブレビン(別名VAMP)と結合しSNARE複合体を形成する。一方、シンタキシン二分子にSNAP-25が一分子結合した2:1複合体(通称)は、シナプトブレビンと結合できない。したがって、[[シナプス前終末]]の放出部位では、別の分子により1:1複合体の状態が維持されていると予想される。


 SNAP-25およびシナプトブレビンと1:1:1の比で結合したSNARE複合体は、コイルドコイル構造をしている。よく目にするシナプス小胞膜と[[シナプス前]]膜との間で形成されているSNARE複合体の模式図は、シンタキシンのH3ドメインとSNAP-25およびシナプトブレビンの細胞質フラグメントからなる複合体のX線構造解析結果に膜貫通領域などを描き足したものである。組織を可溶化した後などに溶液中に存在するSNARE複合体は強固に結合しており、強力な界面活性剤に対しても耐性を持ち、SDS存在下でも煮沸しない限り解離しない。
 SNAP-25およびシナプトブレビンと1:1:1の比で結合したSNARE複合体は、コイルドコイル構造をしている。よく目にするシナプス小胞膜と[[シナプス前]]膜との間で形成されているSNARE複合体の模式図は、シンタキシンのH3ドメインとSNAP-25およびシナプトブレビンの細胞質フラグメントからなる複合体のX線構造解析結果に膜貫通領域などを描き足したものである。組織を可溶化した後などに溶液中に存在するSNARE複合体は強固に結合しており、強力な界面活性剤に対しても耐性を持ち、SDS存在下でも煮沸しない限り解離しない。
 
=== シナプトタグミン ===
=== シナプトタグミン ===
 シンタキシン1は、H3ドメインを介して神経伝達物質放出のカルシウムイオンセンサーの最有力候補シナプトタグミン1と結合する。大腸菌で発現させた組換えタンパク質同士の結合は、結合実験に用いるフラグメントの大きさや付加するタグによって、特にカルシウムイオンの要求性に、大きな影響を受ける。カルシウムイオン非存在下では、シナプトタグミンのC<sub>2</sub>Bドメインと結合する。
 シンタキシン1は、H3ドメインを介して神経伝達物質放出のカルシウムイオンセンサーの最有力候補シナプトタグミン1と結合する。大腸菌で発現させた組換えタンパク質同士の結合は、結合実験に用いるフラグメントの大きさや付加するタグによって、特にカルシウムイオンの要求性に、大きな影響を受ける。カルシウムイオン非存在下では、シナプトタグミンのC<sub>2</sub>Bドメインと結合する。
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