「ジャンクトフィリン」の版間の差分

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== 構造  ==
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 ジャンクトフィリンは、分子量72-90kDa程度のタンパク質である。膜貫通セグメントはカルボキシル末端に1箇所のみ存在し、アミノ末端にはシグナル配列が存在しない。一方、アミノ末端側には14アミノ酸よりなるMORNモチーフと命名された繰り返し配列が8回現れる。部分欠損体の発現実験により、JP-1の細胞表層膜との結合にはMORNモチーフが必要であることが示されている。したがって、MORNモチーフを介して細胞表層膜と結合する一方で、カルボキシル末端側の膜貫通セグメントにおいて小胞体膜を貫通することで、ジャンクトフィリンは両膜を架橋し、結合膜構造の形成に寄与すると考えられている<ref name="ref3" />。  
 ジャンクトフィリンは、分子量72-90kDa程度のタンパク質である。膜貫通セグメントはカルボキシル末端に1箇所のみ存在し、アミノ末端にはシグナル配列が存在しない。一方、アミノ末端側には14アミノ酸よりなるMORNモチーフと命名された繰り返し配列が8回現れる(図1)。cRNAを注入した両生類初期胚の細胞では、JP-1の発現が細胞表層膜直下に抗体染色法により観察されるが、部分欠損体の発現実験により、このJP-1の細胞表層膜との結合にはMORNモチーフが必要であることが示されている。したがって、MORNモチーフを介して細胞表層膜と結合する一方で、カルボキシル末端側の膜貫通セグメントにおいて小胞体膜を貫通することで、ジャンクトフィリンは両膜を架橋し、結合膜構造の形成に寄与すると考えられている<ref name="ref3" />。  


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ファイル:JP34ハイドロパシー指標.jpg|'''図1.リアノジン受容体を介するシグナル系'''<br>脳の神経細胞におけるリアノジン受容体(RyRs)を介するシグナル伝達。海馬の錐体細胞ではNMDA型グルタミン酸受容体(NMDAR)、小脳のプルキンエ細胞では電位依存症カルシウムチャネル(VDCC)を介する細胞外からのカルシウム流入による細胞内カルシウム濃度上昇により、Ca<sup>2+</sup>-induced Ca<sup>2+</sup> releaseが起こる。一方、小脳プルキンエ細胞では一酸化窒素(NO)による1型RyR(RyR1)のS-ニトロシル化によりNO-induced Ca<sup>2+</sup>releaseも起こる。ER:endoplasmic reticulum; IP3R:inositol 1,4,5 tris phosphate receptor; SERCA: sarco/endoplasmic reticulum Ca<sup>2+</sup> ATPase.
ファイル:JP34ハイドロパシー指標.jpg|'''図1.ウサギ1型ジャンクトフィリン(JP-1)のハイドロパシー指標'''<br>横軸に記されたアミノ酸番号が最も大きいカルボキシル末端側に疎水性が高い推定膜貫通領域(TM)が存在する。また、アミノ酸番号が小さいアミノ末端側には、MORNモチーフと命名された繰り返し配列が8回現れる(MORN motif)。この部分が欠損したcRNAを注入した両生類初期胚の細胞では、野生型では細胞表層膜直下に局在するJP-1が細胞質内に拡散するため、この領域がJP-1と細胞表層膜との結合に必要であると考えられる(PM binding)
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